カテゴリー「第三回札幌国際短編映画祭」の記事

超ゲリラ上映(笑)東京オンリーピック

全部打ち込んで送信したら、レビューが消えた…
立ち直れん…
さすが東京オンリーピック…

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SSF#3 終わる!

 [ Sapporo Shörtfilm Fêstival ] 
札幌国際短編映画祭、今年で3rd!

~ 3歳になった『Sapporo Shortfilm Festival』情報 ~
●場所:札幌東宝プラザ地図)/シアターキノ地図
●期間:2008/9/10~9/15
●情報:本家HPより「シリウス通信」が便利っす(でも本家も充実してきた~!)
●ブログ:SSFボラスタ生活(公式?)
※終わった。東京に戻ってきました。今年はスケジュールが厳しかった…。
 

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各国プログラムまとめ評

最終日の各国プログラムは、けっこう量があってヘヴィでした。
以下、見た順に随時更新。

●アジア
『記憶が聞こえる』
枠組みはSFなんですが、中身は恋愛モノ。新しき皮袋に古い酒の典型です。
冒頭に、想い人を失った主人公へ《記憶銀行》から電話がかかってきます。死んだ想い人の残した記憶を相続した旨の電話。その状況を納得し、受付の電話番号をメモるまでをワンカット長回しで撮影してます…観客を納得させるの、無理でしょーそれ! 冒頭シーンの終わりには主人公の「記憶を預けるなんて、科学が進歩したのね」なんてセリフまである割には、メインストーリーが固定電話ばっかりの世界じゃないですか! 物語的には従来から相手の日記とか手紙とか、音声テープなんかの小道具で済ませてきた部分に《記憶銀行》は乱暴です。観客を納得させるためには冒頭のカットを小割にして、銀行の総体・ビジネスシステムを観せ、観客に物語世界へのリアリティを与えるのが必要ではないかと思います。SFアウトサイダーがSFを利用する際の、最悪の使い方でした。
映画全体としてはどうだったのか? まあ普通の韓流でしたが…韓国を理解する上でキリスト教の影響は無視できないというのを強烈に実感しました。宗教的浄化装置としての水、雨、川、涙…明らかに中国的な意味の水とは違っていました。あと、主役の女優さんが麻生久美子に激似だったのが、可愛くて良かったかな(笑)。麻生久美子自身はワールドワイドの活躍で、もう可愛いだけの女優ではなくなっちゃいましたけど…。

『ティット・フォー・タット:報復への恐怖』
タイのシャーマニックなホラー。4編構成オムニバスの一編だそうです。学校でクラスメートからいじめ抜かれた少年が呪術を使った逆襲を決意。強烈な呪術グッズを作って反撃に挑むが…というのが前半のメイン。後半は暴走した魔力が惨劇を巻き起こしていきます。南伝の仏教国だけあって、罪のある人間に対して決して無罰的には済まさない点が、いかにもですね。
スピーディで色のメリハリがあり、人物が浅い割には場にいる人物構成のバランスがいい。この監督は案外、いい群像劇を作りそうです。

●オーストラリア
『クリケットの英雄』
冒頭から真っ当な先住民ネタで来ました。クリケットに夢中な息子を止めようとする父。父子はアボリジニですが、母は白人という家庭です。いろいろ父子の接触を通じ、実は19世紀にアボリジニのクリケットチームが英国女王の前で素晴らしい試合をしたという歴史を知る、という展開。ここで「自分のアイデンティティを何に求めるか」という深いテーマが立ち現れてきます。父が態度を変えるラストはなかなか感動的でした。

『9マイルの向こう側』
バスに乗って何年かぶりに自分の生家へ帰ってきた男。庭に置かれた車は事故でクラッシュしたようで、また男の弟は母親に面倒をみてもらってる車椅子生活。このあたりで何が起こったか観客には大体察しがつきます。弟の口から、兄が刑務所からわかるダメ押しで、兄弟の亀裂が非常に深くて決定的である事が察せられます。兄はいろいろ打開できるよう努力するんですが、弟との溝を埋めるには至らず…兄の最後の行動が、いかにもオーストラリア的でカッコいいです。

『裁き』
この映画の登場で『フォーン・ブース』は不要になったかも。携帯電話版・ショート版という枠組みで『フォーン・ブース』のスリム版・ブラッシュアップ版になってます。残業中、煙草を吸いに外へ出たビジネスマン。別の男が近づいてきて話しかけるんですが、だんだん話が変な方向へ進み始める…「子供を授かるってのは神秘的な事だ」とか言い出したあたりで、そのルックスからネオナチを想像するんですが…あーやっぱりそんな展開になりますか…衝撃のラストが、なかなか計算されてます。

『かしこいにんげん』
ほぼワンセット(?)アニメ。一枚の絵で、マンションの自宅から会社の自室までを描き切ってる画面構成がうまい。そんな世界で毎日同じ生活してるんだからストレスも溜まります。PCが、コピー機が壊れるように人間も壊れる。そして男はいつもマンション前にいるホームレスの助言に従って旅に出るのです…心が洗われる場面で「世界が違って見える」というのを、本当にアニメのタッチを変えて描いているのが秀逸。

