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超ゲリラ上映(笑)東京オンリーピック

全部打ち込んで送信したら、レビューが消えた…
立ち直れん…
さすが東京オンリーピック…

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SSF#3 終わる!

 [ Sapporo Shörtfilm Fêstival ] 
札幌国際短編映画祭、今年で3rd!

~ 3歳になった『Sapporo Shortfilm Festival』情報 ~
●場所:札幌東宝プラザ地図)/シアターキノ地図
●期間:2008/9/10~9/15
●情報:本家HPより「シリウス通信」が便利っす(でも本家も充実してきた~!)
●ブログ:SSFボラスタ生活(公式?)
※終わった。東京に戻ってきました。今年はスケジュールが厳しかった…。
 

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各国プログラムまとめ評

最終日の各国プログラムは、けっこう量があってヘヴィでした。
以下、見た順に随時更新。

●アジア
『記憶が聞こえる』
枠組みはSFなんですが、中身は恋愛モノ。新しき皮袋に古い酒の典型です。
冒頭に、想い人を失った主人公へ《記憶銀行》から電話がかかってきます。死んだ想い人の残した記憶を相続した旨の電話。その状況を納得し、受付の電話番号をメモるまでをワンカット長回しで撮影してます…観客を納得させるの、無理でしょーそれ! 冒頭シーンの終わりには主人公の「記憶を預けるなんて、科学が進歩したのね」なんてセリフまである割には、メインストーリーが固定電話ばっかりの世界じゃないですか! 物語的には従来から相手の日記とか手紙とか、音声テープなんかの小道具で済ませてきた部分に《記憶銀行》は乱暴です。観客を納得させるためには冒頭のカットを小割にして、銀行の総体・ビジネスシステムを観せ、観客に物語世界へのリアリティを与えるのが必要ではないかと思います。SFアウトサイダーがSFを利用する際の、最悪の使い方でした。
映画全体としてはどうだったのか? まあ普通の韓流でしたが…韓国を理解する上でキリスト教の影響は無視できないというのを強烈に実感しました。宗教的浄化装置としての水、雨、川、涙…明らかに中国的な意味の水とは違っていました。あと、主役の女優さんが麻生久美子に激似だったのが、可愛くて良かったかな(笑)。麻生久美子自身はワールドワイドの活躍で、もう可愛いだけの女優ではなくなっちゃいましたけど…。

『ティット・フォー・タット:報復への恐怖』
タイのシャーマニックなホラー。4編構成オムニバスの一編だそうです。学校でクラスメートからいじめ抜かれた少年が呪術を使った逆襲を決意。強烈な呪術グッズを作って反撃に挑むが…というのが前半のメイン。後半は暴走した魔力が惨劇を巻き起こしていきます。南伝の仏教国だけあって、罪のある人間に対して決して無罰的には済まさない点が、いかにもですね。
スピーディで色のメリハリがあり、人物が浅い割には場にいる人物構成のバランスがいい。この監督は案外、いい群像劇を作りそうです。

●オーストラリア
『クリケットの英雄』
冒頭から真っ当な先住民ネタで来ました。クリケットに夢中な息子を止めようとする父。父子はアボリジニですが、母は白人という家庭です。いろいろ父子の接触を通じ、実は19世紀にアボリジニのクリケットチームが英国女王の前で素晴らしい試合をしたという歴史を知る、という展開。ここで「自分のアイデンティティを何に求めるか」という深いテーマが立ち現れてきます。父が態度を変えるラストはなかなか感動的でした。

『9マイルの向こう側』
バスに乗って何年かぶりに自分の生家へ帰ってきた男。庭に置かれた車は事故でクラッシュしたようで、また男の弟は母親に面倒をみてもらってる車椅子生活。このあたりで何が起こったか観客には大体察しがつきます。弟の口から、兄が刑務所からわかるダメ押しで、兄弟の亀裂が非常に深くて決定的である事が察せられます。兄はいろいろ打開できるよう努力するんですが、弟との溝を埋めるには至らず…兄の最後の行動が、いかにもオーストラリア的でカッコいいです。

『裁き』
この映画の登場で『フォーン・ブース』は不要になったかも。携帯電話版・ショート版という枠組みで『フォーン・ブース』のスリム版・ブラッシュアップ版になってます。残業中、煙草を吸いに外へ出たビジネスマン。別の男が近づいてきて話しかけるんですが、だんだん話が変な方向へ進み始める…「子供を授かるってのは神秘的な事だ」とか言い出したあたりで、そのルックスからネオナチを想像するんですが…あーやっぱりそんな展開になりますか…衝撃のラストが、なかなか計算されてます。

『かしこいにんげん』
ほぼワンセット(?)アニメ。一枚の絵で、マンションの自宅から会社の自室までを描き切ってる画面構成がうまい。そんな世界で毎日同じ生活してるんだからストレスも溜まります。PCが、コピー機が壊れるように人間も壊れる。そして男はいつもマンション前にいるホームレスの助言に従って旅に出るのです…心が洗われる場面で「世界が違って見える」というのを、本当にアニメのタッチを変えて描いているのが秀逸。

『ジャンプ』
高級っぽいホテルのベランダから飛び降りようとしてる女性。世界は近未来、センサーが発達し、許可なく他人に触れる事もできなくなってる時代。さてそこへルームサービスの女性がやってきます。な~んとゲストへ直接身体が触れないよう、金属製のマジックハンドつけてます(笑)。窓際の客を見つけていろいろ説得し、リラックスさせて…この作品、微妙な小ネタが凝ってるのでSFとして飽きさせません。物語がバカっぽくて軽薄そうに見えても、SFはもっと違うところで勝負するんだから。

『悲しみの詩』
先住民の葬式。仏様は若い男です。みんなが嘆き悲しむ中、白人男性が訪れて…あ、路上で止められちったよ。どうもこの白人男性が仏さんの死の原因と思われてるようです。いろいろあって何とか棺の前に立てた来訪者ですが…なんか庭で親族と話してたお父さんが怒りまくって入って来たよ…様々なレベルの怒りが錯綜する、先住民たちの演技がナチュラルでよかった。

『エロイーズの物語』
パンフによれば第一次大戦後の欧州が舞台だそうですが…まあファンタジー的な舞台だよなあ。石畳とレンガに囲まれた夜の裏路地。一人の少女がバイオリンを弾きます。この娘がむっちゃ可愛くてね~! キャラで引っ張れる作品は得です(断言)。んでバイオリンの弦が切れた時、そこへ名刺が飛んでくるわけですよ。名刺の裏には「バイオリンを直してあげるよ」とメッセージが。翌日行ってみたら、そこは何と発明家の…いやマッドサイエンティストの家でした。この発明家、少女を映画のカメラみたいな装置の前に連れて行くと「撮影させてくれ」と頼むんです。彼の話によるとこれは被写体を物語にする装置。実際にネコで実験すると、銀板代わりの本にネコが閉じ込められちゃう。ネコの物語ができあがったわけです。さあ少女エロイーズは報われない現実を捨てて、理想の姿を物語に閉じ込める気になるか…? というのがお話のメインのテーマ。人間とは、人生とは…ってものを考えちゃうと同時に、発明家が他にも少女をいろいろ物語にしてるのがわかってからは、青髭的なテーマも絡んできます。最終的にエロイーズは物語になる決断をするんですが…残念ながら彼女の物語は彼女の生きてきた「そのまま」でしかなかった…。
本作は様々にモチーフを広げられるし、描き足りない部分も多々あります。是非とも長編化して、もっともっと多彩な展開を盛り込んで欲しいなあ、と思いました。

●ジャーマン
『ピーターの法則』
社会学者の著書「ピーターの法則」。昇進すればするほど無能になるという法則を逆手に取って、無能な従業員がトップへ上り詰めるまでを描いた人形アニメ…。

『原子くんは怖くない?』
原子くんが、原子力がいかに必要かという事を説明してくれます(マジでそんだけ)。都合が割るいとこは思いっきり答えなかったりごまかしたりしますが、基本的には気さくでいい奴です。

『ジャーマン・エア・フォース・ガイ』
ドイツ空軍の人形を集めよう! こ~んなに凄いテロリストごっこができるんだぜ! …っていうCM。とりあえず彼らは、テロを防ぐためなら民間人の巻き添えは気にしません。

『ザ・バンジーズ』
ウサギの子供4匹のクレイアニメ。宿題やってないのをどう切り抜けるかという不毛な相談がメインで、まあ黒いです。

『サイバー』
3×3×3メートルくらいの直方体空間の内部だけ、バーチャルにいろんなモノが流れてくるっていう装置の2Dセルアニメ。ワンカットで固定アングル、なのでどういったモノが流れて来るかが見せ所です。「同じ事を繰り返すようで、少しづつ発展してるんですよ」ってのを、絵と共にバッハのカノンで聞かせるあたり、さすがはクラッシック音楽の国です。

『大自然』
バカ丸出しの3D。無駄に精細で驚きました。ドイツ人のやるバカは限度がなくって侮れないんだよなあ~。大自然の中での素早すぎるネズミの行動をスローモーションで見てみたら、メスの取り合いしてるオスが2匹、マトリックスばりの死闘を繰り広げているという…ま、予告でも毎回場内にクスリと笑いが漏れてたんで、こんな内容だろうとは想像ついてましたが。中身はないけど(ないから?)妙に気持ちいい作品です。

『赤ウサギ』
3Dが続く。割とポリゴン荒目ですが、動きが自然でビックリです。部屋(通常の人間の)から出られないほど巨大なウサギを飼ってる男が、マンション上階の女性と出会ってしまい、ウサギの存在を隠そうと…オチが途中でバレるんですが、長く引っ張る話ではないし動きで楽しめるので、気になりませんでした。

『アンハルター駅で』
モノローグ+シュール系の人形アニメ。この事や、セットの不潔感などから『ストリート・オブ・クロコダイル』を連想させます…とてもその領域ではないけれど。SSF#1で上映された『在来線の座席の下に住む男』あたりに近いコンセプト・技術レベルだと思います。

『ポスト!』
2Dアニメで、「検閲」「情報操作」の是非を考えさせてくれた、楽しく、なかなかに深い話。秀作です。

『部品』
かな~り笑えた! これこそがドイツのショートフィルムだ! …って感じ。『部品』というタイトルですが、原題はアウトソーシングとなってましたから、やはり「外注化」という会計学によって企業の本隊業務にメスを入れる昨今の風習を皮肉ってるんでしょうね。家事の効率の悪さを理由に奥さんが「解雇」され、実家に帰らなきゃならなくなるとういう…ここで場を仕切ってるのが父ではなくPCを駆使する長女だ、ってところがドイツらしい感じ。

『「われわれ」の土地』
「われわれ」がカッコ付き。なぜなら主人公はロシア人の不法滞在者だからです。
ここで思いっきり個人的な話。オイラが昔行ってたフィリピンパブが、数年前にロシアンパブになっててビックリした事があります。店主のお爺さんはクリスチャンで、人助けの目的が第一でフィリピンに出向いては自分でホステスさんやボーイくんをスカウトしてたそうです。それをロシアに切り替えた。場所はウクライナ地方。チェルノブイリのある場所ですな。あの土地の人々は、想像を絶する状態に置かれてるような気がします…と、余談ばっかり長くなりましたが。
本当に、世界中で、ウクライナの人たちは大変な苦労を強いられてるんだな~、というのが実感できる本作。「息子が7歳になるのに小学校へ入れられない」という、身分を偽ってギリギリの生活をするロシア人(しかも故国では医師だったらしい)の苦悩が肌身でわかります。いや正直、途中で少し泣きました

