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F-Bインプレ

フィルムメーカーズのB。
イギリス、オーストラリア、イギリスとお仲間コンペですな。5分前後の作品が多く、以下は忘れる前の急ぎ書きです。

●ケン・ワードロップ
この人はモノローグ中心で、言葉によってテーマを彫琢する傾向があり、イギリスらしいモソモソっとしたユーモア、過度のエロ志向が特徴のヒト。

『私の母親の衣服を脱がせること』
卒業制作。80歳になろうという実の母親の裸体を撮ります。で、母親自身に自分の肉体について語らせるという…インパクトは凄いんだけどネタがさすがにねぇ…。世界中で多数の賞を取ったらしいですが。

『使えない犬』
どうにもならん駄犬について飼い主がいろいろ語るのを撮ったドキュメンタリー。グレアム・グリーンが「ダメな犬ほど可愛い」と『ヒューマン・ファクター』の中で述べてましたっけ。映像を見る限り本当にダメダメな感じが、イギリス流のユーモアに重なり、ちょっと可笑しい。

『あいた!!』
字幕では「割礼」と言ってるけど、これ絶対に宗教的な意味を持たない「包茎手術」でしょ! 手術を経験した人々が、その痛み、失敗などを赤裸々に告白。でもカメラは彼らのパンツにロックオンしたまま動かないという…もう3作目になると彼の作風もわかって来たので、別に驚きはしませんでしたが。

『ボンゴ・ボン』
近所に住む無口な男について、近所の住人たちにインタビュー。とにかくこき下ろされます。いわく気味が悪い。何を考えてるかわからない。教会にも来ない。迷惑かけないからいい人かも…「余計なお世話の発言集」って感じです。

『10のお別れパケット』
タバコの価格が上がるらしい。老女二人がタバコをチェーンスモークしながら、生きにくくなったスモーカーの人生について、赤裸々にディスカッション。収録中、まじですげー量を吸ってます(笑)。

『スコアリング』
今回はキスについて徹底的に語ってみました。映像はナレを勤める男性と、その恋人。3分間ともかく唇・舌・歯・歯茎…まあよくこれだけキスのアングルがあるもんです。脱帽。

『結ばれた舌』
原題、Tongue Tide。つまり「舌の満ち干き」…というのがわかると、舌を突き出して相手を拒絶する行為の連鎖が、確かに潮の干満のようにリズムを持って見えてくる、そんな街中のスケッチ映像です。

『伝染性…』
アクビは伝染るんです。っていうだけの、ホントそれだけの映像…。


●カシミール・バージェス
監督来場。オーストラリアの若い方です。トイレですれ違いました(あまり意味なし)。
オーストラリアらしからぬ真面目で堅い作風か。

『ブース・ストーリー』
主人公は駐車場の警備員。毎日機械的な生活が待っているわけですが、ある日、駐車場の隅でヘンな卵を発見してしまう。図書館で調べたらカモの卵だって事で、この小さな生命を誕生させるべく老いた警備員の奮闘が始まる…なんというか、機械的な生活と、そこを突き抜けて不可逆に変化していくカモの存在が対比され、切ないラストへの下地を作っています。

『ローン・ライダー』
くだらねーんだコレ。馬と一緒に部屋に住む老いた男が、コツコツ金を貯めてる。噴水に潜ってコインも探すし、血も売るし、とにかく売れるものは全部金に変えた。そして男はフィルム缶を買うんです。夕暮れ、平原に出てフィルムをカメラにセットして「スタート!」と叫ぶと撮影をスタートさせ、急いでレンズの先にいる馬へ駆けていき、テンガロンハットをかぶると馬へ飛び乗って、そこで「アクション!」…ここで視点が撮影された映像に切り替わるんですが、見事な夕焼けの中、シルエットのガンマンが夕日へ向かって去っていくという…もちろんここでエンドクレジットの字幕がロールされてきます。伝説のカナダアニメ『Banbi meets Gozilla』並の爆笑です。ある意味コレ、深いんだけどね…。