『ジャンプ』
高級っぽいホテルのベランダから飛び降りようとしてる女性。世界は近未来、センサーが発達し、許可なく他人に触れる事もできなくなってる時代。さてそこへルームサービスの女性がやってきます。な~んとゲストへ直接身体が触れないよう、金属製のマジックハンドつけてます(笑)。窓際の客を見つけていろいろ説得し、リラックスさせて…この作品、微妙な小ネタが凝ってるのでSFとして飽きさせません。物語がバカっぽくて軽薄そうに見えても、SFはもっと違うところで勝負するんだから。

『悲しみの詩』
先住民の葬式。仏様は若い男です。みんなが嘆き悲しむ中、白人男性が訪れて…あ、路上で止められちったよ。どうもこの白人男性が仏さんの死の原因と思われてるようです。いろいろあって何とか棺の前に立てた来訪者ですが…なんか庭で親族と話してたお父さんが怒りまくって入って来たよ…様々なレベルの怒りが錯綜する、先住民たちの演技がナチュラルでよかった。

『エロイーズの物語』
パンフによれば第一次大戦後の欧州が舞台だそうですが…まあファンタジー的な舞台だよなあ。石畳とレンガに囲まれた夜の裏路地。一人の少女がバイオリンを弾きます。この娘がむっちゃ可愛くてね~! キャラで引っ張れる作品は得です(断言)。んでバイオリンの弦が切れた時、そこへ名刺が飛んでくるわけですよ。名刺の裏には「バイオリンを直してあげるよ」とメッセージが。翌日行ってみたら、そこは何と発明家の…いやマッドサイエンティストの家でした。この発明家、少女を映画のカメラみたいな装置の前に連れて行くと「撮影させてくれ」と頼むんです。彼の話によるとこれは被写体を物語にする装置。実際にネコで実験すると、銀板代わりの本にネコが閉じ込められちゃう。ネコの物語ができあがったわけです。さあ少女エロイーズは報われない現実を捨てて、理想の姿を物語に閉じ込める気になるか…? というのがお話のメインのテーマ。人間とは、人生とは…ってものを考えちゃうと同時に、発明家が他にも少女をいろいろ物語にしてるのがわかってからは、青髭的なテーマも絡んできます。最終的にエロイーズは物語になる決断をするんですが…残念ながら彼女の物語は彼女の生きてきた「そのまま」でしかなかった…。
本作は様々にモチーフを広げられるし、描き足りない部分も多々あります。是非とも長編化して、もっともっと多彩な展開を盛り込んで欲しいなあ、と思いました。

●ジャーマン
『ピーターの法則』
社会学者の著書「ピーターの法則」。昇進すればするほど無能になるという法則を逆手に取って、無能な従業員がトップへ上り詰めるまでを描いた人形アニメ…。

『原子くんは怖くない?』
原子くんが、原子力がいかに必要かという事を説明してくれます(マジでそんだけ)。都合が割るいとこは思いっきり答えなかったりごまかしたりしますが、基本的には気さくでいい奴です。

『ジャーマン・エア・フォース・ガイ』
ドイツ空軍の人形を集めよう! こ~んなに凄いテロリストごっこができるんだぜ! …っていうCM。とりあえず彼らは、テロを防ぐためなら民間人の巻き添えは気にしません。

『ザ・バンジーズ』
ウサギの子供4匹のクレイアニメ。宿題やってないのをどう切り抜けるかという不毛な相談がメインで、まあ黒いです。

『サイバー』
3×3×3メートルくらいの直方体空間の内部だけ、バーチャルにいろんなモノが流れてくるっていう装置の2Dセルアニメ。ワンカットで固定アングル、なのでどういったモノが流れて来るかが見せ所です。「同じ事を繰り返すようで、少しづつ発展してるんですよ」ってのを、絵と共にバッハのカノンで聞かせるあたり、さすがはクラッシック音楽の国です。

『大自然』
バカ丸出しの3D。無駄に精細で驚きました。ドイツ人のやるバカは限度がなくって侮れないんだよなあ~。大自然の中での素早すぎるネズミの行動をスローモーションで見てみたら、メスの取り合いしてるオスが2匹、マトリックスばりの死闘を繰り広げているという…ま、予告でも毎回場内にクスリと笑いが漏れてたんで、こんな内容だろうとは想像ついてましたが。中身はないけど(ないから?)妙に気持ちいい作品です。

『赤ウサギ』
3Dが続く。割とポリゴン荒目ですが、動きが自然でビックリです。部屋(通常の人間の)から出られないほど巨大なウサギを飼ってる男が、マンション上階の女性と出会ってしまい、ウサギの存在を隠そうと…オチが途中でバレるんですが、長く引っ張る話ではないし動きで楽しめるので、気になりませんでした。