『ワイアー』
すげえ~! 枕にちょっと無駄話すると、公共住宅政策って言うのはだいたいその国での住宅を規格統一しちゃうわけです。日本の場合は高度成長時代に住宅公団が始めた「2DK」「3DK」などの間取り設計が、今はどこでもスタンダードになっちまってる。日本の場合、住宅は同じような間取りが密集した、団地化・マンション化の方向だったわけですね(長屋の近代化とも言えるが…)。
それがドイツではどーなのか! …というのが一目でわかる、ドイツの一戸建てが「団地」である事をわからせてくれた実写アニメーション作品。間取りどころか家の形や庭の大きさまで画一化しているので、同じアングルで撮影した住宅の写真をどんだけ差し替えてもシルエットは変わらない。外装や庭の木々が変化するだけです。これを2分に渡って延々と繰り返す! いったいどれだけ戸建て住宅を撮影したんだ…とビックリしました。個人製作のインディペンデント作品だと思いますが、美術協力・ドイツ市民/規格・ドイツ(笑)。

『モトドローム』
超ミニサイズのモトクロスレーシング場のドキュメント。なんたって、カーニバルと一緒に移動して、直径10メートルくらいの木造の小屋を建てて、そこでレースやっちゃうんですから! 当然地面を走るなんてのは不可能なんで、遠心力を利用して側壁をグルグル駆け回る。観客は小屋の最上部からレースを見下ろすという仕掛けです。でもまあ、結局映画としてはそんだけなんですが…。

●UK
しまったあぁぁ~!
致命的な事に、パンフを札幌に忘れてきてしまった!
タイトルがわからないのはまだいいとして、2作品だけどうしても作品そのものを思い出せない…結局 mixi の SSF コミュで、久保氏に教えていただきました。お手数かけました。_o_

『STREAM』
筋肉と、流れる汗。筋肉と、流れる汗。筋肉と、流れる…あーそればっかりかよ! って思ったら、パンツをアイロンがけしてたようです。スチームで暑いのか。

『Alex and her Arse Truck』
パブで自分のシミパンを売って稼ぐ女。彼女の変態なフィルムを見てマスターベーションする恋人。まあ若干スカトロの入った変態な人間模様が繰り広げられ…って、こういう非ポルノグラフィックなのって何か意味があるんでしょーか。エンディングは無駄に青春してて、いいかも。

『The Animal Book』
途中までは人形アニメですが…なんと、題名通りのアニマルブック=動物絵本が登場してから様相が変わってきます。本の中の絵がどんどん街へ飛び出してくるんですが、紙に描いた絵そのまんまがコマ撮りでアニメーションされる…これは! これは英国のお家芸である『フラットワールド』方式の上手な復活です! この路線、もっと突き詰めて楽しい作品をいっぱい作って欲しいなあ、イギリスには…。

『WINDING DOWN』
老いた時計修理工。年のせいか、お得意さんからの時計修理がだんだん厳しくなってきてます。で、息子の薦めでとうとう店を閉めてしまいました…あれ、終わり? 題名通りのゼンマイ切れ。

『Homeless Me』
監督来場。東京のダンボールハウスの住人と一緒に寝起きして、彼らの生活に溶け込んだドキュメンタリー。見慣れた風景が英国人のカメラによって異化されるのかと思いきや、まあ普通にホームレスの生活が展開されてました。うーん、外国人には面白いかもしれないけど…太極拳の練習や祭り太鼓の練習が行われる、河川敷の朝の光景はちょっと新鮮。

『気象予報官』
これ、F-Bの奴とかぶってますね…まあ2回観れてハッピーでしたが…。

『Dying Backwards』
画面には焼け残った車が。煙がどんどん車に吸い込まれているので、早回しの逆回しだと即座にわかります。あ、消防隊員がホースで水を吸い取ってる! 燃えた燃えた! …ってそんだけ?

『Subterranean Scene Filter』
昨年フィルムメーカー部門で好評だったらしいサイモン・エリスのドキュメンタリー。NYの地面から立ち昇る湯気を、マンハッタンに引かれたパイプに沿って、様々な場所でひたすら撮り続ける…ってそんだけ?

『ソフト』
冒頭が、携帯動画の映像で人気のない裏路地でのリンチ場面を映し出すんですが、臨場感でまくりです。優柔不断で暴力を奮えない父が、路上で不良に絡まれた。さあここが決断の時…いや決断しません。かわりに息子がキレて不良をタコ殴り…ハッピーエンド(笑)。ジャーマン・プログラムで『大自然』を観た後だからなあ。人間のコミュニケーションの不全性に想いが行ってしまうなあ(笑)。

●カリフォルニア
『ストラック』
ナーイス! これぞハリウッド味の正しい使い方! 道で見かけた女性に一目ぼれした主人公。ズッキューン…という衝撃が胸に走ったと思ったら、ハートが射ぬかれていました。もう、本当に長さ1メートルの金属の矢が胸を貫通してんの(笑)。恋する男のちょっと不便な日々を、矢というアイテムでわっかりやす~く消化吸収してしまいました。偶然再会した女性に矢を抜いてもらってハッピーエンドに至るんですが、そこで犯人たる天使の姿が…ヒゲ面にサングラスのパンクな男でした。街角で恋する人々へ矢を向け速射するエンディングは、すげーカッコよかった。天使モノはバリエーションが尽くされた感があるんですが、まだ正攻法でこういう手があったか! と、心地よく膝を打ちました。

『テレス・ノアール(黒い土地)』
ベルギー製作のカリフォルニアショート出品作。幽霊屋敷モノの変種としては秀逸。コンペだったら投票したなあ…あ、無敵ショート『ジェニー・マリー』があるから厳しいか。本作は炭鉱を幽霊屋敷とみなして展開する点がアイデア賞モノで、さらにセリフを排して展開するシンプルさ&「幽霊」たる「炭鉱の中を徘徊する裸体の女性」の美しさとエロティックさ(って姿がチラチラ見えるだけなんですが、背景とのコントラストが素晴らしい)…見事としか言いようのない、上質なゴーストハウス・ストーリーに仕上がりました。こういう古びた物語は、新機軸を打ち出せるかが勝負だと思うんですが、短編という枠組みの中では無駄なく、飽きさせず、必要な要素はキッチリ盛り込んで、完全でした。

『ドリームタイム』
同じくベルギー作品が続く。管理社会モノです。舞台を未来世界とはせずに、第一次世界大戦後あたりのレトロな(カフカ風の)テクノロジーに留めてあるところがミソで、このあたりは『未来世紀ブラジル』よりもビジョンが明確です。ただ、予算のなかさらか、対置される「夢の世界」がちょっとショボい(ただのパーティー会場)。このふたつの世界を行き来する装置が「赤い砂」。さすがはベネルクス3国。ドラッグの表現に禁忌感が微塵もありません(制度的に禁じられてるだけ、ってスタンス)。この赤い砂を目のあたりにパラパラっとふりかけると夢の国へ行ける(笑)というお手軽さもイイ。これ、当然ヨーロッパの砂男伝承を意識したアイテムで、20世紀初頭の世界観に重ね合わせる事で「砂男 vs 管理社会」→「テロリズム」という流れに持っていきます。この論理展開の妙が、21世紀の観客を深く引きずり込んでいく、映画自身が砂男的な感じでした。

『ジェニー・マリー』
アイルランドからの出品。ずるいです(笑)。少女モノの超正統派。戦後直後の飢餓状態のダブリンを、推定7歳の少女ジェニーが裸足で歩く。冷たい石畳の感じが、もう泣けてきます。この手の話の定番で、ジェニーは不幸という概念そのものを持ってない。自分の境遇が辛いと思わないので泣かないし、澄んだ目(ある意味、死んだ目とも言う)で、親や、教師や、近所のおばさんをじっと見詰める。この子役の演技に神様が降りてきてまして、何というか『みつばちのささやき』のアナ・トレントのアイルランド版です。その上で迎えるクライマックスの、教会が配るパンに飢えた市民が群がるシーンが圧巻で、半世紀前の、まだ人に節度のあった時代の雰囲気とか、それが崩れていく有様とか、群集の演技が素晴らしい。彼らに押しつぶされて踏まれてぶっ倒れちゃうジェニーに、会場では鼻をすする音が連発してました。今時ここまで堂々と王道を進んだのは、やっぱりずるいよ! 泣いたけど(笑)。

『ボードビリアン』
同じ貧困の時代でも、こちらは時代を遡って大恐慌のアメリカ中西部が舞台。当然現代のサブプライム問題の時代背景にかぶらせるアメリカ作品です。サーカスが解散して職をなくした腹話術師の主人公。道々、人形と今後の事を話し合うあたり、相当キてますが…人形が主人公の内面を代弁するというオーソドックスな仕掛けですな。ところが物語は悠長な方向ではなくけっこう緊迫してます。卵を盗みに入った農家で銃をつきつけられ、「動物と話す霊能者さ!」と、とっさにニワトリと会話して見せて難を逃れる主人公。すっかり信じ込んだ農夫から、いろいろ切実な話を持ちかけられて…完全な詐欺行為に「ヒトとしてどーよ」って突っ込む人形に対して、背に腹は代えられんと返す主人公。どっちも同じ人間の別側面であるわけですが、ラストは人形と決別した主人公を描いて苦い味を残します。ハリウッド的なハッピーエンドを求めない姿に、アメリカの今を見たか。あるべきインディペンデント映画の姿でした。

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最終日

いま各国プログラム見てます。

とりあえずアジア編、タイのホラーがよかった。
ただタイの文化的背景については、少し知識を入れておくべきかも。
しゃーないんで会場の質疑応答で監督に質問入れた。
タイはまだまだ禁忌の多い世界のようで、そこがホラーが好まれる理由のようです。

韓国作品はストーリーとは別に、SFという次元でダメ出し。
最初の長回しが猛烈に悪い。ここはレビューで詳説するはず。

オーストラリアは真面目系が増えましたが、相変わらずアイデアの素晴らしさは光ってる。
ラストのファンタジーは青髭のバリエーションとして特筆モノでした。是非とも長編を観たいし、商業的に成功すると思うなぁ。

さー次はドイツだ。
ドイツ映画は覚悟がいるよなあ(笑)。

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樊噲排闥賞2008

やって参りました。
当ブログの勝手賞「樊噲排闥賞」の発表です。

作品賞:I-D『S.I.T.E.』
企画賞:I−E『ネズミ狩り』
監督賞:I−C『ナイトビジョン』
特別賞:チルドレンB『雨の中のキリン』

以下、選評。

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ギガント資金難(笑)

今回の最大のネックは資金と睡眠時間。どっちも致命的に不足してる…今から寝ますけどね。
んで、実家にあるDVDを売って明日の活動資金を稼ごうと思ったら、いつの間にかブックオフの買い取り価格が一枚百円になってた…。

てなわけで、昨日から非常にみっともない状態が続きますが、やけくそでSSFスタッフさんに質問です。
どなたか、『未来少年コナン』初版DVD−BOXを5000円くらいで買いたいぜ! って人はいるでしょうか? 『キィ・ザ・メタル・アイドル』DVD全巻でも可(なんか凄いランクの差 f^_^;)。
いらっしゃったら、明日現物を持って行きます〜。コメントよろしく〜

セーブ・ザ・自分!(墓穴

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I−Fインプレ

これはSSFのお約束「映画好きもビックリ」でございます。やっと来た!
さて、このプログラムの後でバーへ飲みに行きまして(もう金がないので全部ツケ (^-^;;;)、4時ごろ会場に舞い戻りました。レビュー書くために連日ネット喫茶に入り浸った報いで、サイフの空になったため、会場1階のカフェコーナーに陣取ってレビュー書いてやろうという目論見です。
ここで初めて、主催の久保さんに自己紹介させてもらいました。
「自己紹介させてもらいますが…エスねこです」
毎度ながらペンネームは言いにくいなあ(苦笑)。
何やらオイラのイメージがかなり想像と違っていたようでビックリされてましたが、要件を伝えてカフェコーナーの隅っこに陣取り、国内プログラムを書き上げ、いまコレ書いてるという状態。気を許すと絶対カクテル飲じゃうので、にぎやかなバーコーナーから隠れるように、柱の影に隠れてPC打ってるという(笑)。

で、I−Fです。思ったよりは小粒でした。
映像というよりは物語中心で、堅実・上質なんだけどヌルい作品もあります。やはりハリウッド文法は短編では機能しないのか?

