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After 311

スペシャル・プログラム「After 311」。
一作一作はさほどの重さはないんですが、全部まとめてくるとノックアウトでした。
もちろん見る側だって、こんだけ大量の作品を毎年観てるとそうそう簡単に涙が流れないように計算できるわけです。でも、最後の最後、監督の意向で「ブロッサムの修正バージョンです」ってのがもう一度かかった時、無防備のところへパンチ食らったみたいに涙腺崩壊しました。
たぶん、「津波そして桜」のあとに「ブロッサム」を上映した方が(つながり的に)効くんでしょうね。

テンプレ

「サンキューワールド」
昨年のSSFオープニングアニメですね。いいアニメだったと思います。鳥カゴの中の少年だけ、どうしても意味不明でいろいろ考えちゃうんですけど(笑)。
震災から派生して表面化した原発稼働問題ですが、夏の関西が終わって、もうすぐ北海道人の頑張りどこになりそうです。寒くなったらこのアニメを見ながら気合入れようと思ってます。
あ、レビューじゃないや(笑)。

「二本松を知ること」
恵庭市と二本松市の小学校の交流を描いたドキュメント。インタビューによって子供たちの笑顔と、親たちの生活不安が交互に描き出されて、子供たちが地域社会のある種の「希望」「絶対軸」として機能しているのがわかりました。
北海道って、こういう時に無条件で親切にできる土地柄なんだよな。福島の人たちに逆照射される形で、自分たち北海道人の陰影も少し見えた感じ。
オイラは東京行ってる間に心が汚れたよなあ…。

「ブロッサム」
本作は良くなかった。詩が、状況を説明しすぎていたと思っています。絵だけで十分パワーがあるので、言語的な補完の役割は音楽(できれば歌詞なし)に任せるべきでは…と思っていた部分が、改作版では修正されています。

「福島からのメッセージ」
ラストのクレジットなんですけど、「企画 シアターキノ」と出てきて椅子から身を乗り出したオイラ。そうか、キノの人脈で出来上がっていった作品なのか。だから映画館から話がスタートするわけか…。
シンプルにインタビューを連ねて、放射能と共に生きることを選択した人たちの辛い心境が綴られていきます。
この作品で、日本が未来に負った負債は想像以上に重かったと考えなおしました(大体ソビエトなんて膨大な経済負担で国が一度滅んだわけだし)。ちょっと安易にマスコミの誘導に乗っかってた自分が、この1年のいろいろを考えなおすキッカケになってます。
他国はどうでもいいけど、少なくとも地震国の日本で原発事業の維持はムリだろうなやっぱ…とか、観ながら考え続けてました(ここ数日は「IAEAに担保つけてもらってロイズにでも原発保険かけて、ちゃんと保険業者に危険性を査定してもらえば?」と思ってる)。

「『663114』」
66年蝉という長命なセミが、地上に出て脱皮しようとする…タイミングで震災が! 津波が! 原発が! というCG作品。セミを横から描いたアングル固定で、必死で生き延びようとする、しかしモッサリした動きで観客をハラハラさせるという…。
ラスト、66年後に突然変異を遂げた次世代が、日本を賞賛しながら木を登る姿に、66年以上のスケールに渡る壮大な(そして悲しい)何かを観ました。

「最後のお見舞い」
被災地の親族を見舞った、非常に短いプレイベートフィルムに、撮影した本人(北海道人)のナレがつきます。
そう、北海道では対岸の火事扱いなんだよなあ。ちなみにうちの縁戚も東北に散らばって、叔父は六ケ所村だったりしますが。

「缶闘記」
石巻の缶詰工場を、被災数日後から追いかけたドキュメント。倉庫にあった80万缶が流されて泥だらけになったのを、集めてきて洗い、仕分けして出荷する。映像の迫力は凄かった。
社長さんが人のよさそうな、実直そうな感じで、しかも苦悩なんか表に出さずにサラサラとインタビューに答えて行きます。やることがあれば人は苦しみを感じない。悩む必要もない。そういうのが言外に出まくっていて頼もしい。
今度缶詰を探してみようか。木の屋石巻水産。

「津波そして桜」
外国の方が制作したドキュメント。日本人を外側から描いている点で、とても収穫でした。
冒頭に出てくるプライベートフィルムの映像が凄くて、もう。遥か彼方から来た黒い波が、車を押し流し、家を押し流し、やがてカメラのすぐそばまでやってきて…あまりに壮絶で、脳が「コレはCG映像」と信号出してました。
全体的に、一見散漫に見える被災者へのインタビューが、「桜を愛でる日本人性」に収斂するのが見え始めた時、その強引さにちょっと反感がありました。でもそこを合理的に、また多くの傍証をもってまとめあげていくうち、いつしか自分が思っていたのとは別の日本人観が見えてきた。
沖縄と北海道を除けば日本人ってやっぱり桜が好きだし、散り際が美しいとか思ったりする(北海道はもう春半ばだから汚いね)。そこにある桜と人生のメタファーは、戦国期からずっと武家社会に根付いていて、多数の歌が詠まれ、日本文化に刷り込まれている。その目で観るべきなのかもなあ、と。
北海道と沖縄で感性を培った自分が、異邦人に見えてきましたね。

「ブロッサム(改)」
前述の詩の朗読をやめ、英語の歌に差し替えたバージョン。エンディングも付け足されてキッチリ完結してますが、前の方が余韻が残って素敵でした。
奥田瑛二が「長い散歩」をカナダの映画祭に持っていった時、審査員のキャシー・ベイツが「魂の映画」と評したのを思い出した次第。本作はアレと違って天使という記号の扱いがステレオだし、展開も一直線なんだけど、やはり救済の物語なんですよね。
無罰的な姿勢を貫く本作のスタンスは、耐えなければいけない今だからこそ、ピンポイントに大事な意味を持ってくるんでしょう。何か、震災後の様々な事件でしこりが残っていた気分が、キレイに溶けていった感じです。アニメとして評価する気は全然ないのに、そんな自分の小さな度量なんか関係なく効いてくる、魔力といってもいい、不思議な力。本当にこのアニメ、不思議。

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