『アンハルター駅で』
モノローグ+シュール系の人形アニメ。この事や、セットの不潔感などから『ストリート・オブ・クロコダイル』を連想させます…とてもその領域ではないけれど。SSF#1で上映された『在来線の座席の下に住む男』あたりに近いコンセプト・技術レベルだと思います。

『ポスト!』
2Dアニメで、「検閲」「情報操作」の是非を考えさせてくれた、楽しく、なかなかに深い話。秀作です。

『部品』
かな~り笑えた! これこそがドイツのショートフィルムだ! …って感じ。『部品』というタイトルですが、原題はアウトソーシングとなってましたから、やはり「外注化」という会計学によって企業の本隊業務にメスを入れる昨今の風習を皮肉ってるんでしょうね。家事の効率の悪さを理由に奥さんが「解雇」され、実家に帰らなきゃならなくなるとういう…ここで場を仕切ってるのが父ではなくPCを駆使する長女だ、ってところがドイツらしい感じ。

『「われわれ」の土地』
「われわれ」がカッコ付き。なぜなら主人公はロシア人の不法滞在者だからです。
ここで思いっきり個人的な話。オイラが昔行ってたフィリピンパブが、数年前にロシアンパブになっててビックリした事があります。店主のお爺さんはクリスチャンで、人助けの目的が第一でフィリピンに出向いては自分でホステスさんやボーイくんをスカウトしてたそうです。それをロシアに切り替えた。場所はウクライナ地方。チェルノブイリのある場所ですな。あの土地の人々は、想像を絶する状態に置かれてるような気がします…と、余談ばっかり長くなりましたが。
本当に、世界中で、ウクライナの人たちは大変な苦労を強いられてるんだな~、というのが実感できる本作。「息子が7歳になるのに小学校へ入れられない」という、身分を偽ってギリギリの生活をするロシア人(しかも故国では医師だったらしい)の苦悩が肌身でわかります。いや正直、途中で少し泣きました

『ワイアー』
すげえ~! 枕にちょっと無駄話すると、公共住宅政策って言うのはだいたいその国での住宅を規格統一しちゃうわけです。日本の場合は高度成長時代に住宅公団が始めた「2DK」「3DK」などの間取り設計が、今はどこでもスタンダードになっちまってる。日本の場合、住宅は同じような間取りが密集した、団地化・マンション化の方向だったわけですね(長屋の近代化とも言えるが…)。
それがドイツではどーなのか! …というのが一目でわかる、ドイツの一戸建てが「団地」である事をわからせてくれた実写アニメーション作品。間取りどころか家の形や庭の大きさまで画一化しているので、同じアングルで撮影した住宅の写真をどんだけ差し替えてもシルエットは変わらない。外装や庭の木々が変化するだけです。これを2分に渡って延々と繰り返す! いったいどれだけ戸建て住宅を撮影したんだ…とビックリしました。個人製作のインディペンデント作品だと思いますが、美術協力・ドイツ市民/規格・ドイツ(笑)。

『モトドローム』
超ミニサイズのモトクロスレーシング場のドキュメント。なんたって、カーニバルと一緒に移動して、直径10メートルくらいの木造の小屋を建てて、そこでレースやっちゃうんですから! 当然地面を走るなんてのは不可能なんで、遠心力を利用して側壁をグルグル駆け回る。観客は小屋の最上部からレースを見下ろすという仕掛けです。でもまあ、結局映画としてはそんだけなんですが…。

●UK
しまったあぁぁ~!
致命的な事に、パンフを札幌に忘れてきてしまった!
タイトルがわからないのはまだいいとして、2作品だけどうしても作品そのものを思い出せない…結局 mixi の SSF コミュで、久保氏に教えていただきました。お手数かけました。_o_

『STREAM』
筋肉と、流れる汗。筋肉と、流れる汗。筋肉と、流れる…あーそればっかりかよ! って思ったら、パンツをアイロンがけしてたようです。スチームで暑いのか。

『Alex and her Arse Truck』
パブで自分のシミパンを売って稼ぐ女。彼女の変態なフィルムを見てマスターベーションする恋人。まあ若干スカトロの入った変態な人間模様が繰り広げられ…って、こういう非ポルノグラフィックなのって何か意味があるんでしょーか。エンディングは無駄に青春してて、いいかも。

『The Animal Book』
途中までは人形アニメですが…なんと、題名通りのアニマルブック=動物絵本が登場してから様相が変わってきます。本の中の絵がどんどん街へ飛び出してくるんですが、紙に描いた絵そのまんまがコマ撮りでアニメーションされる…これは! これは英国のお家芸である『フラットワールド』方式の上手な復活です! この路線、もっと突き詰めて楽しい作品をいっぱい作って欲しいなあ、イギリスには…。

『WINDING DOWN』
老いた時計修理工。年のせいか、お得意さんからの時計修理がだんだん厳しくなってきてます。で、息子の薦めでとうとう店を閉めてしまいました…あれ、終わり? 題名通りのゼンマイ切れ。

