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チルドレンAインプレ

夜を徹してコレ書いて、何とか1周遅れまで追いついた(笑)。

「ニコニコ」と題された子供向けAプログラム。
Aだけ観て言うのは何ですが、「男の子向け」「女の子向け」とか、「セリフなし」「字幕あり」とかいう分け方の方が、親が悩まないんじゃないかなあ…。
総評としては、『冬のおくりもの』に嫉妬。って、ぜんぜん総評じゃねェし(笑)。高校生がここまでやれる時代になったってのは、一昨年に釧路中学の作品をいろいろ見てますから理解してます。んでもねー、映画祭のチルドレンプログラムに選ばれるなんて、やっぱり嫉妬する(笑)。映像技術、物語構成的には、まだまだ詰める余地あり…ってのは各論で。

『冬のおくりもの』
というわけですぐに各論ですが(あれ?)、コロポックル伝承に材を取った札幌発の人形アニメ。スタッフさんたちが高校の制服のまま舞台挨拶に上がってました。オイラの高校時代なんて自分の創作物で挨拶どころか評価なんか来なかったよ…というのは古参の愚痴ですゴメンな。
さて、このスタッフの方たちがこのブログを観る確率は1/3という前提(まあ一昨年は色々な監督さん来たみたいだけど…)で、テクニカルな指摘点をば。

1)ナレは減らすべし
背景の色使いや人形のデザインからして、この作品のターゲットは幼稚園あたりからだと思われます。だとすると、セリフなしで話を理解できるように編集で頑張る方が、ナレで頑張るより真の観客たち(つまり子供たち)に親切です。できれば無言劇で、季節を表す記号を活用して状況を観客へ伝えるべし。そして、それは今ある映像を編集するだけでも97%までやれると思うっすよ。

2)クローズアップはもっともっと活用できる!
鮭を持ったコロポックルの手。これこそ、クローズアップで見せてやるべき&じっくり愛情を込めてアニメートする価値のある部分です。なぜなら、人間がかの妖精と接触したのはその部分だけだから。この手こそが、民話の原点ともなっている…そう解釈してもいいくらい。物語の本質は、人間と妖精の「接触」にあるはず。

3)実際のシマフクロウはでっかい
これは友人の動物写真家から聞いた話ですが、ヒグマと並んで神格化されていただけあり、シマフクロウのデカさ、インパクトは半端じゃないそうです。


もちろん、クレイを動かす事への頑張りと試行錯誤は画面に見えました。そこは、クリエイターごとに決して同じ道を通る事のない、この作品が持つ重要かつ独特な香りです。作品が持つ個性とも言える。結局、そこに嫉妬するんですなぁ…。

『ウモ』
日本のクレイ作品が続きます。本作はノリがよく、クレイの動きも丁寧。そしてまた砂時計という小道具の使用方法が秀逸でした。画面ににじむデジタル合成独特の軽薄な感じも、全体のテイストを決めるのに役立っていたと思います。

『オクトパス』
副題に「たこちゃん」って書いてあるんですが、まあ間違ってはいないですけど…もっといいネーミングはないものか(笑)。フランスらしいスピード感重視のチェイスものでした。タコ vs 3輪オートつう組合せが凄すぎます。クレジットでアニメ学校の名門 LES GOBLIN の名が出ていたと記憶してますが、「まだまだこれからさ!」的な全然終わってないエンディングは、いかにもあそこらしい締め方で気持ちよかった。

『こんにちは!』
SSF#1 に登場した、(推定)世界最大の実験アニメ『マンウォッチング』は、その実験性の高さゆえ、評価はできても楽しかったかと言うと疑問でした。それをですね。素晴らしくも画期的な技法で両立させちゃったのが本作ですよ。韓国の児童たちを教室に集め、みんなで協力してアニメを作成する。その、絵を描く光景までもアニメにしてしまう…という、大混乱&超楽しそうな実写アニメ! たとえば一人の子が一枚、絵を書くでしょ? その紙を左脇に除けて、次の子に席を譲る。そうやって、一人の子が描くのを一枚づつ撮って行ったら…左脇に除けた絵が動き始めるんですよ〜! 実写の光景の中でのアニメーション。楽しそうに絵を描く子供たちともあいまって、「アニメーションとは現実にはないもの。人の心が観るもの」という、オイラ的原理原則が揺らぎましたねえ。

『シミュクラ』
ここでやっとフル3DCG作品の登場。SFです。個人ベースのCGも年々グレードが上がって、本作はもう、大画面のスクリーンにかけてもハリウッドのメジャー作品と区別できないほど精緻に描かれてます(短編じゃないか、って?…それがいいのだ!)。さて、ストーリーは、アレです。今やカルトSFとして超有名になったアノ作品のラストシーンをそのまま頂戴した系。まあSFとしては今や「基本ワザ」と言えるオチでしょう。アメリカならではの、中身よりも表面のクロームメッキがピカピカ光った作品でした。それはそれで、やっぱ楽しいです。