『静かな雪』
グリーンランドを舞台にしたドキュメンタリー。海が最も汚染された海域…と書いても理解できないでしょうから解説しますと(作品中でも言及されていないし…)、グリーンランド沖は世界の海洋表層水が深海へ沈み込むポイントなのです。つまりアレです、風呂の排水溝です。海水の汚染だけじゃなく、小魚→アザラシを経由した生体汚染が深刻で、アザラシが主要タンパク源であるグリーンランド地元住民には手痛い打撃…「ビタミンが豊富だ」とか言って食ってましたが(汗)。温暖化の影響も深刻で、冬季の凍結がなくなって犬橇が走れないとか、いろいろ笑えない事態になってるみたい。あと、グリーンランドはバイキング入植までは定住者がいなかった土地なので、歴史としては千年ないくらいの若い世界だったはず。それを「何千年も続いてきた我々の暮らしを…」とか言うのはちょっとマテ。

『逃亡』
3分もない、ベリーショートな衝撃作。小道具として留守電が活用されてます。男からの謝りの電話が何度も何度も吹き込まれてるんですが、カメラはそれと平行してボストンバッグを映し続ける。そこへ衣類がいくつもいくつも乱雑に放り込まれ、ある朝の別れの、ありふれた光景を思い浮かべるわけですね。ところが映画の最後で、ボストンバッグの蓋が閉じられると、その向こうにはベッドに横たわる女性の死体が…いきなりストーリーが逆転するという。ただ同じ留守電ネタでは、I−Eの『不在』の方が出来としていいかな。

『ロックアウト』
セキュリティ完備のマンションに鍵を置き忘れ、締め出されてしまった。さあどうやって入りますか? というストレートな作品。主人公がちょっとバイタリティに欠けてるっぽい女性だというのがミソで、色々なドラマの結果、ロックアウトから数時間で見事に路上でコインを恵んでもらうホームレス状態に転落します。このあたり、展開に説得力もある(弱い部分は主人公の性格的な穴で補強してあるし)ので、なかなか息が詰まります。ただ、それから以後のストーリーは超前向きなハリウッドぉ〜展開になってしまう(カナダ映画のくせにぃ!)ので要注意…。

『親切の先に』
はい、これが正真正銘のアメリカ製ショート。感動的なサウンドに乗せて、街行く人たちの親切の連鎖が描かれます…が、なんかこれがまたアメリカという国だなぁ、って感じでして。無人駐車スペースの時間切れになった奴にコイン入れてやるとか、ダイナーでチップをいっぱい払うとか…「それが小さな親切か?」と疑問も思い浮かぶ内容。この疑問が最後のオチで、皮肉に効いてくるあたりにアメリカ文化ってモンの裏面が見えた感じかな。

『ある池』
ネタバレ注意。
ブリティッシュの正統派ドラマ。場所はイギリスの田舎、学校帰りに近所の沼地へ寄る子供たち。主人公のメイジは沼にまつわるいろんな噂を否定し続けた結果、ある賭けをやる事になります。沼の底から彼女のブレスレットを拾ってきた生徒がいたら、水着になって泳ぐという…ここまではイギリスのジュヴナイルらしい、硬い展開。それと平行して描かれるメイジの暮らし振りは、母の失踪によって気力を失った父を支える、健気な少女です。さて賭けの当日、彼女は参加する男子から1ポンドづつ集めて順に潜らせるわけですが…ブレスレットは出てこなかったが母の形見が出てきた…ラストカットは警察が捜索する沼地のほとりで、顔色なく抱き合う父子を描いて終わります。これ、背景は何も語られないけど「メイジが父親を独占したいがために母を殺して沼に沈めた」と解釈してOK? これで途中の演技や伏線がビシッと符合するんですが…。

『失われた線路』
オランダらしい、幽霊談のケバっとした感触が心地いいかも。オチは空中三回転半ヒネリ(=やりすぎ)みたいな感じがしますが、まあ伏線の張り方が見事なので納得は行くかなあ。不気味な夜汽車という空間に、美女ばかりが乗ってると言うのが絵的にグーでした。

『ブラインド・スポット』
クレジットによると製作2006年。でも内容は2007年のサブプライム問題を予見したような、ホームレス(ハウスレス?)映画です。一見ホームレスとは見えない姿で登場させるのがミソで、画廊に現れた有名女優と黒人ミュージシャンというカップル。主人公がふと足元を見ると、女性のストッキングが裂けているという…この場面、一瞬ドキリとさせるサスペンスがあります。まー、そっから後はハリウッド文法にのっとった普通のドラマなんですが…サブプラがここまで問題となった今、この穏便な展開はちょっと評価が難しいなあ。

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N−Bインプレ

続けていくぞ日本プログラムB! これも観てから一日以上たっちゃいましたが…。
さて、和風の風景をじっくりたっぷり見せてるのが多いのが、今年の日本プログラムの特色と言えるか。
最後には、そういうムードをぶっ壊す強烈な悪戯作品も登場しますが…。

『セイキロスさんと私』
稲川素子事務所さん大活躍の巻(笑)。しかもこの謎の外人女性って、『日本以外全部沈没』でメイドさんやってた方じゃないですか! めっちゃキレイだったのですぐわかったという(再笑)。学生監督の作品とはいえ、これはもう完全にプロダクション映像ですよ。テレビ業界のルーチンワーク化された職人芸に、若い監督の弾ける才能。両者の幸福な出会いといえばいいのか…でも、オリエント地方の歴史的な記号というか、引きずってきた色々な文化は、まだまだ盛り込めたと思うんだよなあ。広げた風呂敷が大きく、集めた材料がいい分、やはりどこまでも欲がつのる逸品でした。

『ぶんぶん米』
切り紙アニメ or デジタル合成。短いけど《動く絵本》みたいな味があっていい感じです。

『デノテイション』
夏の日本家屋。セミの音がかまびすしく響く中、何か赤いモノが滴り落ちてきます。ってか、滴り落ちると言うよりグニョ〜ンと伸びて来る感じでドアノブから床へ到達…する前に曲がりました。赤い物体が床と平行に伸び始めます。この作品、このカット割に無駄がないという点で天才的。まるで初期のカーペンター作品みたい(特に『遊星からの物体X』前半部)。結局この赤い物体の正体が明かされる事はないんだけど、ただの実写CG合成映像を、ここまでの緊迫感を持って最後まで観せる力量はただ事じゃないと思いました。是非、和製カーペンターを目指して頂きたい。

『イシノオト』
ホラー、というよりはクラシカルな怪談。しかも日本ってよりか、中国系の怪談な感触です。怪異にとても情緒があって、妄念・怨念一辺倒じゃなく、愛や想いがあるからこその怪奇現象というかね。造りは誠実、役者も達者。映像に語らせる事で、セリフが拝された無言劇になっている点も非常にスタイリッシュ。今年の上映作品中でも屈指の完成度です。なのに、ラストの処理がちょっと乱暴なんだけど…オイラ目をつむって、見なかった事にしましたから(笑)。

『ありふれた帰省』
懐かしき60年代風SF、または眉村卓風味のドラマか。日常生活へ唐突に超文明風の混じり込んでくる感触は、SFの楽しさを通り過ぎてもうレトロ感満載。展開も極めてオーソドックスだし、演技もやたらNHKの「少年ドラマ」風。つまりは、完成されたあるフォーマットに極めて忠実な作品でして、誉めるべき部分もけなすべき部分も見出せないという…ここは、冒険なき創作姿勢にこそ罪を見るべきなのか…? もちろん、SF者としては楽しませてもらいましたが。

『注意書き』
これが良かった。着眼点の勝利です。日常で不断に目にする様々な注意書き、我々がどれほど縛られた生活をしているのか、自由選択できるようでどれほど決まった道を歩いてしまっているかを実感できる。監督の舞台挨拶によれば、一昨年のSSF#1に地元人の観客としてやってきて、今回初めての映像作品をエントリーしたんだとか。正直、後半のドラマ部分はチト辛いものがあるんですが、適度な時間に納めて切り上げた編集の力で切り抜けた感じ。

『機械人間、11号』
投票作。これはですね! 監督自身が舞台挨拶で「中身が何もない」と逃げてましたが、ンなこたァないっ! いやホント素晴らしいんですよ! 大量のデジタル写真をPC上で彩色・合成してアニメにする技法を使ってるんですが、これってベルギーのアートアニメ監督ラウル・セルヴェがアナログ写真でやってた技法じゃないですか! 特に彼の笑えるホラー短編『ハーピア』と本作『機械人間、11号』は、ケバい色使いといい、ムチャクチャな展開といい、合成の無理矢理ぶりといい、魂を継承したと言っていいんじゃないでしょうか(上品さについてだけは継承してませんが… (^o^;)。もーね、ストーリーなんてどーでもよくて、その表現の無茶っぷりばっかりに感動してました。セルヴェの手法が、今ならデジカメとPC使えば(個人で、スタジオなんか持ってなくても)ふっつーにやれるようになったんだなあ…その時代の進歩の方に驚愕したかも。

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N−Aインプレ

日本プログラムA。一昨日観たにもかかわらず、力尽きて放ってました。
なので舞台挨拶とか忘れた(笑)。
しっかし今年の日本は弾けたのが少な〜いっ! …まあ『タフガイ2005』に匹敵する弾けっぷりは厳しいかなあ…。
Bの方には『大怪獣ネガドン』級の作品が一本あり。これはテクニック的にも特筆すべき点があるため、マジメにレビューする予定。


『サイレント・レイク』
一人の女性を中心に、湖〜水〜砂漠なんかを背景としたイメージ中心の映像です。これはエコを切り口にした作品ですから、水のイメージは子宮のイメージに連鎖したり(女の子の下腹部へベタに湖のイメージが投射されるんですが)、水の青が空の青にリンクしたりもします。イメージの連鎖は楽しいし美しいけど、5分ではなかなかこれら「環境」というモノの実体に迫れない。記号とその集約方法、ここを見直せば、もっと大きなモノを表現できそうな気もします…。

『ODEKI+』
3DCG。1分以下のベリーショートなコントをつなげた、4分半のオムニバス構成。うかつな行為で毎回おできを潰しちゃって、地獄の痛みを味わう男の…学習効果のない(むしろエスカレートしてる?)スラップスティック。

『貪る食事』
切り絵をデジタルで動かした作品と思われます。原生動物をイメージしたデザインの生物たちが、食うか食われるかの生存競争を繰り広げるオムニバス短編集。内容的にはただそれだけであって、古生物とか原生動物とかの現実からは離れて、奇想的な生命たちを楽しむ「ヴァーチャル弱肉強食」といった内容の作品でした。このあたりの割り切り方が、例えばヤン・シュワンクマイエルの『石のゲーム』(60年代)、イシュ・パテルの『ビーズゲーム』(70年代)なんかとの違いだなあ、と思えます。アニメーションの語源は「生命」。デジタル時代の到来で、アニメもライトに遊べる時代となったのをしみじみ実感します(オッサン世代にとってはな)。

『わたしが沈黙するとき』
この作品…監督が実際に意識してるかどうかは不明なんですが、いわゆるレズビアンものとは違うような気がするんです。主役となる恭子とお相手の利恵は、髪型・体型共にほぼ同じで、互いに『プラークの大学生』的な《影》となっているんす。少なくともオイラはそう解釈して、全く矛盾なく作品全体を理解できた。この二人は互いに、自分で歩みたいけれど歩めない人生を補完しあっている存在で、同性愛というよりは自己愛の変種と言った方がいいでしょう。そう解釈すると本作は「自己探求の物語」へガラリと変貌するし、奥行きがグググッと深くなる。叶えられない自分の夢を切り捨てる時、それが「わたしが沈黙する時」なんですな。うーむ、監督の意見を聞いてみたくなったかな…。

