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ファミリー&チルドレン

もはやSSFの鉄板プログラムとなった楽しい作品集。
とは言え映画マニア向けの要素もちゃんとあって、往年のバスター・キートン+ハロルド・ロイド物のリスペクト「アンドロイドのフロイド」やらハリウッド名優大挙出演の「グラッファロー」の続編やら…。
あと、オイラが大好きな「火星へ行こう」のザラメラ監督も、オシャレな作品を引っさげてカムバックしました。ちょっとフレンチな風味で新機軸です。
他の常連も、キュウイさんに合田経郎と豪華。KUROMAME は(恒例ですが)会場に着ぐるみが来てました。ガンバレ。


「アンドロイドのフロイド」
オープニングから「ポパイ」風にトランペットが鳴り響く、確信犯のドタバタ喜劇3D。フロイドはアンドロイドってよりロボットと言ったほうがお似合いのデザインで、角ばった頭で目が死んでるのが特徴。動きも俊敏で、表情をまったく変えないあたり、明らかにバスター・キートンがモデルですね(つーか、キートンのトレードマークのストローハットかぶってるし)。これで都会の高層ビルの屋上作業をしたりすると、もうハロルド・ロイドの舞台設定なわけです。
4分弱と尺の短い作品ですが、初期スラップスティックへの愛が溢れていて楽しかったっす。続編ではデブのアーバックル伯父さんの登場を期待ます(笑)。

「オゾ」
シンプルな絵柄でまとめた、猿 vs ダチョウの戦い。孤島のジャングルを駆けまわって卵の奪い合いをするという…テンポが良く、少数のキャラを活かしきった構成で、なかなかの安定感です。

「おきて」
ギャング団の抗争を描くアメリカン・カトゥーンな3Dアニメ。このギャング団、地上のサイ一派と地下のカエル一派になってて、絵的にどうなの? ってのがあるんですがね。テンポがよくてサックリ終わります。

「小さなフィギュア」
えー、ちょっと感心した人形アニメのミュージック・クリップ。
さほど手が込んだアニメーションではないですが、窓際の人形と人物写真を切り返しながら、同じ部屋で起こっているものとして展開します。
夜、人形が何やら鍋で料理をしてる。魔術っぽい感じです。女の人が起きると、部屋の家具が…というファンタジーな流れ。びっくりしたのは、部屋の中を家具がどんどん「流れて」いく光景で、これってスマホ時代だから生まれたアイデアだよなあ、と思いました。
ちなみにパソコンのデスクトップ環境は、技術用語では「デスクトップ・メタファー」といい、机の上を電子的にモデル化したもので、アップルがきっちり特許を持ってました。デスクトップの時代が終わって、iOS の操作環境が、現実に逆流して新たなメタファーを産み始めた…そう見ると、これからどんどんスワイプな映像表現が増えていくのかも。

「ぼくもくま」
こまちゃんの生みの親の手による、みんなのうた「ぼくはくま」スピンオフ小品。いつも通りのクォリティで平常運行してます。ただし今回ナレーションが入ってるんですが、必要だったんだろうか…たぶん幼稚園児にも十分通じる内容だったと思うんですが。
「こまねこ」はナレを廃して「にゃー」「わん」だけで済ませてますし、そっちの方が似合ってたんじゃないかな、と。

「キツネのものがたり」
こちらも平常運行と言えば言えるかな。
所は中国(っぽい国)。二人の猟師が山の中でキツネを捕らえようと罠をしかけた。んが、一枚上手のキツネちゃんは二人を誘惑して仲違いさせ、壮絶なカンフーバトルへ追いやるのでした…。
なんつーか、定番感あふれる3Dフレンチアニメ。他愛のない内容なんですが、これ人間化したキツネの動きがエロくて困りますね(苦)。いやホント困ります。伊達にフランス作品じゃないよな。

「ジャムフィッシュ」
監督来場。魚型の自家用車に乗って、田舎のお婆ちゃん家に帰省する兄妹二人を描きます。(海の中だけど)高速が渋滞してたり、街灯がチョウチンアンコウだったり、でっかい石鯛のトラックやシイラのトレーラーに追い越されたり…と、短い時間を「帰省」「海」という夏の子供のキーワードでくくりました的作品。時間も長くはないので、楽しさが持続してるうちに終わる感じ。
絵的にはかなり情報を切り詰めた線画になってて、動く絵本的なデザインです。というか絵本化してメディアミックスな展開してくれると面白そうです。あと、冬休み編も期待できそうですね。海はムリでも、空と鳥なんかができるんじゃないかと。

「ことりとはっぱ」
シンプルな2DCGアニメーション。
水やりしていた葉っぱがついに枯れ落ちて、風に飛ばされていくのを必死に追いかける小鳥のお話。途中からキツネに目をつけられてステレオタイプな物語になりますが、絵がスッキリとして観やすく、テンポもいいので楽しい作品です。
枯葉の仲間たちに囲まれて飛んでいく葉っぱを見送るあたり、何というか哀愁がこもります。