『ディレクション』
この監督の世界観とユーモア性が開花した、完成度の高い逸品。オーストラリアのスーパーでは、買い物カートは有料制らしいです。取っ手のとこにコインを入れると、ロックが外れるという感じ。んで、奥さんに車で送られてスーパーまで来た中年の男。カートを使おうとしてコインを入れようとすると…カラカラカラ…という音と共に坂の上からカートが下ってくるじゃないですか。そのカートの中には「escape...」と書かれた一枚のプレートが貼られていた。その瞬間から男の逃避行が始まります。最初は束縛された生活からの脱出劇と思えてたんですが、カートへの異常な愛着が見えてくるにつれ、物語がファム・ファタールの構図である事を理解。金も、買い込んだ食料品も、服も何もかもをなくしていき、それでも取り憑かれたようにカートに乗って、満足げに、熱のこもった眼差しで、公道を進み続ける男。この物語構造の場合、普通は魔性の相手の死で決着がつくんですが、そのあたりを強引になぞり、さらに観客へ大納得の爽快感まで与えてしまうエンディングには、もう何がなんだかわからない感動が吹き荒れます。買い物カゴをネタに大恋愛ロマンをやれるだなんて…!


●ウィル・ベッヒャー
クレイアニメのお方です。監督の舞台挨拶あり。
ちょっとハゲ上がったオッサン風のルックスに騙されました。ナメてました。ごめんなさいミスター・ベッヒャー。

『箱詰め』
ダンボール箱を大事そうに抱えてきた老人。中を開けると、そこにはネズミ捕りとネズミが入っていた。両方をテーブルに並べてじっと観察するわけですが…あっネズミ逃げちゃったよ(館内爆笑)! それから爺さんとネズミの戦いの日々が始まります。色々な作戦を練ってネズミ捕獲に全力を傾ける老人。そんなもん完全無視で部屋を駆け回り続けるネズミ。ここらへん、クレイ人形を全く動かさないで、画面外で走り回るネズミの足音だけが響くっていう巧いテクニックを駆使してます(ピングーなんかでも、こういう音響で笑わせるエピソードはけっこうありますが)。この人はなかなかのクレイ巧者やぁ~とうならされました。

『オフビート』
同じ家並みが延々と続く光景。家の中の構造も同じで、TVがあってイスがあり、窓があってドアがある。んで家の中では男が一人、TVを見続けています。ここでニュース! 今日から警察はバカンスに入って、英気を養ってくるとの報が! 早速男は隣の家に忍び込んで、その家のTVを…って、ここでもうオチは明快なんですが(笑)。地球を一巡りして全ての人間が同じ行動を取っちゃうってのがバカでいいっす。

『気象予報官』
いわゆるお天気おじさん。日本ではお姉さんに駆逐されつつある人種ですが、イギリスではまだまだ健在なようです。でもまあ、オネェサンだろうがオジサンだろうが関係なく、現代じゃみんな気象予測にはセンサリングシステムとシミュレーションを使ってるワケっすよ。主人公のお天気おじさんも、機械の予報に従ってテレビで気象解説してます。ところがある日! 小鳥が電線をショートさせて、放送局につけられた予報装置を狂わせちったの! 狂った装置は連日、激しい雷や暴風を予測。その通りの気象になるあたりがこのアニメの面白いとこで、イギリス中が滅茶苦茶な天気に揉まれてしまう。ついにキレたおじさんが予報機をブチ壊し、放映用のイギリス地図にでっかい太陽マークをくっつけると、バカンスに出てしまうという…くっつけ方が甘くて太陽が落ちてきちゃうんですが(ここで館内、気持ちよく喝采)。クレイの楽しさを久々に味わわせてくれた傑作でした。もちろん投票作。

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