『Homeless Me』
監督来場。東京のダンボールハウスの住人と一緒に寝起きして、彼らの生活に溶け込んだドキュメンタリー。見慣れた風景が英国人のカメラによって異化されるのかと思いきや、まあ普通にホームレスの生活が展開されてました。うーん、外国人には面白いかもしれないけど…太極拳の練習や祭り太鼓の練習が行われる、河川敷の朝の光景はちょっと新鮮。

『気象予報官』
これ、F-Bの奴とかぶってますね…まあ2回観れてハッピーでしたが…。

『Dying Backwards』
画面には焼け残った車が。煙がどんどん車に吸い込まれているので、早回しの逆回しだと即座にわかります。あ、消防隊員がホースで水を吸い取ってる! 燃えた燃えた! …ってそんだけ?

『Subterranean Scene Filter』
昨年フィルムメーカー部門で好評だったらしいサイモン・エリスのドキュメンタリー。NYの地面から立ち昇る湯気を、マンハッタンに引かれたパイプに沿って、様々な場所でひたすら撮り続ける…ってそんだけ?

『ソフト』
冒頭が、携帯動画の映像で人気のない裏路地でのリンチ場面を映し出すんですが、臨場感でまくりです。優柔不断で暴力を奮えない父が、路上で不良に絡まれた。さあここが決断の時…いや決断しません。かわりに息子がキレて不良をタコ殴り…ハッピーエンド(笑)。ジャーマン・プログラムで『大自然』を観た後だからなあ。人間のコミュニケーションの不全性に想いが行ってしまうなあ(笑)。

●カリフォルニア
『ストラック』
ナーイス! これぞハリウッド味の正しい使い方! 道で見かけた女性に一目ぼれした主人公。ズッキューン…という衝撃が胸に走ったと思ったら、ハートが射ぬかれていました。もう、本当に長さ1メートルの金属の矢が胸を貫通してんの(笑)。恋する男のちょっと不便な日々を、矢というアイテムでわっかりやす~く消化吸収してしまいました。偶然再会した女性に矢を抜いてもらってハッピーエンドに至るんですが、そこで犯人たる天使の姿が…ヒゲ面にサングラスのパンクな男でした。街角で恋する人々へ矢を向け速射するエンディングは、すげーカッコよかった。天使モノはバリエーションが尽くされた感があるんですが、まだ正攻法でこういう手があったか! と、心地よく膝を打ちました。

『テレス・ノアール(黒い土地)』
ベルギー製作のカリフォルニアショート出品作。幽霊屋敷モノの変種としては秀逸。コンペだったら投票したなあ…あ、無敵ショート『ジェニー・マリー』があるから厳しいか。本作は炭鉱を幽霊屋敷とみなして展開する点がアイデア賞モノで、さらにセリフを排して展開するシンプルさ&「幽霊」たる「炭鉱の中を徘徊する裸体の女性」の美しさとエロティックさ(って姿がチラチラ見えるだけなんですが、背景とのコントラストが素晴らしい)…見事としか言いようのない、上質なゴーストハウス・ストーリーに仕上がりました。こういう古びた物語は、新機軸を打ち出せるかが勝負だと思うんですが、短編という枠組みの中では無駄なく、飽きさせず、必要な要素はキッチリ盛り込んで、完全でした。

『ドリームタイム』
同じくベルギー作品が続く。管理社会モノです。舞台を未来世界とはせずに、第一次世界大戦後あたりのレトロな(カフカ風の)テクノロジーに留めてあるところがミソで、このあたりは『未来世紀ブラジル』よりもビジョンが明確です。ただ、予算のなかさらか、対置される「夢の世界」がちょっとショボい(ただのパーティー会場)。このふたつの世界を行き来する装置が「赤い砂」。さすがはベネルクス3国。ドラッグの表現に禁忌感が微塵もありません(制度的に禁じられてるだけ、ってスタンス)。この赤い砂を目のあたりにパラパラっとふりかけると夢の国へ行ける(笑)というお手軽さもイイ。これ、当然ヨーロッパの砂男伝承を意識したアイテムで、20世紀初頭の世界観に重ね合わせる事で「砂男 vs 管理社会」→「テロリズム」という流れに持っていきます。この論理展開の妙が、21世紀の観客を深く引きずり込んでいく、映画自身が砂男的な感じでした。

『ジェニー・マリー』
アイルランドからの出品。ずるいです(笑)。少女モノの超正統派。戦後直後の飢餓状態のダブリンを、推定7歳の少女ジェニーが裸足で歩く。冷たい石畳の感じが、もう泣けてきます。この手の話の定番で、ジェニーは不幸という概念そのものを持ってない。自分の境遇が辛いと思わないので泣かないし、澄んだ目(ある意味、死んだ目とも言う)で、親や、教師や、近所のおばさんをじっと見詰める。この子役の演技に神様が降りてきてまして、何というか『みつばちのささやき』のアナ・トレントのアイルランド版です。その上で迎えるクライマックスの、教会が配るパンに飢えた市民が群がるシーンが圧巻で、半世紀前の、まだ人に節度のあった時代の雰囲気とか、それが崩れていく有様とか、群集の演技が素晴らしい。彼らに押しつぶされて踏まれてぶっ倒れちゃうジェニーに、会場では鼻をすする音が連発してました。今時ここまで堂々と王道を進んだのは、やっぱりずるいよ! 泣いたけど(笑)。