『大地を叩く女』
アメリカにI−D『ビッチ』ありせば、日本に『大地を叩く女』あり。ただ主人公が常時《I−Dビッチ》的、というわけではなくて「冴えない地味な、食肉店従業員」って設定ですが。舞台はつげ義春が大好きそうな寂れた街角。なので映画全体がオフビートなガロ系です。しか〜し! DVを常時受け続けてる主人公ですが、職業柄ロース肉を叩いて伸ばしたり、カッターで薄切りにしたり、日常的に象徴的スプラッタ行為をやってるわけです(この辺、ヘアメイクを暴力に重ねた『エクステ』にすっげェ通じてる)。このファム・ブッチャー・パワー(笑)が、物語の進展につれ徐々に、徐々に強くなって行く。ついに爆発する時には過剰な怒りの表現として日本が巻き添えに…このあたりのエスカレーション具合がとても心地いい、日本によくあるジメジメ系の枠組みに納まらない突き抜けっぷりでした。弾けてしまった後の、エンドクレジットのバックで展開される映像が最強です。

『放課後、エメラルド』
通常のセルアニメ。なんか最近「通常の」って前置しないと旧来のアニメを表現できなくなってきたな…デジタル時代恐るべし。関西弁のキッパリした性格の女の子と、フワフワした影の薄い彼氏。この二人を平凡・日常的なディスカッションによって対比しながら、物語はやがて生と死を見つめる展開へと…って、ああ〜…日本のクリエイターが好きな展開だよなあ。個人的にはもう少しオチをひねって、ステレオタイプを脱して欲しかったです。

『覗』
これは東京藝術大学120周年記念で製作されただけあって、関係各社も商業映画に遜色がない顔ぶれだし、正統な映画になってますよ。インディペンデントの匂いすらしない、ごく普通の意味での傑作。自作の日韓翻訳ソフトを韓国へ売りに来た主人公(ITエンジニアの起業家と推測)。彼は泊まったホテルのテレビで、おかしなチャンネルを見つけた。監視カメラらしいその映像は、なんと彼のいるシングルルームと同じような造りの部屋を俯瞰するものだったんですな。TVの映像の中では、若い女性が室内でたたんずんでいるんですが、それがやがてカメラの方を見つめて、何かを訴えかけて…ビデオカメラ越しの映像、「覗く」者が見返される事で何となく「覗かれてる」ように感じるという逆転。こりゃもー強い禁忌感を催させる展開です。しかし物語は(最初から下地はできてますけど)ホラーの方向へと進み始め、ラストでは観る・観られるの関係が融合する、ありえない空間へと変貌するのです。主人公を韓国で一人ぼっちになった日本人にしたのは、短時間で無理なくホラーの
土台を構築できた点で秀逸でした(今度、自分でも使ってみるか…)。またこれは深読みですけど、この作品は日本の映像作品を意識した韓流、そしてその作品群を受け入れている日本観客の関係に通じています。日韓の関係は、監視カメラによる覗きと、監視対象から見返される事による「覗かれている」という強迫観念を伴っているのかも。どっちの側から見てもね…。

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SSF#3、前半戦まとめ

とうとう前半戦が完了し、各国プログラムとチルドレンBを別にすると、残りはI-Fのみという状況。
ここらで一度、今回の映画祭の特色についてまとめる必要がありそうです。

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チルドレンBインプレ

ごめんなさい。途中2作ほど寝てました(汗)
いやぁ、あまりに連日の疲れが激しくて…映画、映画、レビュー、映画、映画、酒、レビュー、仮眠…というペースですから。
まあ、ひとつはよぉ~く知ってる北米インディアンの神話だし、もうひとつは展開がゆるくて3分おきに目を開けても話はわかった。
投票作は『雨の中のキリン』という、I-A~I-Fでも立派に通用する難民テーマの傑作アニメ。
このプログラムはもう一度チャレンジしてから…って事で、日曜日に…。

…はい。早いもので日曜日になりました。

『かんきょうレストラン』
舞台挨拶がありました。監督さんはコツコツとイラスト書きそうなタイプの女性でした。個人的にはタッチや毒がチョコっとだけ往年の真鍋博を思い出させてくれて、嬉しかったかな。作品全体も、初期の星新一のムードあり。

『なつやすみのしゅくだい』
なんか…何を言及すればいいんだこの実写短編。とりあえず『リトル・ミス・サンシャイン』の爺さんと女の子が親の監視下になかったらどうなっていたか、ってのを再現してくれていて、ソレはソレでよかったかも(笑)。

『まちのそうじやさん』
けっこうベテランのアニメーターによる、詩情でいっぱいのロシアアニメ。しかもこういう、明示的にポリシーを打ち出す事を否定したアニメも、ロシアでは珍しいです。『ナイト・ウォッチ』シリーズは案外、ロシア映像作品の新しい扉を開いたのかもしれないですな。

『へスース』
実写ドラマ。描いたものがホンモノになるという、魔法のチョークのお話。オチがオチになってなくて、ある意味強烈でした。『猿の手』ハッピーエンド版みたいな感じか(笑)。

『マギーとミルドレッド』
これは技法の勝利。編物で作った家と人物をPCで取り込んで、アニメーションさせてるんだと思います。今までにない新感覚の毛糸タッチなアニメっす。まあPC処理なんで動きはすべらかで手作り風味ではなく、逆に違和感ありまくりですが…。

『でんせつのヒュー』
アパッチ、ナバホ、アメリカのいろいろな先住民の間で伝わってますね、この話。アメリカインディアンの伝承では、むかし空はすんげー低くて、煮炊きすると煙が目に染みるほどだったといいます。それを現在の高さまで持ち上げた少年の話なんですが…まあそんだけでした…。3DCGですが造形は特に凝ったところはなく、アイデア的な側面をあえて挙げれば、伝承部分が2Dで巻物風に描かれるくらいかなぁ。もっと技術的にはヘタクソだった2006年チルドレン賞の『ビビ』の方が記憶に残っちゃうのはなぜだろう…。

『ピカピカ・ザ・ムービー 〜 ゴー! ゴー! ピカピカ!! 〜』
実写CG合成で、夜の街をピカピカ光るモノが徘徊! ミュージッククリップのスタイルで、非常にノリがよく楽しい作品でした。ただ、あえてここで言わせてもらいたいのは「ピカピカひかるモノたち」が原色で、ハッキリとした姿をしていて、様々な夜の風景と絡む…こういうコンセプトであれば是非とも子供向けでやって欲しかった(というか今後考えてみて頂ければ…)。本作の内容は登場人物も曲も、明らかに20代向けです。この技法は子供向けでこそ真価を発揮するし、無性に楽しいものが作れるはずです。それだけのポテンシャルが、この映像には隠れていて、まだ掘り出されていないと思います。

『チューリップの通りで』
ブラジルの人形アニメ。なんか南米っぽく、表面は明るいのに後味には苦いモノがありました。発明家のポリーノ教授が、いろんな発明品で街を幸せにしてる…はずなんだけど全然そう見えないんですが、それはともかく…彼は子供時代からの夢があり、ロケットを作って住み慣れた街を去って宇宙へ旅立っていきました。おしまい(アゼン (^-^;)。最後にナレが、「たまに教授からの手紙が届きます」と語って彼からの封書を映し出します。これ、いわゆる「夜逃げ」を美化して語ってるってコトですか? 南米作品は直接にメッセージを語るものと、覆い隠すものがあるんで、オイラは本作を後者に分類する事にしました。多分、ブラジルの実際の有名人を指した比喩的な亡命ドラマ作品なんじゃないか…と思います。

『かわいそうなヨリック』
ロシアンアニメですが、タッチはいかにもチェコ風味。インターネットの時代になり、各国の文化的ボーダーは確実に崩れつつあります。ノリノリでテンポよく、死者の王国のスラップスティックなカタストロフが描かれます。『タイタニック』『ロード・オブ・ザ・リング』等、有名作のパロディシーンが含まれているのもロシア製としては意外かな。

『ぼくのあざ』
えーと。アメリカの短編。こんなんアメリカでなけりゃ製作しないでしょう(笑)。80年代後半を舞台に、首のアザがコンプレックスになってる少年が、自分の目標とする人物としてゴルバチョフを見出してしまう。彼は、頭の堂々としたアザがインパクトありますからね。しっかしゴルバチョフって、アメリカ映画や小説では実名でよく使われるよなあ(ハーバード・バークホルツの『センシティヴ』というスパイSFシリーズでは、暗殺から逃れるために主人公たちと一緒にロシア人移民地区へ潜って…主要人物並みの活躍してた)。あの国にとって一番怖くなかったロシア人指導者、って事なんでしょうかねー。

『雨の中のキリン』
これ、2回観て2回とも投票しました。政治亡命者の事情を子供にわかるようにキッチリ描けた作品は、これ以外に知りません。しかもめっちゃ楽っし〜い! 超がつくオススメ作品! 今回のSSFでなんかの賞を取るんじゃないかと思ってるんですが、出なくてもうちの賞を出します(笑)。


やたっ!
これでコンペ部門のレビューは全部終わったァ! でもホントは明日の各国プログラムが一番の地獄なんだけどね…。

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F-Bインプレ

フィルムメーカーズのB。
イギリス、オーストラリア、イギリスとお仲間コンペですな。5分前後の作品が多く、以下は忘れる前の急ぎ書きです。

●ケン・ワードロップ
この人はモノローグ中心で、言葉によってテーマを彫琢する傾向があり、イギリスらしいモソモソっとしたユーモア、過度のエロ志向が特徴のヒト。

『私の母親の衣服を脱がせること』
卒業制作。80歳になろうという実の母親の裸体を撮ります。で、母親自身に自分の肉体について語らせるという…インパクトは凄いんだけどネタがさすがにねぇ…。世界中で多数の賞を取ったらしいですが。

『使えない犬』
どうにもならん駄犬について飼い主がいろいろ語るのを撮ったドキュメンタリー。グレアム・グリーンが「ダメな犬ほど可愛い」と『ヒューマン・ファクター』の中で述べてましたっけ。映像を見る限り本当にダメダメな感じが、イギリス流のユーモアに重なり、ちょっと可笑しい。

『あいた!!』
字幕では「割礼」と言ってるけど、これ絶対に宗教的な意味を持たない「包茎手術」でしょ! 手術を経験した人々が、その痛み、失敗などを赤裸々に告白。でもカメラは彼らのパンツにロックオンしたまま動かないという…もう3作目になると彼の作風もわかって来たので、別に驚きはしませんでしたが。

『ボンゴ・ボン』
近所に住む無口な男について、近所の住人たちにインタビュー。とにかくこき下ろされます。いわく気味が悪い。何を考えてるかわからない。教会にも来ない。迷惑かけないからいい人かも…「余計なお世話の発言集」って感じです。

『10のお別れパケット』
タバコの価格が上がるらしい。老女二人がタバコをチェーンスモークしながら、生きにくくなったスモーカーの人生について、赤裸々にディスカッション。収録中、まじですげー量を吸ってます(笑)。

『スコアリング』
今回はキスについて徹底的に語ってみました。映像はナレを勤める男性と、その恋人。3分間ともかく唇・舌・歯・歯茎…まあよくこれだけキスのアングルがあるもんです。脱帽。

『結ばれた舌』
原題、Tongue Tide。つまり「舌の満ち干き」…というのがわかると、舌を突き出して相手を拒絶する行為の連鎖が、確かに潮の干満のようにリズムを持って見えてくる、そんな街中のスケッチ映像です。

『伝染性…』
アクビは伝染るんです。っていうだけの、ホントそれだけの映像…。


●カシミール・バージェス
監督来場。オーストラリアの若い方です。トイレですれ違いました(あまり意味なし)。
オーストラリアらしからぬ真面目で堅い作風か。

『ブース・ストーリー』
主人公は駐車場の警備員。毎日機械的な生活が待っているわけですが、ある日、駐車場の隅でヘンな卵を発見してしまう。図書館で調べたらカモの卵だって事で、この小さな生命を誕生させるべく老いた警備員の奮闘が始まる…なんというか、機械的な生活と、そこを突き抜けて不可逆に変化していくカモの存在が対比され、切ないラストへの下地を作っています。

『ローン・ライダー』
くだらねーんだコレ。馬と一緒に部屋に住む老いた男が、コツコツ金を貯めてる。噴水に潜ってコインも探すし、血も売るし、とにかく売れるものは全部金に変えた。そして男はフィルム缶を買うんです。夕暮れ、平原に出てフィルムをカメラにセットして「スタート!」と叫ぶと撮影をスタートさせ、急いでレンズの先にいる馬へ駆けていき、テンガロンハットをかぶると馬へ飛び乗って、そこで「アクション!」…ここで視点が撮影された映像に切り替わるんですが、見事な夕焼けの中、シルエットのガンマンが夕日へ向かって去っていくという…もちろんここでエンドクレジットの字幕がロールされてきます。伝説のカナダアニメ『Banbi meets Gozilla』並の爆笑です。ある意味コレ、深いんだけどね…。

『ディレクション』
この監督の世界観とユーモア性が開花した、完成度の高い逸品。オーストラリアのスーパーでは、買い物カートは有料制らしいです。取っ手のとこにコインを入れると、ロックが外れるという感じ。んで、奥さんに車で送られてスーパーまで来た中年の男。カートを使おうとしてコインを入れようとすると…カラカラカラ…という音と共に坂の上からカートが下ってくるじゃないですか。そのカートの中には「escape...」と書かれた一枚のプレートが貼られていた。その瞬間から男の逃避行が始まります。最初は束縛された生活からの脱出劇と思えてたんですが、カートへの異常な愛着が見えてくるにつれ、物語がファム・ファタールの構図である事を理解。金も、買い込んだ食料品も、服も何もかもをなくしていき、それでも取り憑かれたようにカートに乗って、満足げに、熱のこもった眼差しで、公道を進み続ける男。この物語構造の場合、普通は魔性の相手の死で決着がつくんですが、そのあたりを強引になぞり、さらに観客へ大納得の爽快感まで与えてしまうエンディングには、もう何がなんだかわからない感動が吹き荒れます。買い物カゴをネタに大恋愛ロマンをやれるだなんて…!