「バーチェとチェーチェともりのようせい」
今年のクロマメは直球の物語勝負できたぜ(第一作以来じゃなかろうか)。らぶ。
黒豆界の世界観はもうできあがってるので、マカダミアンとかは特にネタ振りもなく普通に出てきますね(笑)。「嘘つき」が今回のテーマですが、わりとストレートに(でもいつも通りゆる~く)まとめてます。クォリティは相変わらずのハイレベルですが、今回は手の込んだ新規セットあり。頑張ってますねえ。
舞台あいさつでバーチェ役の女の子、久々に見ました。ずいぶん成長してきたっす。もう数年経つとあのワガママっ子な感じで声を当てるのが厳しくなるんじゃないか…と無駄な不安を抱えたステージでした。
絵本、買いますぜ。南米の森から取り寄せます。

「フルーティー侍 4」
ま、何も書かずに今までの「フルーティー侍」シリーズへの YouTUBE 公式ページヘリンクを。
  ・フルーティー侍1
  ・フルーティー侍2
  ・フルーティー侍3
今回は赤林檎侍のエピソード。クロマメと同じような意味合いで、こちらも平常運行です。

「イヌイットのかみさま」
がっつりと3D。前のフルーティー侍だって3D作品なんだけど表現は2次元志向(オイラはこういう塗り3Dを「2.5次元」と称していたんだけど、今じゃ全然違う意味に使われとりますな、アニメ声優とか)。本作は逆に「ポリゴンCGでっせ~っ」ってのを全面に押し出した、レイトレーシング方式のハリウッド的3Dです。
イヌイットつまりエスキモーの子供が、雪原の中を遊んでるうちに謎の鳥(ライチョウ風)を発見、追いかけながら遠くへ行ってしまう…って他愛ない展開なんです。
何かヘンになっていくのは、子供の声がなくなって異変に気付いたお父さんが、クマの彫刻(グラインダーでやってる)の手を止めるあたりから。いやそんな民芸品作るイヌイットいねーし。人里離れた雪原に工房なんて作らねーし。そもそもそんな場所に子供連れてこねーし。(←オイラのツッコミ脳)
シチュエーションはいかにも「狩猟を教えるために子供を連れて長い冬の旅に出てた」、っていう感じなのに、意味不明な背景解説のせいで、「?」になりますな。
いろいろあってスノーモービルで探しに来たお父さんに回収される主人公。良かった良かったっていうか、なんかコレいろんな意味でイヌイットにする意味なくない? とか…。

「ふしぎな電球」
ザラメラ監督だ! でもパンフレットにはサラメーヤとか書かれて音訳変わってます。何でだろ。
今回は写真をデジタル合成してアニメーションするという、ここ10年ですっかり定着した手法でやってます。監督が第4回SSFのフィルムメーカー部門で参加した際、この手法で撮った作品がひとつあったはず(この年は東京で無職状態になってたので参加できませんでしたが)。
電球工場で働く男が主人公。この工場、チューインガムみたいなのを口に入れて、よく噛んで膨らますと電球になってるという、お子様の理想郷のような職場。でも主人公がガムをコッソリ貯めこんで持ち帰っているのを発見され、工場から蹴り出されちゃうという。ガムを噛みながらセッセと数式をチェックしてたりするマジメ技術者なんですが、いったいどうして…と思ったら、彼の隣で製品を試験してた女の子が夜に訪ねてきます。どうやら彼の落としたメモを読んで、その構想がわかったらしいんですな。ガラスビンに入った大量のガムを手にしてます。
男がガムを全部口に放り込んで膨らますと、巨大な巨大な電球ができはじめ…やがて電球型気球となってこの理系カップルを空へと運んでいくのでした…。
軽めのストーリーですが、紙のメモがスワイプできたり(またここでもスマホの影響が)、数値を書き換えるとグラフも書き換わったり、ハイテクの直接的なレトロ化が楽しく、また最近よく耳にするようになった「イノベーション」の過程が子供にもわかるような明快な画になってスクリーンを覆います。
やはりこの人は職人ってだけじゃなく、他のクリエイターに頭ひとつ抜きん出た才能があるよなあ、と思いを新たにできました。
次回の作品もチェックするですよ!

「グラッファローのこども」
ウィリアム・ハートとかヘレナ・ボナム=カーターとか、ハリウッドの名優が声をあててる豪華3D短編アニメ「グラッファロー」の続編。
前回は元ネタありの完全な民話でしたが、想像上の動物グラッファローがオチを担っていた前回と違い、今回は彼の息子が主人公。オリジナルです。でも実は「グラッファローの息子が凶悪なネズミを探しに行く」という逆パターンの話で、登場キャラクターも律儀に前回の逆でグラッファロー→ヘビ→フクロウ→キツネ→ネズミ、と全シーンで同じパターンが繰り返されます。
まあ特に感想を書くまでもなく、サクサクと進むいいお話でした。一度路線が敷かれてしまうと、3Dはいろいろスピンオフするのがラクなんでしょうね。もう一作くらい出てきそうな気がします。

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