『ボードビリアン』
同じ貧困の時代でも、こちらは時代を遡って大恐慌のアメリカ中西部が舞台。当然現代のサブプライム問題の時代背景にかぶらせるアメリカ作品です。サーカスが解散して職をなくした腹話術師の主人公。道々、人形と今後の事を話し合うあたり、相当キてますが…人形が主人公の内面を代弁するというオーソドックスな仕掛けですな。ところが物語は悠長な方向ではなくけっこう緊迫してます。卵を盗みに入った農家で銃をつきつけられ、「動物と話す霊能者さ!」と、とっさにニワトリと会話して見せて難を逃れる主人公。すっかり信じ込んだ農夫から、いろいろ切実な話を持ちかけられて…完全な詐欺行為に「ヒトとしてどーよ」って突っ込む人形に対して、背に腹は代えられんと返す主人公。どっちも同じ人間の別側面であるわけですが、ラストは人形と決別した主人公を描いて苦い味を残します。ハリウッド的なハッピーエンドを求めない姿に、アメリカの今を見たか。あるべきインディペンデント映画の姿でした。

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最終日

いま各国プログラム見てます。

とりあえずアジア編、タイのホラーがよかった。
ただタイの文化的背景については、少し知識を入れておくべきかも。
しゃーないんで会場の質疑応答で監督に質問入れた。
タイはまだまだ禁忌の多い世界のようで、そこがホラーが好まれる理由のようです。

韓国作品はストーリーとは別に、SFという次元でダメ出し。
最初の長回しが猛烈に悪い。ここはレビューで詳説するはず。

オーストラリアは真面目系が増えましたが、相変わらずアイデアの素晴らしさは光ってる。
ラストのファンタジーは青髭のバリエーションとして特筆モノでした。是非とも長編を観たいし、商業的に成功すると思うなぁ。

さー次はドイツだ。
ドイツ映画は覚悟がいるよなあ(笑)。

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樊噲排闥賞2008

やって参りました。
当ブログの勝手賞「樊噲排闥賞」の発表です。

作品賞:I-D『S.I.T.E.』
企画賞:I−E『ネズミ狩り』
監督賞:I−C『ナイトビジョン』
特別賞:チルドレンB『雨の中のキリン』

以下、選評。

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ギガント資金難(笑)

今回の最大のネックは資金と睡眠時間。どっちも致命的に不足してる…今から寝ますけどね。
んで、実家にあるDVDを売って明日の活動資金を稼ごうと思ったら、いつの間にかブックオフの買い取り価格が一枚百円になってた…。

てなわけで、昨日から非常にみっともない状態が続きますが、やけくそでSSFスタッフさんに質問です。
どなたか、『未来少年コナン』初版DVD−BOXを5000円くらいで買いたいぜ! って人はいるでしょうか? 『キィ・ザ・メタル・アイドル』DVD全巻でも可(なんか凄いランクの差 f^_^;)。
いらっしゃったら、明日現物を持って行きます〜。コメントよろしく〜

セーブ・ザ・自分!(墓穴

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I−Fインプレ

これはSSFのお約束「映画好きもビックリ」でございます。やっと来た!
さて、このプログラムの後でバーへ飲みに行きまして(もう金がないので全部ツケ (^-^;;;)、4時ごろ会場に舞い戻りました。レビュー書くために連日ネット喫茶に入り浸った報いで、サイフの空になったため、会場1階のカフェコーナーに陣取ってレビュー書いてやろうという目論見です。
ここで初めて、主催の久保さんに自己紹介させてもらいました。
「自己紹介させてもらいますが…エスねこです」
毎度ながらペンネームは言いにくいなあ(苦笑)。
何やらオイラのイメージがかなり想像と違っていたようでビックリされてましたが、要件を伝えてカフェコーナーの隅っこに陣取り、国内プログラムを書き上げ、いまコレ書いてるという状態。気を許すと絶対カクテル飲じゃうので、にぎやかなバーコーナーから隠れるように、柱の影に隠れてPC打ってるという(笑)。

で、I−Fです。思ったよりは小粒でした。
映像というよりは物語中心で、堅実・上質なんだけどヌルい作品もあります。やはりハリウッド文法は短編では機能しないのか?