●ウィル・ベッヒャー
クレイアニメのお方です。監督の舞台挨拶あり。
ちょっとハゲ上がったオッサン風のルックスに騙されました。ナメてました。ごめんなさいミスター・ベッヒャー。

『箱詰め』
ダンボール箱を大事そうに抱えてきた老人。中を開けると、そこにはネズミ捕りとネズミが入っていた。両方をテーブルに並べてじっと観察するわけですが…あっネズミ逃げちゃったよ(館内爆笑)! それから爺さんとネズミの戦いの日々が始まります。色々な作戦を練ってネズミ捕獲に全力を傾ける老人。そんなもん完全無視で部屋を駆け回り続けるネズミ。ここらへん、クレイ人形を全く動かさないで、画面外で走り回るネズミの足音だけが響くっていう巧いテクニックを駆使してます(ピングーなんかでも、こういう音響で笑わせるエピソードはけっこうありますが)。この人はなかなかのクレイ巧者やぁ~とうならされました。

『オフビート』
同じ家並みが延々と続く光景。家の中の構造も同じで、TVがあってイスがあり、窓があってドアがある。んで家の中では男が一人、TVを見続けています。ここでニュース! 今日から警察はバカンスに入って、英気を養ってくるとの報が! 早速男は隣の家に忍び込んで、その家のTVを…って、ここでもうオチは明快なんですが(笑)。地球を一巡りして全ての人間が同じ行動を取っちゃうってのがバカでいいっす。

『気象予報官』
いわゆるお天気おじさん。日本ではお姉さんに駆逐されつつある人種ですが、イギリスではまだまだ健在なようです。でもまあ、オネェサンだろうがオジサンだろうが関係なく、現代じゃみんな気象予測にはセンサリングシステムとシミュレーションを使ってるワケっすよ。主人公のお天気おじさんも、機械の予報に従ってテレビで気象解説してます。ところがある日! 小鳥が電線をショートさせて、放送局につけられた予報装置を狂わせちったの! 狂った装置は連日、激しい雷や暴風を予測。その通りの気象になるあたりがこのアニメの面白いとこで、イギリス中が滅茶苦茶な天気に揉まれてしまう。ついにキレたおじさんが予報機をブチ壊し、放映用のイギリス地図にでっかい太陽マークをくっつけると、バカンスに出てしまうという…くっつけ方が甘くて太陽が落ちてきちゃうんですが(ここで館内、気持ちよく喝采)。クレイの楽しさを久々に味わわせてくれた傑作でした。もちろん投票作。

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チルドレンAインプレ

夜を徹してコレ書いて、何とか1周遅れまで追いついた(笑)。

「ニコニコ」と題された子供向けAプログラム。
Aだけ観て言うのは何ですが、「男の子向け」「女の子向け」とか、「セリフなし」「字幕あり」とかいう分け方の方が、親が悩まないんじゃないかなあ…。
総評としては、『冬のおくりもの』に嫉妬。って、ぜんぜん総評じゃねェし(笑)。高校生がここまでやれる時代になったってのは、一昨年に釧路中学の作品をいろいろ見てますから理解してます。んでもねー、映画祭のチルドレンプログラムに選ばれるなんて、やっぱり嫉妬する(笑)。映像技術、物語構成的には、まだまだ詰める余地あり…ってのは各論で。

『冬のおくりもの』
というわけですぐに各論ですが(あれ?)、コロポックル伝承に材を取った札幌発の人形アニメ。スタッフさんたちが高校の制服のまま舞台挨拶に上がってました。オイラの高校時代なんて自分の創作物で挨拶どころか評価なんか来なかったよ…というのは古参の愚痴ですゴメンな。
さて、このスタッフの方たちがこのブログを観る確率は1/3という前提(まあ一昨年は色々な監督さん来たみたいだけど…)で、テクニカルな指摘点をば。

1)ナレは減らすべし
背景の色使いや人形のデザインからして、この作品のターゲットは幼稚園あたりからだと思われます。だとすると、セリフなしで話を理解できるように編集で頑張る方が、ナレで頑張るより真の観客たち(つまり子供たち)に親切です。できれば無言劇で、季節を表す記号を活用して状況を観客へ伝えるべし。そして、それは今ある映像を編集するだけでも97%までやれると思うっすよ。

2)クローズアップはもっともっと活用できる!
鮭を持ったコロポックルの手。これこそ、クローズアップで見せてやるべき&じっくり愛情を込めてアニメートする価値のある部分です。なぜなら、人間がかの妖精と接触したのはその部分だけだから。この手こそが、民話の原点ともなっている…そう解釈してもいいくらい。物語の本質は、人間と妖精の「接触」にあるはず。

3)実際のシマフクロウはでっかい
これは友人の動物写真家から聞いた話ですが、ヒグマと並んで神格化されていただけあり、シマフクロウのデカさ、インパクトは半端じゃないそうです。


もちろん、クレイを動かす事への頑張りと試行錯誤は画面に見えました。そこは、クリエイターごとに決して同じ道を通る事のない、この作品が持つ重要かつ独特な香りです。作品が持つ個性とも言える。結局、そこに嫉妬するんですなぁ…。

『ウモ』
日本のクレイ作品が続きます。本作はノリがよく、クレイの動きも丁寧。そしてまた砂時計という小道具の使用方法が秀逸でした。画面ににじむデジタル合成独特の軽薄な感じも、全体のテイストを決めるのに役立っていたと思います。

『オクトパス』
副題に「たこちゃん」って書いてあるんですが、まあ間違ってはいないですけど…もっといいネーミングはないものか(笑)。フランスらしいスピード感重視のチェイスものでした。タコ vs 3輪オートつう組合せが凄すぎます。クレジットでアニメ学校の名門 LES GOBLIN の名が出ていたと記憶してますが、「まだまだこれからさ!」的な全然終わってないエンディングは、いかにもあそこらしい締め方で気持ちよかった。

『こんにちは!』
SSF#1 に登場した、(推定)世界最大の実験アニメ『マンウォッチング』は、その実験性の高さゆえ、評価はできても楽しかったかと言うと疑問でした。それをですね。素晴らしくも画期的な技法で両立させちゃったのが本作ですよ。韓国の児童たちを教室に集め、みんなで協力してアニメを作成する。その、絵を描く光景までもアニメにしてしまう…という、大混乱&超楽しそうな実写アニメ! たとえば一人の子が一枚、絵を書くでしょ? その紙を左脇に除けて、次の子に席を譲る。そうやって、一人の子が描くのを一枚づつ撮って行ったら…左脇に除けた絵が動き始めるんですよ〜! 実写の光景の中でのアニメーション。楽しそうに絵を描く子供たちともあいまって、「アニメーションとは現実にはないもの。人の心が観るもの」という、オイラ的原理原則が揺らぎましたねえ。

『シミュクラ』
ここでやっとフル3DCG作品の登場。SFです。個人ベースのCGも年々グレードが上がって、本作はもう、大画面のスクリーンにかけてもハリウッドのメジャー作品と区別できないほど精緻に描かれてます(短編じゃないか、って?…それがいいのだ!)。さて、ストーリーは、アレです。今やカルトSFとして超有名になったアノ作品のラストシーンをそのまま頂戴した系。まあSFとしては今や「基本ワザ」と言えるオチでしょう。アメリカならではの、中身よりも表面のクロームメッキがピカピカ光った作品でした。それはそれで、やっぱ楽しいです。

『わたしのじょうおうさま』
これがねー! 途中からもう涙が止まらなくてねー! 『小さなお魚さん』がなかったら断然こっちに投票してました! リオのカーニバルで踊る少女の、ドキュメンタリー風な話。あそこでは10歳でダンサーデビューみたいなんですよ。主人公のジョゼは学校チームの雛型である旗手に選ばれて、もう浮かれ通しの毎日。さしずめ、ハリウッド映画だとデビュー前のチアリーダーみたいなもんですな。ところが彼女のパートナーとして見合う技量の相手は、学校に一人しかいない…と語った瞬間にカットバック。以前のカーニバルの映像らしい、その男子が舞う軽やかなステップの映像が入ります。白いブーツに白いパンツ姿で、足先から映り込んでいく! このカットがむっちゃかっこええ〜! リオのきったねー裏路地での、浅黒い肌をしたプリンス&プリンセスの笑顔&ダンスに涙が止まらない。普段の暮らしが全然幸せそうに見えないのに、あの踊りを見てしまうと全部が吹き飛んでいく。祭りのチカラって奴ですね。その笑顔と同量の辛さを背景に隠し持った、リオデジャネイロの見事
な断面でした。

『くらいつけ!』
魚の世界を描いた3DCG作品。悪ガキたちが釣り針にあえて釣られて、トローリングされるスピード感に酔うという、まあいかにもオーストラリアらしい映画です。海面が近くなるほど強い光に包まれ、やがて海上へ踊り出て…このあたり、「海上=天界」という図式が明白で、やっぱりキリスト教の国だな〜と思わせます。まあお子様映画ですから、その後で識別票つけられてキャッチ&リリースされるんですがね。最後、もう「それでいいじゃん!」的な無罰的現状肯定。いかにもオーストラリアらしい締めです。

『ボクシング・レッスン』
なかなか強くなれない息子(10歳くらいか?)を強くしようとする、若き父のスポ根ムービー。ボクシングジムの少年コースで練習させてるんですが、息子はてんで相手にされてない。キレた父さん、リング上で練習中の男にイチャモンつけて真の男というモノを息子に見せ付けます。あっ、むっちゃ空振り! パワーはあるけど効いてないよこのパンチ! …予想通り、序盤の勢いをなくした父さんはだんだん追い詰められてサンドバッグ状態に。父というのは辛い商売ですな〜。なかなか星一徹にはなれませんなあ…などと考えてる間も、父さん粘る粘る。サンドバッグになっても、顔中血で染まっても、息子の前では逃げられない。もはや男の生き様がリング上で展開されてます。あっ、パンチが決まった! ノックアウトじゃん! この瞬間、息子の中で何かが変わるんですね。ジムのみんなも。最後、一人で更衣室のベンチに横たわる父の姿が、まるで昭和の頑固親父にかぶって見えてきました。オヤジの進化度という基準で、急発展するルーマニアの「今」を測れた作品。