『わたしのじょうおうさま』
これがねー! 途中からもう涙が止まらなくてねー! 『小さなお魚さん』がなかったら断然こっちに投票してました! リオのカーニバルで踊る少女の、ドキュメンタリー風な話。あそこでは10歳でダンサーデビューみたいなんですよ。主人公のジョゼは学校チームの雛型である旗手に選ばれて、もう浮かれ通しの毎日。さしずめ、ハリウッド映画だとデビュー前のチアリーダーみたいなもんですな。ところが彼女のパートナーとして見合う技量の相手は、学校に一人しかいない…と語った瞬間にカットバック。以前のカーニバルの映像らしい、その男子が舞う軽やかなステップの映像が入ります。白いブーツに白いパンツ姿で、足先から映り込んでいく! このカットがむっちゃかっこええ〜! リオのきったねー裏路地での、浅黒い肌をしたプリンス&プリンセスの笑顔&ダンスに涙が止まらない。普段の暮らしが全然幸せそうに見えないのに、あの踊りを見てしまうと全部が吹き飛んでいく。祭りのチカラって奴ですね。その笑顔と同量の辛さを背景に隠し持った、リオデジャネイロの見事
な断面でした。

『くらいつけ!』
魚の世界を描いた3DCG作品。悪ガキたちが釣り針にあえて釣られて、トローリングされるスピード感に酔うという、まあいかにもオーストラリアらしい映画です。海面が近くなるほど強い光に包まれ、やがて海上へ踊り出て…このあたり、「海上=天界」という図式が明白で、やっぱりキリスト教の国だな〜と思わせます。まあお子様映画ですから、その後で識別票つけられてキャッチ&リリースされるんですがね。最後、もう「それでいいじゃん!」的な無罰的現状肯定。いかにもオーストラリアらしい締めです。

『ボクシング・レッスン』
なかなか強くなれない息子(10歳くらいか?)を強くしようとする、若き父のスポ根ムービー。ボクシングジムの少年コースで練習させてるんですが、息子はてんで相手にされてない。キレた父さん、リング上で練習中の男にイチャモンつけて真の男というモノを息子に見せ付けます。あっ、むっちゃ空振り! パワーはあるけど効いてないよこのパンチ! …予想通り、序盤の勢いをなくした父さんはだんだん追い詰められてサンドバッグ状態に。父というのは辛い商売ですな〜。なかなか星一徹にはなれませんなあ…などと考えてる間も、父さん粘る粘る。サンドバッグになっても、顔中血で染まっても、息子の前では逃げられない。もはや男の生き様がリング上で展開されてます。あっ、パンチが決まった! ノックアウトじゃん! この瞬間、息子の中で何かが変わるんですね。ジムのみんなも。最後、一人で更衣室のベンチに横たわる父の姿が、まるで昭和の頑固親父にかぶって見えてきました。オヤジの進化度という基準で、急発展するルーマニアの「今」を測れた作品。

『スーパーヒーロー・ブルース2』
イギリスにI−B『キャプテン・ロックブリッジ』ありせば、フランスには『スーパーヒーロー・ブルース2』あり。なんで同じようなGI人形をモチーフに使って、ここまで出来上がりが違うんだ(苦笑)。家の宝石を盗んだ相手を、オモチャたちが退治する話なんですが、もうバカバカしさ過積載。まあフレンチのユーモア作品に文句言ってもしゃーねーなー。

『小さなお魚さん』
投票作。あまりに正統で感動です。技術や時間が足りないなりに努力して、ユーリ・ノルシュテインやイジー・トルンカといった正統派の切り絵アニメを継ごうという意欲があふれまくった、詩情の塊。これもう、新人マンガ家がリスペクトの情熱だけで『火の鳥』書くようなもんですよ。というか『プルート』か。この気迫が画面に映りこんでて、もうどこを見ても凄い。オイラは画面の全てに愛情を感じましたね。お話はちょっと、まだまだ…って感じですが、語り口は堂々として立派に伝統的ロシアアニメ作家の風格が滲んでます。このままずっと、よそ見をせずに突っ走ってください。ずっとついて行きます。

『ポールのおじいちゃん』
Aプログラム最後の上映は実写作品。ドイツらしい…何だろうこれ(苦笑)。父と祖父をなくした発明少年ポール君が、自作のおじいちゃん(頭はバケツです (^-^;)で友達の女の子のおじいちゃんに対抗しようとするんだけど…というメインストーリーに平行して、近所でひっそりと暮らす孤独な老人が描かれるんですよ。老人の趣味はアマチュア無線。今時そんな趣味の奴は少なくて、彼の電波に答えてくれる相手はいないんですが。んである時、彼はポール君が母親との連絡にトランシーバーを使ってるのを知ってしまう。そこで部品を買い集めてセッセとハンダ付けして、トランシーバーを即席で作り…その日から、バケツのおじいちゃんがポールに話してくれるようになるんです!(爆) …あのさー、アマチュア無線なんて死に絶えた技術は、おそらく観客に理解してもらえないってば…この映画を若き親たちが、子供にどう説明したのか非常に興味あるところです。

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