『静かな雪』
グリーンランドを舞台にしたドキュメンタリー。海が最も汚染された海域…と書いても理解できないでしょうから解説しますと(作品中でも言及されていないし…)、グリーンランド沖は世界の海洋表層水が深海へ沈み込むポイントなのです。つまりアレです、風呂の排水溝です。海水の汚染だけじゃなく、小魚→アザラシを経由した生体汚染が深刻で、アザラシが主要タンパク源であるグリーンランド地元住民には手痛い打撃…「ビタミンが豊富だ」とか言って食ってましたが(汗)。温暖化の影響も深刻で、冬季の凍結がなくなって犬橇が走れないとか、いろいろ笑えない事態になってるみたい。あと、グリーンランドはバイキング入植までは定住者がいなかった土地なので、歴史としては千年ないくらいの若い世界だったはず。それを「何千年も続いてきた我々の暮らしを…」とか言うのはちょっとマテ。

『逃亡』
3分もない、ベリーショートな衝撃作。小道具として留守電が活用されてます。男からの謝りの電話が何度も何度も吹き込まれてるんですが、カメラはそれと平行してボストンバッグを映し続ける。そこへ衣類がいくつもいくつも乱雑に放り込まれ、ある朝の別れの、ありふれた光景を思い浮かべるわけですね。ところが映画の最後で、ボストンバッグの蓋が閉じられると、その向こうにはベッドに横たわる女性の死体が…いきなりストーリーが逆転するという。ただ同じ留守電ネタでは、I−Eの『不在』の方が出来としていいかな。

『ロックアウト』
セキュリティ完備のマンションに鍵を置き忘れ、締め出されてしまった。さあどうやって入りますか? というストレートな作品。主人公がちょっとバイタリティに欠けてるっぽい女性だというのがミソで、色々なドラマの結果、ロックアウトから数時間で見事に路上でコインを恵んでもらうホームレス状態に転落します。このあたり、展開に説得力もある(弱い部分は主人公の性格的な穴で補強してあるし)ので、なかなか息が詰まります。ただ、それから以後のストーリーは超前向きなハリウッドぉ〜展開になってしまう(カナダ映画のくせにぃ!)ので要注意…。

『親切の先に』
はい、これが正真正銘のアメリカ製ショート。感動的なサウンドに乗せて、街行く人たちの親切の連鎖が描かれます…が、なんかこれがまたアメリカという国だなぁ、って感じでして。無人駐車スペースの時間切れになった奴にコイン入れてやるとか、ダイナーでチップをいっぱい払うとか…「それが小さな親切か?」と疑問も思い浮かぶ内容。この疑問が最後のオチで、皮肉に効いてくるあたりにアメリカ文化ってモンの裏面が見えた感じかな。

『ある池』
ネタバレ注意。
ブリティッシュの正統派ドラマ。場所はイギリスの田舎、学校帰りに近所の沼地へ寄る子供たち。主人公のメイジは沼にまつわるいろんな噂を否定し続けた結果、ある賭けをやる事になります。沼の底から彼女のブレスレットを拾ってきた生徒がいたら、水着になって泳ぐという…ここまではイギリスのジュヴナイルらしい、硬い展開。それと平行して描かれるメイジの暮らし振りは、母の失踪によって気力を失った父を支える、健気な少女です。さて賭けの当日、彼女は参加する男子から1ポンドづつ集めて順に潜らせるわけですが…ブレスレットは出てこなかったが母の形見が出てきた…ラストカットは警察が捜索する沼地のほとりで、顔色なく抱き合う父子を描いて終わります。これ、背景は何も語られないけど「メイジが父親を独占したいがために母を殺して沼に沈めた」と解釈してOK? これで途中の演技や伏線がビシッと符合するんですが…。

『失われた線路』
オランダらしい、幽霊談のケバっとした感触が心地いいかも。オチは空中三回転半ヒネリ(=やりすぎ)みたいな感じがしますが、まあ伏線の張り方が見事なので納得は行くかなあ。不気味な夜汽車という空間に、美女ばかりが乗ってると言うのが絵的にグーでした。

『ブラインド・スポット』
クレジットによると製作2006年。でも内容は2007年のサブプライム問題を予見したような、ホームレス(ハウスレス?)映画です。一見ホームレスとは見えない姿で登場させるのがミソで、画廊に現れた有名女優と黒人ミュージシャンというカップル。主人公がふと足元を見ると、女性のストッキングが裂けているという…この場面、一瞬ドキリとさせるサスペンスがあります。まー、そっから後はハリウッド文法にのっとった普通のドラマなんですが…サブプラがここまで問題となった今、この穏便な展開はちょっと評価が難しいなあ。

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N−Bインプレ

続けていくぞ日本プログラムB! これも観てから一日以上たっちゃいましたが…。
さて、和風の風景をじっくりたっぷり見せてるのが多いのが、今年の日本プログラムの特色と言えるか。
最後には、そういうムードをぶっ壊す強烈な悪戯作品も登場しますが…。