『スーパーヒーロー・ブルース2』
イギリスにI−B『キャプテン・ロックブリッジ』ありせば、フランスには『スーパーヒーロー・ブルース2』あり。なんで同じようなGI人形をモチーフに使って、ここまで出来上がりが違うんだ(苦笑)。家の宝石を盗んだ相手を、オモチャたちが退治する話なんですが、もうバカバカしさ過積載。まあフレンチのユーモア作品に文句言ってもしゃーねーなー。

『小さなお魚さん』
投票作。あまりに正統で感動です。技術や時間が足りないなりに努力して、ユーリ・ノルシュテインやイジー・トルンカといった正統派の切り絵アニメを継ごうという意欲があふれまくった、詩情の塊。これもう、新人マンガ家がリスペクトの情熱だけで『火の鳥』書くようなもんですよ。というか『プルート』か。この気迫が画面に映りこんでて、もうどこを見ても凄い。オイラは画面の全てに愛情を感じましたね。お話はちょっと、まだまだ…って感じですが、語り口は堂々として立派に伝統的ロシアアニメ作家の風格が滲んでます。このままずっと、よそ見をせずに突っ走ってください。ずっとついて行きます。

『ポールのおじいちゃん』
Aプログラム最後の上映は実写作品。ドイツらしい…何だろうこれ(苦笑)。父と祖父をなくした発明少年ポール君が、自作のおじいちゃん(頭はバケツです (^-^;)で友達の女の子のおじいちゃんに対抗しようとするんだけど…というメインストーリーに平行して、近所でひっそりと暮らす孤独な老人が描かれるんですよ。老人の趣味はアマチュア無線。今時そんな趣味の奴は少なくて、彼の電波に答えてくれる相手はいないんですが。んである時、彼はポール君が母親との連絡にトランシーバーを使ってるのを知ってしまう。そこで部品を買い集めてセッセとハンダ付けして、トランシーバーを即席で作り…その日から、バケツのおじいちゃんがポールに話してくれるようになるんです!(爆) …あのさー、アマチュア無線なんて死に絶えた技術は、おそらく観客に理解してもらえないってば…この映画を若き親たちが、子供にどう説明したのか非常に興味あるところです。

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I-Eインプレ

ドラマチックと銘打ったEプログラム。
今朝の予見どおり、イイモノの吹き溜まりでした。
上映はあと一回、見逃すなかれ(内容の衝撃度から、PG-15 と判断しますが)。

『自然の物差し』
鳥の親子が人間社会を崩壊させるまでのシンプルなアートアニメ…というのは誰かが言及するだろうし、まあいいや。エスねこ的に本作の特徴はロシアアニメだって事ですな! 多層のレイヤを持つ絵作り・配色の宗教的解釈、そういうロシアンアニメーションの伝統を否定して、シンプルで幾何学的なモノクロ線画の世界が展開されます。日本の商業アニメの流れを無視して活動し続ける山村浩二に近いインパクト。しかもこの手法を採用するのにはきちんと理由があって、製図板で描かれた幾何学図形がこのアニメ世界の基礎であり、同時に現実の建築物や工業製品の基礎でもあるのが、エンディングの一枚の画で明示されます。見た目とは裏腹に、工学的センスに裏打ちされた人間社会の図解でした。

『息子』
プログラムをちゃんとチェックしてなかったのがバレバレ。あのダニエル・マロイ監督の登場! 後でちゃんとレビューを足します。とりあえず、傑作。投票作。
●10日後のちゃんとレビュー
本作のモチーフを一言で表すと「迷宮」でしょうか。古城か修道院のような、石を積んで作られた中世風の地下のトンネルに電気を通して、劇場を作り、バーも、楽屋も作って、さらにそこで映画撮影までやっちゃうという世界。主人公の少年は映画の俳優ですが、この地下世界を牛耳る舞台監督の息子でもあります。さらには、父/息子の相似性から「実は同一人物の別表現」という線も見えるようになっていて、息子が見る父親と、彼が大人になってからの姿というのが圧縮されている。大林監督の『さびしんぼう』と同じです。語り口は真逆ですが…。
そしてこの2者の間には「母/妻」という異物が挟まっているわけで、彼女が動き始めると、この地下迷宮が俄然生彩を放って活きはじめます。そう、『シャイニング』のクライマックスと全く同じ盛り上がり方をして、「家庭迷路」を走り抜ける様がアイロニカルに、エキサイティングに、アクションの形で表現されます。キューブリックの名作と違うのは、この迷宮を支配しているのが「父=息子」だ、って点なんですが…。
ラストは映画が冒頭へ回帰し、繰り返しが始まります。場所は迷宮であり、物語に終わりはない。仏教的な解釈もできそうなくらい、無限に誕生を繰り返す生命の本質まで迫った「息子という複製された自己」を描いた意欲作でした。ただ、短編で描いた力量は凄いけど、やはり1時間以上ないと観客を納得させづらいんじゃないかなあ…オイラはもうすっかりハネケ慣れしてるんで、挑発的な記号類を読み解くのは苦じゃなかったですが…。

『不在』
留守番電話を小道具に使い、最後の音声録音場面から始め、後から全件再生するというアイデアで、オチが冒頭に来てしまうという一発ネタ。状況がわかってくるに連れ、戦慄のラストの輪郭がハッキリしてきます。ラストの長回しは大変にグー! みたいモノがビシッと見れた感じ。

『ファイナル・キック』
観光パンフの写真みたいなスイスの山奥の一軒家でサッカー中継を見てるわけですよ。ハイジの爺さんみたいなヒゲ親父がチロルハットかぶって(爆笑)。ところがスイスチームのキックが外れてゴール上空を高く高く飛んでいった…というナレで放送が切れてしまう。オッサンが外に出てみると、なんとサッカーボールがBSアンテナを直撃していた(再度爆笑)! そしてボールを地面に置いたオッサンは…日本だと10秒CMでやっちゃうんだろうなあ、こういうネタは。アルプスのノンビリ感が、けっこういい感じに出てました。

『罪の赦し』
携帯電話を効果的に使ったワンセットならぬ「2セット」もの。シンプルな舞台設定ですが、ダイアローグ主導の物語と、カット・構図の組み上がりが極めて知的な作品でした。ガン患者の女性の安楽死を巡って、彼女の《命の電話》担当者だったカウンセラー風女性と、安楽死させた夫が「罪の赦し」を巡って哲学、宗教、人生観と、さまざまな手腕を駆使して会話のイニシアティブを握ろうとする。人の生死・苦しみがかかってる以上、どちらも引けない。論理的に反撃が行われる時は、聞く側の表情をじっくり映し出し、電話が切られるとかして中断すると次の手を求めていろいろ逡巡する。絶対に諦める二人でない事は、表情の演技でしっかり裏打ちされてます。この、人生を覆いつくすような哲学的緊迫感はハリウッドやアジアには絶対出せない、欧州独特の専売特許ですな。

『1万枚の君』
おお、久々に来たよ! 実写コマ撮りアニメーション! 年々この手法は懲り方が凄くなってきていて、この作品では実写映像を中抜きでアニメーションさせると共に、その映像の中の雑誌や、DVDパッケージや、Tシャツのプリントや、PCのデスクトップなどで写真アニメがガンガン展開されます。論理もへったくれもなく実験実験、また実験と、思いもしなかった驚きの映像が満載。ドラマチックというのとは少し違うと思うんだけどね…。

『ネズミ狩り』
ネタバレします。
エクアドルの子供向け(と思われる)鬼畜映画。だが、真面目で真摯な鬼畜映画というところに、目を背けられない強烈な引力があります。山中の地方の村に、ゲリラ活動を展開する反政府勢力が訪れて食料を配っていく。もちろんただで配るなんてのは建前で、ゲリラになる人材スカウトをするってのが本音です。んで、主人公のアニータちゃん13歳。ちょっと大人びて活発な少女なんですが、弟がスカウトされそうになったところに割り込んで「私も行く!」と言い出しちゃう。このあたりでもう、日本の観客としては「やばいでしょ映画でそれやっちゃあ!」と気を揉み始めるんですがね、まだ甘い甘い。最初はトラックに同乗していろんな村に食料を配ってるアニータと弟ですが、やがて隊内から政府軍への内通者が出た。しかも同年代の子供だ。木に縛られて動けない彼らを、ゲリラたちは射殺していく。度胸を確かめるためにアニータの弟に銃が渡されますが、当然撃てない…そこでアニータが代わりにズキューン…「やるっすかそれを映画で!」ここの、観客の動揺する心を察して頂きたい。そっから後は、アニータもう一人前のゲリラです。ボスに呼ばれて小屋で二人っきりになり…「い、いかん、その展開はいかん!」…弟から地獄に落ちるの? と聞かれて、逡巡の末「さあね」と答えるあたり、さすがにアニータも参ってきてるんですが。そしてある日ゲリラの基地が襲撃される…内通者として槍玉に挙げられた弟と家族。アニータに銃が渡され、タイトルである「ネズミは殺せ」という過酷なセリフが…ここで究極の決断を引き出せないでいるアニータを大写しにして、エンドクレジットへ。この監督はパンフの写真で見ると白人女性みたいですが、本当に容赦がないっす。そして、彼女にそこまでやらせた怒り、というものは日本人には想像を絶している。おそらくこの作品、こういうのがあるとわかっただけでも収穫なんでしょう…。

『フリー・フィルム』
ぜーったいオーストラリア作品だ~! …と思ってたらアイスランド作品でした。いったい、このホノボノ味はアイスランドに根付いたモノなのか…? 話はまあ簡単かつ明瞭で、ビーチにバカンスに来た老夫婦が記念写真を撮ってるうちに燃え上がってしまい、プチ野外露出風の写真を撮っちゃうんですな。時代設定は70年代、まだデジカメなんてありませんから、ドキドキハラハラしながら写真を現像に出すわけです(笑)。これがうまく撮れてたもんだから二人は一気にバカップルと化し、人気のない森、深夜の路上などを徘徊! いたるところで露出写真を撮りまくる! …というのをホノボノ~と描いてます。んで、現像屋さんから呼び出しの通知を食らって恐る恐る行ってみると、なんとフィルムメーカーから「今月の当選者」の通知だったという…プレゼントにカメラとフィルムまでもらって、この無罰的・無毒的な物語は幕を閉じるのであった…この終わり方、投稿雑誌なんかが溢れかえる日本は取り返しがつかないほど心が汚れてるような気がしてきて、ションボリしちゃいます(笑)。

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I-Dインプレ

I-D、驚きと笑い。
予想通りイイモノが集まっていた。その正体は、フレンチシネマの増量!
いいのか、って気はすごくするけど…。

『パフィング・アウェイ』
またも温暖化関連のエコものアニメ。ノリはいいんだけど、PCでやったであろう安いデジタル処理に、少々食傷気味な気がしてきた…二酸化炭素をおばけのキャスパーみたいにキャラクター化した点は評価しとくか。

『電球男』
一昨年、『こまねこ』の完成度の高さを観て以来、デジタル処理の人形アニメの可能性を思い知りつつある昨今です。本作も個人ベースでここまでやれちゃうのは凄い。電球の頭にコンパスみたいな手足をつけた電球男が、光めがけて飛んでくる蛾を追い払いつつ、家電品の設計図を見ている。どうもクズカゴロボが故障したので修理しなきゃなんないみたいなんですよね。でも電球男は頭部の光が弱い時は思考力がないらしく、仕方ないとばかりにワット数の高い電球に交換して…てなストーリーを、すべらかな人形アニメで実現。明らかに動きが『こまねこ』と動レベルのスムーズさで、デジタル処理の技法が浸透しつつあるのを感じます。ちなみにブラジル作品。ソフトは国を越える(キュウイさんとこでも、人形アニメ製作用ソフトでアニメ製作の実演してたっけ…)。

『ビッチ』
アメリカです。アメリカといえばビッチです。でも、もうすんごい笑えるビッチぶり。ジャイアンが、まんま20歳になったみたいな風貌と性格です。街のみんなからは怖がられてるけど、バイトしてるレコード屋では一目置かれる用心棒的な…あ? 万引きヤローをおいかけて捕まえたと思ったら、「私とデートしなさい」だって? 恋って怖いねえ…壊れたビッチの故障気味な爆走ぶりがクスリと笑える、メリハリのある白黒作品。これ、I-Aに持ってって笑いを増量してやってもよかったかもね。

『エディティング』
35ミリフィルムを編集する男と、編集《される》フィルム中の男。序盤のベタな編集トリックはメリエスの時代からの定番って感じでクラシカルですが、途中で「中の人」が外の世界に出てから(あくまで35ミリフィルム中の人物なのでめっちゃ小人)、その土地が地雷原だったというのがわかる…製作国はクロアチア。ボスニア~コソボ紛争で揺らぎ続けたこの小国の危機感が、奇抜な絵に納まったという事ですかに?

