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続けていくぞ日本プログラムB! これも観てから一日以上たっちゃいましたが…。
さて、和風の風景をじっくりたっぷり見せてるのが多いのが、今年の日本プログラムの特色と言えるか。
最後には、そういうムードをぶっ壊す強烈な悪戯作品も登場しますが…。

『セイキロスさんと私』
稲川素子事務所さん大活躍の巻(笑)。しかもこの謎の外人女性って、『日本以外全部沈没』でメイドさんやってた方じゃないですか! めっちゃキレイだったのですぐわかったという(再笑)。学生監督の作品とはいえ、これはもう完全にプロダクション映像ですよ。テレビ業界のルーチンワーク化された職人芸に、若い監督の弾ける才能。両者の幸福な出会いといえばいいのか…でも、オリエント地方の歴史的な記号というか、引きずってきた色々な文化は、まだまだ盛り込めたと思うんだよなあ。広げた風呂敷が大きく、集めた材料がいい分、やはりどこまでも欲がつのる逸品でした。

『ぶんぶん米』
切り紙アニメ or デジタル合成。短いけど《動く絵本》みたいな味があっていい感じです。

『デノテイション』
夏の日本家屋。セミの音がかまびすしく響く中、何か赤いモノが滴り落ちてきます。ってか、滴り落ちると言うよりグニョ〜ンと伸びて来る感じでドアノブから床へ到達…する前に曲がりました。赤い物体が床と平行に伸び始めます。この作品、このカット割に無駄がないという点で天才的。まるで初期のカーペンター作品みたい(特に『遊星からの物体X』前半部)。結局この赤い物体の正体が明かされる事はないんだけど、ただの実写CG合成映像を、ここまでの緊迫感を持って最後まで観せる力量はただ事じゃないと思いました。是非、和製カーペンターを目指して頂きたい。

『イシノオト』
ホラー、というよりはクラシカルな怪談。しかも日本ってよりか、中国系の怪談な感触です。怪異にとても情緒があって、妄念・怨念一辺倒じゃなく、愛や想いがあるからこその怪奇現象というかね。造りは誠実、役者も達者。映像に語らせる事で、セリフが拝された無言劇になっている点も非常にスタイリッシュ。今年の上映作品中でも屈指の完成度です。なのに、ラストの処理がちょっと乱暴なんだけど…オイラ目をつむって、見なかった事にしましたから(笑)。

『ありふれた帰省』
懐かしき60年代風SF、または眉村卓風味のドラマか。日常生活へ唐突に超文明風の混じり込んでくる感触は、SFの楽しさを通り過ぎてもうレトロ感満載。展開も極めてオーソドックスだし、演技もやたらNHKの「少年ドラマ」風。つまりは、完成されたあるフォーマットに極めて忠実な作品でして、誉めるべき部分もけなすべき部分も見出せないという…ここは、冒険なき創作姿勢にこそ罪を見るべきなのか…? もちろん、SF者としては楽しませてもらいましたが。

『注意書き』
これが良かった。着眼点の勝利です。日常で不断に目にする様々な注意書き、我々がどれほど縛られた生活をしているのか、自由選択できるようでどれほど決まった道を歩いてしまっているかを実感できる。監督の舞台挨拶によれば、一昨年のSSF#1に地元人の観客としてやってきて、今回初めての映像作品をエントリーしたんだとか。正直、後半のドラマ部分はチト辛いものがあるんですが、適度な時間に納めて切り上げた編集の力で切り抜けた感じ。

『機械人間、11号』
投票作。これはですね! 監督自身が舞台挨拶で「中身が何もない」と逃げてましたが、ンなこたァないっ! いやホント素晴らしいんですよ! 大量のデジタル写真をPC上で彩色・合成してアニメにする技法を使ってるんですが、これってベルギーのアートアニメ監督ラウル・セルヴェがアナログ写真でやってた技法じゃないですか! 特に彼の笑えるホラー短編『ハーピア』と本作『機械人間、11号』は、ケバい色使いといい、ムチャクチャな展開といい、合成の無理矢理ぶりといい、魂を継承したと言っていいんじゃないでしょうか(上品さについてだけは継承してませんが… (^o^;)。もーね、ストーリーなんてどーでもよくて、その表現の無茶っぷりばっかりに感動してました。セルヴェの手法が、今ならデジカメとPC使えば(個人で、スタジオなんか持ってなくても)ふっつーにやれるようになったんだなあ…その時代の進歩の方に驚愕したかも。

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