『セイキロスさんと私』
稲川素子事務所さん大活躍の巻(笑)。しかもこの謎の外人女性って、『日本以外全部沈没』でメイドさんやってた方じゃないですか! めっちゃキレイだったのですぐわかったという(再笑)。学生監督の作品とはいえ、これはもう完全にプロダクション映像ですよ。テレビ業界のルーチンワーク化された職人芸に、若い監督の弾ける才能。両者の幸福な出会いといえばいいのか…でも、オリエント地方の歴史的な記号というか、引きずってきた色々な文化は、まだまだ盛り込めたと思うんだよなあ。広げた風呂敷が大きく、集めた材料がいい分、やはりどこまでも欲がつのる逸品でした。

『ぶんぶん米』
切り紙アニメ or デジタル合成。短いけど《動く絵本》みたいな味があっていい感じです。

『デノテイション』
夏の日本家屋。セミの音がかまびすしく響く中、何か赤いモノが滴り落ちてきます。ってか、滴り落ちると言うよりグニョ〜ンと伸びて来る感じでドアノブから床へ到達…する前に曲がりました。赤い物体が床と平行に伸び始めます。この作品、このカット割に無駄がないという点で天才的。まるで初期のカーペンター作品みたい(特に『遊星からの物体X』前半部)。結局この赤い物体の正体が明かされる事はないんだけど、ただの実写CG合成映像を、ここまでの緊迫感を持って最後まで観せる力量はただ事じゃないと思いました。是非、和製カーペンターを目指して頂きたい。

『イシノオト』
ホラー、というよりはクラシカルな怪談。しかも日本ってよりか、中国系の怪談な感触です。怪異にとても情緒があって、妄念・怨念一辺倒じゃなく、愛や想いがあるからこその怪奇現象というかね。造りは誠実、役者も達者。映像に語らせる事で、セリフが拝された無言劇になっている点も非常にスタイリッシュ。今年の上映作品中でも屈指の完成度です。なのに、ラストの処理がちょっと乱暴なんだけど…オイラ目をつむって、見なかった事にしましたから(笑)。

『ありふれた帰省』
懐かしき60年代風SF、または眉村卓風味のドラマか。日常生活へ唐突に超文明風の混じり込んでくる感触は、SFの楽しさを通り過ぎてもうレトロ感満載。展開も極めてオーソドックスだし、演技もやたらNHKの「少年ドラマ」風。つまりは、完成されたあるフォーマットに極めて忠実な作品でして、誉めるべき部分もけなすべき部分も見出せないという…ここは、冒険なき創作姿勢にこそ罪を見るべきなのか…? もちろん、SF者としては楽しませてもらいましたが。

『注意書き』
これが良かった。着眼点の勝利です。日常で不断に目にする様々な注意書き、我々がどれほど縛られた生活をしているのか、自由選択できるようでどれほど決まった道を歩いてしまっているかを実感できる。監督の舞台挨拶によれば、一昨年のSSF#1に地元人の観客としてやってきて、今回初めての映像作品をエントリーしたんだとか。正直、後半のドラマ部分はチト辛いものがあるんですが、適度な時間に納めて切り上げた編集の力で切り抜けた感じ。

『機械人間、11号』
投票作。これはですね! 監督自身が舞台挨拶で「中身が何もない」と逃げてましたが、ンなこたァないっ! いやホント素晴らしいんですよ! 大量のデジタル写真をPC上で彩色・合成してアニメにする技法を使ってるんですが、これってベルギーのアートアニメ監督ラウル・セルヴェがアナログ写真でやってた技法じゃないですか! 特に彼の笑えるホラー短編『ハーピア』と本作『機械人間、11号』は、ケバい色使いといい、ムチャクチャな展開といい、合成の無理矢理ぶりといい、魂を継承したと言っていいんじゃないでしょうか(上品さについてだけは継承してませんが… (^o^;)。もーね、ストーリーなんてどーでもよくて、その表現の無茶っぷりばっかりに感動してました。セルヴェの手法が、今ならデジカメとPC使えば(個人で、スタジオなんか持ってなくても)ふっつーにやれるようになったんだなあ…その時代の進歩の方に驚愕したかも。

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N−Aインプレ

日本プログラムA。一昨日観たにもかかわらず、力尽きて放ってました。
なので舞台挨拶とか忘れた(笑)。
しっかし今年の日本は弾けたのが少な〜いっ! …まあ『タフガイ2005』に匹敵する弾けっぷりは厳しいかなあ…。
Bの方には『大怪獣ネガドン』級の作品が一本あり。これはテクニック的にも特筆すべき点があるため、マジメにレビューする予定。


『サイレント・レイク』
一人の女性を中心に、湖〜水〜砂漠なんかを背景としたイメージ中心の映像です。これはエコを切り口にした作品ですから、水のイメージは子宮のイメージに連鎖したり(女の子の下腹部へベタに湖のイメージが投射されるんですが)、水の青が空の青にリンクしたりもします。イメージの連鎖は楽しいし美しいけど、5分ではなかなかこれら「環境」というモノの実体に迫れない。記号とその集約方法、ここを見直せば、もっと大きなモノを表現できそうな気もします…。

『ODEKI+』
3DCG。1分以下のベリーショートなコントをつなげた、4分半のオムニバス構成。うかつな行為で毎回おできを潰しちゃって、地獄の痛みを味わう男の…学習効果のない(むしろエスカレートしてる?)スラップスティック。