『S.I.T.E.』
2007年製作というのが凄い。「国際テロリストを追跡せよ!」という副題がついてますが、はっきり言えばこれ、『クローバーフィールド』の手法で『トランスフォーマー』撮ってるわけですね。国際テロリストはプレデターみたいな気もしますが。んで、そういうSFマインドがバリンバリンに溢れる本作ですが、編集に手を手を入れまくって何がなんだかもう意味がわからない! でも世界は『クローバー~』の洗礼を受けた後なワケっすよ。これでいいんすよ。ちなみにテロリストらしき(?)シャーマンが呪文を唱えると、戦車が破片になって空飛んで行きます。そんな映像がリアル感を伴って観れるようになったこの時代、素直に喜べんのか…? JJに先駆けて映像の革新を担ったと判断し、投票作にチョイス。

『あなたがいなくても』
韓国映画です。猛烈に。親父さんをなくした少女の生活を子供目線から描く、非常にかわいい作品。途中、I-Bの『キャプテン・ロックブリッジ』みたいな展開になりますが、終わりの方では少年と少女&英国と韓国の差がキッパリと出ました。ラストカットはあまりに素晴らしい引き際。「この後は観客の想像に任せます」的に切っておきながら、伏線とドラマの流れはしっかりできているのでハッピーエンド以外はあり得ないという、しっかりとした全体構成の勝利でした。あと女の子が可愛いと得だよね(笑)。

『耳デカ家族』
耳がでかい家族の話。そのまんま! 食事の会話が全員ヒソヒソ声だとか、男性はスキー帽/女性はレイヤ姫ヘアで統一してるとか、家の内壁には防音財を張り巡らせてあるとか、電話のベルは音を消してリレーのカチカチ音だけで着信がわかるとか…もう芸が細かすぎ! ファンタジーとかSFの領域なんですが、あくまで「ちょっと耳がデカくて聴覚の鋭い家系」という普通のドラマに留めてある点が新鮮かも。本作もラストの切り上げ方が絶妙で、最後の1秒でハッピーエンドへの伏線が張られるという荒技をかましました。オイラの周囲では、ため息なんかついちゃってわかってなかった観客もいたっぽいけど…。

『今日は日曜日!』
アラブ系フランス人(中学生)が主人公のフランス映画。フランスやイギリスは、小学校卒業時に将来の職業が決まって専門校に進学するという教育制度ですから、進路を誤ると最悪です。イブラヒム君は学校の成績が低すぎるのを理由に放校の通知を受け、別の職業訓練校へ進むための勧告書を「親父さんのサインをもらって来いや」って手渡されてしまう。きっついよな~。日本じゃありえんよなあ。この勧告書、当然おフランス語で書いてあるんで親父さんは読めません。イブラヒム君、言うに言えなくて「修業証書さ」、ってウソついたら親父さんもう喜んじゃって! なんかシチュエーションは逆だけど、2006年にSSFで上映された『少年と山羊』を髣髴とさせる、親子の間の切ない溝。アラブ系移民の苦労が偲ばれる、社会的な深読みを許す良作でした。

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SSF#3、1日目まとめ(辛)

結局1日目は2プログラムを見逃して、去年の初日と同じぐらいの量を消化。
しかし…しかぁし。

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F-Aインプレ

結局ネット喫茶で夜明かし…いつ帰るんだ自分…?

さてフィルムメーカーのAプログラム。
考えてみるとフィルムメーカープログラムは何本か製作を経て評価の固まった人が登場するワケで、クリエイター指向/製作畑の職人指向/早熟な学生監督…必然的にそういう奴らが集う場所。
今回のプログラムでも、片方は確かに職人的な硬い、突き抜けない作風でしたが、もう片方はちょっと違った。スイス人のビデオクリエイターなんですが、お金に縛られないで自由にノビノビ作ってるのがアリアリで、まあアレです。そういうとこシュヴィツゲベルに似てるかも。スイス人のクリエイターの特色なのかな…。


●デイビッド・クロス
カナダのクリエイター。オイラはこの人は安定した職業監督だと思う。ライティングはしっかりしてるし、ネタも弾けるというよりは安定志向。どうしても「無難」な方向に振ってしまうところが残念というか、悲しいというか…。

『ピックアップ』
ひたすら何かを嘆きながら、部屋を片付ける男。何があったかは後半の種明かしの映像で、一発でわかるんですが…うーん…人の生死を扱いながら、なぜここまで響かない…。

『人生最初の日』
姉が家出しちゃいました。とりあえずの住居はスラムっぽい掃き溜めのような部屋。どうやら姉はバスで声かけられた男とデキちゃったらしいんだ~! …ちょっと天然な姉の思い描く「愛がすべて」の世界が切なくユーモラスに壊れていく過程、それを醒めた目で見ながらも自分のアバンチュール魂を押さえきれない妹の、二人の迷走ぶりがもう可愛くて仕方がない。これはもう、中学生という年齢のセッティングの絶妙さでしょう。

『シャイン』
女の子がバスルームで、鏡を見ながら人差し指と話してます(おや?)。しかも「ダニー」とか言ってるし…と思ったら出ましたよ「REDRUM」の鏡写し! 『シャイニング』の名場面をチープに再現しながら、風呂場を掃除する女の子を描いた洗剤CM。2分という時間に、文句を言う隙間はない。

『ザ・インタビュー』
雇用主と採用希望者の面接ワンセット作品です。すげーバカな展開です。とりあえず「趣味は?」と聞かれて読書、切手収集…あたりで終われずに「●●●を●●する事」とか答えるあたりがすんげーバカ。

『ジルの百合』
子供は大人よりも物事を深く理解している…という作品ですが、大人の側にボケ老人を持ってきた点がもう、ずるいくらいに泣けて。ラストの主人公の言葉も、現実の痛みを増幅しているという意味では酷で罪深い。女の子を幼稚園児くらいに設定したのが、多分成功の要因かな。

●レト・カフィ
ドイツ&スイスで活躍。この人は男女関係を鋭く切り取った短編が中心です。古びないネタなのと、映像の切り口が巧く飽きが来ない。

『急ごしらえ』
投票! レストランを舞台にした久々の「食エロ」ネタだ! 向かい合わせだけど店の端と端に座る男女が、とにかくエロい食べ方でドイツの大衆食堂のメニューを食べつくす。1995年作という、けっこう時間の経ったビデオ作品らしいんですが、色は滲んでいても投票させるほどに秀逸でした。

『青白い仲間』
「背中に自分でサンオイルを塗るのは難しい」という盲点(?)に迫った一発ネタを、ドイツ人の性格をえぐるコメディにまで昇華。この監督、ドイツ人でありながらドイツ人の可笑しい点を熟知してますな。イタリア旅行に来た2人のドイツ人中年男性。美女たちの大群を目にしながら、男同士で仲良くするのに抵抗感爆発! 「サンオイルを塗ってくれ」「やだ!」みたいな会話が炸裂するのが、もう(笑)。

『レオの友達』
レオ君が家に返ると、「やあお帰り」と家具たちが返事をしてくれる変な世界。しかしなあ…映像的には家具撮ってるだけだからラクだという(笑)。で、このへ~んな世界にレオ君の彼女が…ラストは予想外のブラックさ。

『バスストップ99』
路上の工事現場でブロックを打ち付けてる音が、ふとした弾みでシンクロしてしまいました…ってとこから路上の一大パーカッションへ発展するまでの楽しい面々を描く…というかそれを楽しいと思っちゃう、そういうのに楽しみを見出してしまうのがドイツ~スイスのプロテスタントな感じ。

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I-Cインプレ

I-Cは『アート&ファンタジー』
割と凄いのが並びましたが、第1回の時のような「おおお~っ!」って感じにはいま一歩及ばず、というところか。

『見えない廃棄物』
一応エコロジカルテーマのマークがついてますけど、全然そんな事ない(笑)。ノリのいいロックをバックに、ヘタウマ絵で科学者たちが宇宙人探索をする姿がバリバリバリッと描かれる。電波望遠鏡を火星へ、木星へ、海王星へ…と向けてる間に、電磁波の影響で生態系が変化。異星生命はない、とガッカリして外へ出た研究者たちを、異様な知的生命体が取り囲んで、全員ハッピーという…なんだコレ(爆)。えーと一応、電波望遠鏡はレーダーみたいに電波を発するモノじゃないのでそこんとこよろしく、と。

『イルミ・アクション』
1分。短っ! しかも、くっつけた2本のマッチに火をつけて燃やすだけの、ワンカット…というかもう YouTube 的ネタ感あふれる映像。軸が燃えるにつれ、男女の抱擁としか思えない動き方をするマッチ二本に感激です。デジタルにたよらなくても、まだこんな映像ができるんだ!

『フェニックス・ダンス』
片足を切断したダンサーの練習&舞台を追うドキュメンタリー。正直、古いSFですがラリイ・ニーヴンのノウンスペースシリーズに登場するパペッティア人を連想しました。それくらい、両手+片足の三本足歩行は優雅で、完成されていた。異世界の何者か、って領域です。彼の現実を描かない方が、幻想性が増したような気がするなあ。

『A4』
コピー機の動作をスタイリッシュに描いた、そんだけの映像…意味あるのかなこれ…。

『雨が降る』
男女関係の象徴的な話が多いなあ、今年は…。雨の中、怪我をして運び込まれた一人の男。その小屋には、彼の世話をする女が一人に、謎の仕事をする男二人がいた。この4角関係の結末はいかに…? 正直面白くはなかったけど、ベネズエラ作品を観れた、って意味では貴重かな。

『D-I-M』
管理社会モノの未来SF。監督が来場してましたが、かなり若い兄弟監督です。途中の映像から、ちょっとブラザーズ・クエイの匂いを感じたかも。ただ、全般的にカビの生えたような古い未来像が多くて、新鮮さはゼロでした。ま、オチがググッとレベル低いので、笑って流せる感じですけど。小物の出来はいいんだけど、21世紀の現状から言って、やはりああいう未来は来ないと思うよ。いまありそうな未来の管理社会は『コード46』あたりがすっごくリアルだと思います。

『ナイトビジョン』
投票作。ズルいんだけど、コロンブスの卵。精神分析の手法として、患者に絵を見せて物語を作ってもらう…ってのがあるんですが、それをそのまんまやってます。だからこの作品、観客には最初から「想像力を楽しむ、支離滅裂な作品」という枠組みがスパッとわかるようになってる。その上で展開するのはクローネンバーグ的というか『裸のランチ』みたいな、リアリティがあるんだけど現実とは違う変な物語。ホタルのルミナス効果にやたらと詳しい主人公の女(冒頭の患者の分身)と、同じイカダに乗る小さな少年・少女。そして岸でシャボン玉を飛ばし続ける老人…この幻想的な人物配置が、無駄に詳しい化学用語やら子供たちのビジュアル的魅力やら老人の見る木々のピュアな光景やらを交えて、支離滅裂ながらも情感豊かに綴られていきます。多分、「リリカルなクローネンバーグ」という表現が一番似合ってるんじゃないかな。同じカナダ人だし。この監督は今後も注目したい。映像と物語の手綱捌きが天才的です。