『貪る食事』
切り絵をデジタルで動かした作品と思われます。原生動物をイメージしたデザインの生物たちが、食うか食われるかの生存競争を繰り広げるオムニバス短編集。内容的にはただそれだけであって、古生物とか原生動物とかの現実からは離れて、奇想的な生命たちを楽しむ「ヴァーチャル弱肉強食」といった内容の作品でした。このあたりの割り切り方が、例えばヤン・シュワンクマイエルの『石のゲーム』(60年代)、イシュ・パテルの『ビーズゲーム』(70年代)なんかとの違いだなあ、と思えます。アニメーションの語源は「生命」。デジタル時代の到来で、アニメもライトに遊べる時代となったのをしみじみ実感します(オッサン世代にとってはな)。

『わたしが沈黙するとき』
この作品…監督が実際に意識してるかどうかは不明なんですが、いわゆるレズビアンものとは違うような気がするんです。主役となる恭子とお相手の利恵は、髪型・体型共にほぼ同じで、互いに『プラークの大学生』的な《影》となっているんす。少なくともオイラはそう解釈して、全く矛盾なく作品全体を理解できた。この二人は互いに、自分で歩みたいけれど歩めない人生を補完しあっている存在で、同性愛というよりは自己愛の変種と言った方がいいでしょう。そう解釈すると本作は「自己探求の物語」へガラリと変貌するし、奥行きがグググッと深くなる。叶えられない自分の夢を切り捨てる時、それが「わたしが沈黙する時」なんですな。うーむ、監督の意見を聞いてみたくなったかな…。

『大地を叩く女』
アメリカにI−D『ビッチ』ありせば、日本に『大地を叩く女』あり。ただ主人公が常時《I−Dビッチ》的、というわけではなくて「冴えない地味な、食肉店従業員」って設定ですが。舞台はつげ義春が大好きそうな寂れた街角。なので映画全体がオフビートなガロ系です。しか〜し! DVを常時受け続けてる主人公ですが、職業柄ロース肉を叩いて伸ばしたり、カッターで薄切りにしたり、日常的に象徴的スプラッタ行為をやってるわけです(この辺、ヘアメイクを暴力に重ねた『エクステ』にすっげェ通じてる)。このファム・ブッチャー・パワー(笑)が、物語の進展につれ徐々に、徐々に強くなって行く。ついに爆発する時には過剰な怒りの表現として日本が巻き添えに…このあたりのエスカレーション具合がとても心地いい、日本によくあるジメジメ系の枠組みに納まらない突き抜けっぷりでした。弾けてしまった後の、エンドクレジットのバックで展開される映像が最強です。

『放課後、エメラルド』
通常のセルアニメ。なんか最近「通常の」って前置しないと旧来のアニメを表現できなくなってきたな…デジタル時代恐るべし。関西弁のキッパリした性格の女の子と、フワフワした影の薄い彼氏。この二人を平凡・日常的なディスカッションによって対比しながら、物語はやがて生と死を見つめる展開へと…って、ああ〜…日本のクリエイターが好きな展開だよなあ。個人的にはもう少しオチをひねって、ステレオタイプを脱して欲しかったです。

『覗』
これは東京藝術大学120周年記念で製作されただけあって、関係各社も商業映画に遜色がない顔ぶれだし、正統な映画になってますよ。インディペンデントの匂いすらしない、ごく普通の意味での傑作。自作の日韓翻訳ソフトを韓国へ売りに来た主人公(ITエンジニアの起業家と推測)。彼は泊まったホテルのテレビで、おかしなチャンネルを見つけた。監視カメラらしいその映像は、なんと彼のいるシングルルームと同じような造りの部屋を俯瞰するものだったんですな。TVの映像の中では、若い女性が室内でたたんずんでいるんですが、それがやがてカメラの方を見つめて、何かを訴えかけて…ビデオカメラ越しの映像、「覗く」者が見返される事で何となく「覗かれてる」ように感じるという逆転。こりゃもー強い禁忌感を催させる展開です。しかし物語は(最初から下地はできてますけど)ホラーの方向へと進み始め、ラストでは観る・観られるの関係が融合する、ありえない空間へと変貌するのです。主人公を韓国で一人ぼっちになった日本人にしたのは、短時間で無理なくホラーの
土台を構築できた点で秀逸でした(今度、自分でも使ってみるか…)。またこれは深読みですけど、この作品は日本の映像作品を意識した韓流、そしてその作品群を受け入れている日本観客の関係に通じています。日韓の関係は、監視カメラによる覗きと、監視対象から見返される事による「覗かれている」という強迫観念を伴っているのかも。どっちの側から見てもね…。

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SSF#3、前半戦まとめ

とうとう前半戦が完了し、各国プログラムとチルドレンBを別にすると、残りはI-Fのみという状況。
ここらで一度、今回の映画祭の特色についてまとめる必要がありそうです。

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