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F-Cインプレ

フィルムメーカー部門はまずF-Cから。
ベルギー・日本・フランスの、3人の監督が並びました。

●センヌ・デオンシュテール
技術力はあるけど玉石混交で評価の難しい人。ただ、最後の作品のあふれるパッションには、もう投票せざるを得なかったです。

『ファーテライズ(生の始まり)』
21世紀映像の悪いとこ満載! 映画界はケン・ラッセルという鬼才を忘れてしまったのか! …と本気で嘆きましたよもー。デジタル合成でなんか原始っぽい背景をバーンと広げといて、中央にはsドレスを着た美女、それを取り巻く数百人の半裸の男たち…まあいわゆる男女関係から受精までの多々のイメージ、エッセンスの凝縮なんですが。なんかこう、原始とかアニミズムとかいう記号に縛られまくり、内容が突き抜けないんですよね~。どの男性が姫のハートを射止めるかも、序盤で丸わかりだし…。

『未完成な過去』
戦争の傷跡を追う、演劇的な心理描写で構築された作品。デジタル合成で2~3シーンをひとつに束ねて、切り返しやらカットバックやら様々な映像手法を使って全てを3分に圧縮。技法的には凄いし、ドラマとしてのシチュエーションも迫力あり。だから、悪くはないんだけど、イマイチ納まりがよすぎて記憶に残らないような気が…。

『廃墟』
投票作。これはもうベルギーじゃない、チェコやハンガリーの痛い痛いユーモアの世界っすよ。エンボス、つうか白黒の線画状態まで加工しつくしたビデオ映像を使って、廃墟となった一軒家で互いを探し、求めあう男女を描きます。相手の名前を叫び、感情をむき出しにして階段を駆け上がり、廊下を走り、庭へ飛び出し…それと平行して描かれる、皿の上の肉料理&黙々と食べ続ける口元(カラーの普通映像)。両者の接点は…? これが後半、「老夫婦の現実と心象風景」だと明かされる瞬間、ググッと胸に迫るものがあります。心象が、過剰でドラマチックであるほど、現実の彼らは切ない。切なすぎる…音楽もかなり良かったです。劇伴のいい使い方、みたいな。

●照沼敦朗
ごめん、2年前のカスミX評なみに辛口だぞ。オイラは認めんな。
この監督、静的な画に対する思い入れは相当なもんなのに、動きに対してはてんで興味がないらしい。アニメ監督は、すべからく監督である以前にアニメーターであるわけで、生なきモノに生を与えるアニメートの秘術を尽くさない者に用はない。漫画家がお似合いのヒト。

『見えてる?』
『タイムライン』
両作とも、どうも戦争と国内世相が背景にあるようだけど、技術的に手を抜く場所が目立ちすぎ。クレイ人形が階段を登る場面、デジタル合成で済ます意図がわからん(あそこは心血注ぐべきでしょ~!)。

『見えたか?』
ちょっと主張を抑えて、物語風になった感じ。でも、やはりこの手の抜き方は認めたくないし、古風なアニメのように喋るキャラが画面の目立つ場所で口だけ動かしてる、ってセンスに脳が停止します…物体に生を与える場所を間違えている…というか、深い考察の結果ではないような気がするんだな。


●フレデリック・ベル
いかにも~なフランス監督。全編モノクロってところや、コントラストを効かせた点で、ヌーベルバーグをちょい思い起こさせる筋のいい監督です。でも悲しいかなインドシナ戦争やアルジェリア紛争の只中で駆動しつつ映画を作ったルイ・マルやゴダールとは違い、21世紀の新人監督には強烈なモチベーションはあり得ない。現実をソフトに切り取った、コジャレた感触が、逆説的に彼にはめられた《枠》を感じさせます。

『私の妻の断片』
剛直な男の生き様を切り取った、フランスらしいやりたい放題映画。入院中の愛妻に会いに行ったら死んじゃってました…という悲運炸裂な爺さんが、悲しみを超えて憤りに達し、全てを捨てて街を出て行く決意を固めた。ところが奥さんの死体処理の書類にサインをしないで病院を出ちゃったもんだから、警備員のゴメス君が追いかける羽目になって…あー爺さんバスに乗っちゃったよ。あ、ゴメス君も追いかけますか。トランシーバで上司から怒られちゃってまあ。というわけで、第1回で上映された『シスター』と同じ路線のバス映画となるわけです。バスの中の異様な光景(爺さんが奥さんのプレゼントを全部脱ぎ捨ててストリップ)と、外の日常がうまく対比されてます。最後、裸で蚤の市を歩く爺さんの気骨に、もう笑いを超越して圧倒されてしまったかも。

『警備員』
時系列的にはこちらが先かな。ゴメス君の初警備のエピソード。社長から「警防で人を殴れるか?」と問われて、しどろもどろなゴメス君。温和な彼が、イロイロあって人を殴れるようになるまでの、エスプリの効いたちょっとイイ話です。

『ルーム616』
ゴメス君第3弾。ついにこのシリーズで死者が出るか…? という緊迫した状況なんだけど、やっぱり監督はユーモアの人なんだなあ。フランスが得意とする、いわゆるバニシング・ポイントもので、カットバックされる3つの視点が最後の最後で皮肉に結びつく。でもまあこの話、ハッピーエンドなのかどうなのか微妙なんですが…。

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I-Bインプレ

4プログラム目で脳が破裂(笑)。ここらで休んで整理しておかねば…。
I-Bは『イマジネーション』プログラムです。
観客の想像力を広げるというより、「わかってくれよ」的内容の作品が並びました。

『念のため』
米、1分のショートアニメ。頑固な大人と敏感な子供の掛け合いで、温暖化に気付かない大人の鈍感さを表現…はいいけどコレ、『不都合な真実』の1分バージョンみたいで面白みに欠ける。アル・ゴアは炭素の循環という環境科学の基礎をちゃんと説明するから説得力があるんであってね(以下略

『今日は空いてません』
パントマイムを基本にした面白映像の連続! 裸足に革靴というスタイルで人に見られないように街を徘徊する男が、足音をリズミカルにキュッキュッ言わせながら、道行く人の後ろに隠れたり、壁の凹みに隠れたり…古きよきパントマイムの復活です(ただしチャップリンやキートンというよりは、初期のウディ・アレンの芸に近いですね)。そんな男の前に同族の女の子が現れて…ラスト、街のちょっと気付かない場所で堂々とラブラブという絵に惚れて投票。

『ウォーター』
カーペンターの『クリスティーン』に、こんなエピソードがあったら納得しちゃうかも、ってな一遍。車泥棒が橋下に置かれた放置車を盗もうとしたら、中に閉じ込められちゃって、やがて足元から水が上がってくる…意味なく、またオチも特になし。ワンセットものの新たなアイデア実験作と見るべきでしょう。

『貧血男のバラード』
アニメ。そして、映画の歴史を引きずったアニメ。『カリガリ博士』を意識した表現主義風の美術、メトロポリスを意識した人物構成、宮崎駿がちょっと入ったキャラデザイン…でも、この、全体を覆うテイストは間違いなく(実験アニメの時の)手塚治虫! 手塚が90年代を待たずに死ななかったら、いま、こういう作品を作っていたかもしれない。そう思わせるほど、彼の懐かしい感触に浸れます。虫プロのデビュー作『ある街角の物語』を髣髴とさせる、スタイリッシュで残酷で皮肉な、フランスアニメの底力を感じさせる作品でした。

『レスリング』
最初の台詞で「俺を取るか奥さんを取るか決めろ」というのが出て…あああコレ『ブロークバック・マウンテン』ネタじゃんよ~! しかもレスリングが題材、って身もフタもないじゃんよ~! トホホ…という感じでスタートしたものの、さすがはプロテスタントの国アイスランド。徹底した自己探求がテーマとなり、無言で苦虫を噛み潰したような男二人の各家庭を黙々と描き上げて、二人の実存に迫っていくのです。それでも、レスリングを題材にしたのはどーかと思うんだけど…。

『希望の視点』
イスラエルの融和派の手になると思われる、苦い主張のこもった逸品。真面目な評価ならコレがダンゼン投票作です。アイデア的にも病室で寝たきりの老人二人を描くワンセットもので、会話主導で進むあたり、元は舞台劇だった可能性あり。窓際のベッドに寝る末期患者と、窓際を希望したものの移るチャンスのない嫌なオヤジ。窓際の老人が外の光景を楽しげに語るのを、最初はうざったく思っていたオヤジですが、次第に老人の話術に引き込まれて、外の世界が「見える」ようになってくる。このあたり、観客もオヤジと同じ状況にあるので、次第に老人の言葉に引き込まれて「画面にない絵」が見えてくるってのが秀逸です。しかし老人はある晩、危篤状態に陥り、オヤジはナースコールのボタンを握って逡巡するという旋律の瞬間が訪れる…イスラエルならではの痛みというか、このシチュエーションは本当に凄いです。

『キャプテン・ロックブリッジ』
父を亡くした少年。過度のストレスから逃げるためか、彼は森の中で、オモチャの人形だったはずのキャプテン・ロックブリッジに出会ってしまうのだった…これは『ローズ・イン・タイドランド』にインスパイアされてるような気もしますが、逃げないで堂々と撮りきった、イギリスらしく力強い作品でした。


あああ~、あと2プログラム分書かないと脳の空きが(苦笑)。

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I−A現場インプレ

I−Aは『人間模様』プログラム。

校長先生とクジラ
今を時めく山村浩二作品。でもまあ捕鯨テーマで、グリンピース出資作だからなあ…いろいろな立場の各論飛び交うテーマで、作品が分裂してしまってる。悔しいっす。老人を主人公にして、戦後の重要蛋白源だったクジラの意味を滲ませてるあたりに、彼の視点の広さが伺えますが。

色あせない想い出
水の流れるウィンドウがある喫茶店を涙に例えた、一発ネタ的同性愛テーマ作品。時間が短いので、この一発がとても効果的で、印象に残ります。ロケーションの勝利!

アンダー・コンストラクション
変貌する中国を、ビル建設前のに取り壊された廃墟から切り取ってやろうという、《意欲先行作品》。この作品が凄いのは、廃墟はいろんな写真を切り取って合成した「ニセモノ」だという点です。最後に長回しで映される本物の高層ビル群が、中国の高度成長が過去のモノになりつつある現状を実感させてくれます。

ロード
投票作。よくやった! 短編映画で本格カーチェイス! いろいろ計算されたロケーション、アングル、シチュエーション、主人公の設定が、短い時間で観客をグググッとのめり込ませる。短編ならではの、計算しつくされた構成に心地よく酔えます。ただ、男のドライバーの正体はもう少し早く明かした方が好みだったかな…微妙なさじ加減の問題ですが。

ルイ
南ドイツと思われる温かな風景の中、クマの毛皮の帽子が欲しい少年の、プチゴーリキー風味な『外套』的努力のおはなし。監督さんが来場してました。実はあまり語るべき内容はないんだけど、南独らしいおおらかさ、そして木の赤を強調したカラーリングは特筆です。

決意の末
マレーシア作品。娘のために強盗を決意したオヤジが、なかなか首尾よく事を運べず…というコメディの領域にあるストーリーを真顔で演出。中華系イスラムの作品はどうしてこう、笑えないほどに硬く真面目なのか…両者の合体で日本人の理解できない世界が現出しました。

オン・ザ・ライン
断言。ラストカットににあと5秒、いやせめて3秒あれば忘れられない傑作になった。警備員という主人公の立場が、その優しい性格と相俟って監視カメラ越しの「覗き愛」に説得力を持たせています。だからこそ、ラストの、相手が監視カメラの視線に気付いた瞬間の、様々に立ち現れるであろう多くの感情を、目の演技でじっくり、コッテリ見せて欲しかったです。『ヒストリー・オブ・バイオレンス』に匹敵する鮮やかな幕切れ。でもそこで、もう少し語ってもよかったと思う。


…あー。最初のプログラムのインプレを書くだけで3プログラムが過ぎてしまった…初日は辛いです(笑)。

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もうすぐ開幕

すごい!
今年は席の誘導がある!(笑)
VIPパス作りも手際いいし。
3年目で慣れてきたんだなあ…。

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映画レビューの秘密兵器登場

インターネットマシンから投稿してみる!
まさに映画館でのファーストインプレッションを書き込むために生まれたようなこの携帯、果たして札幌国際短編映画祭で役に立ってくれるか…?

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