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I-Dインプレ

I-D、驚きと笑い。
予想通りイイモノが集まっていた。その正体は、フレンチシネマの増量!
いいのか、って気はすごくするけど…。

『パフィング・アウェイ』
またも温暖化関連のエコものアニメ。ノリはいいんだけど、PCでやったであろう安いデジタル処理に、少々食傷気味な気がしてきた…二酸化炭素をおばけのキャスパーみたいにキャラクター化した点は評価しとくか。

『電球男』
一昨年、『こまねこ』の完成度の高さを観て以来、デジタル処理の人形アニメの可能性を思い知りつつある昨今です。本作も個人ベースでここまでやれちゃうのは凄い。電球の頭にコンパスみたいな手足をつけた電球男が、光めがけて飛んでくる蛾を追い払いつつ、家電品の設計図を見ている。どうもクズカゴロボが故障したので修理しなきゃなんないみたいなんですよね。でも電球男は頭部の光が弱い時は思考力がないらしく、仕方ないとばかりにワット数の高い電球に交換して…てなストーリーを、すべらかな人形アニメで実現。明らかに動きが『こまねこ』と動レベルのスムーズさで、デジタル処理の技法が浸透しつつあるのを感じます。ちなみにブラジル作品。ソフトは国を越える(キュウイさんとこでも、人形アニメ製作用ソフトでアニメ製作の実演してたっけ…)。

『ビッチ』
アメリカです。アメリカといえばビッチです。でも、もうすんごい笑えるビッチぶり。ジャイアンが、まんま20歳になったみたいな風貌と性格です。街のみんなからは怖がられてるけど、バイトしてるレコード屋では一目置かれる用心棒的な…あ? 万引きヤローをおいかけて捕まえたと思ったら、「私とデートしなさい」だって? 恋って怖いねえ…壊れたビッチの故障気味な爆走ぶりがクスリと笑える、メリハリのある白黒作品。これ、I-Aに持ってって笑いを増量してやってもよかったかもね。

『エディティング』
35ミリフィルムを編集する男と、編集《される》フィルム中の男。序盤のベタな編集トリックはメリエスの時代からの定番って感じでクラシカルですが、途中で「中の人」が外の世界に出てから(あくまで35ミリフィルム中の人物なのでめっちゃ小人)、その土地が地雷原だったというのがわかる…製作国はクロアチア。ボスニア~コソボ紛争で揺らぎ続けたこの小国の危機感が、奇抜な絵に納まったという事ですかに?

『S.I.T.E.』
2007年製作というのが凄い。「国際テロリストを追跡せよ!」という副題がついてますが、はっきり言えばこれ、『クローバーフィールド』の手法で『トランスフォーマー』撮ってるわけですね。国際テロリストはプレデターみたいな気もしますが。んで、そういうSFマインドがバリンバリンに溢れる本作ですが、編集に手を手を入れまくって何がなんだかもう意味がわからない! でも世界は『クローバー~』の洗礼を受けた後なワケっすよ。これでいいんすよ。ちなみにテロリストらしき(?)シャーマンが呪文を唱えると、戦車が破片になって空飛んで行きます。そんな映像がリアル感を伴って観れるようになったこの時代、素直に喜べんのか…? JJに先駆けて映像の革新を担ったと判断し、投票作にチョイス。

『あなたがいなくても』
韓国映画です。猛烈に。親父さんをなくした少女の生活を子供目線から描く、非常にかわいい作品。途中、I-Bの『キャプテン・ロックブリッジ』みたいな展開になりますが、終わりの方では少年と少女&英国と韓国の差がキッパリと出ました。ラストカットはあまりに素晴らしい引き際。「この後は観客の想像に任せます」的に切っておきながら、伏線とドラマの流れはしっかりできているのでハッピーエンド以外はあり得ないという、しっかりとした全体構成の勝利でした。あと女の子が可愛いと得だよね(笑)。

『耳デカ家族』
耳がでかい家族の話。そのまんま! 食事の会話が全員ヒソヒソ声だとか、男性はスキー帽/女性はレイヤ姫ヘアで統一してるとか、家の内壁には防音財を張り巡らせてあるとか、電話のベルは音を消してリレーのカチカチ音だけで着信がわかるとか…もう芸が細かすぎ! ファンタジーとかSFの領域なんですが、あくまで「ちょっと耳がデカくて聴覚の鋭い家系」という普通のドラマに留めてある点が新鮮かも。本作もラストの切り上げ方が絶妙で、最後の1秒でハッピーエンドへの伏線が張られるという荒技をかましました。オイラの周囲では、ため息なんかついちゃってわかってなかった観客もいたっぽいけど…。

『今日は日曜日!』
アラブ系フランス人(中学生)が主人公のフランス映画。フランスやイギリスは、小学校卒業時に将来の職業が決まって専門校に進学するという教育制度ですから、進路を誤ると最悪です。イブラヒム君は学校の成績が低すぎるのを理由に放校の通知を受け、別の職業訓練校へ進むための勧告書を「親父さんのサインをもらって来いや」って手渡されてしまう。きっついよな~。日本じゃありえんよなあ。この勧告書、当然おフランス語で書いてあるんで親父さんは読めません。イブラヒム君、言うに言えなくて「修業証書さ」、ってウソついたら親父さんもう喜んじゃって! なんかシチュエーションは逆だけど、2006年にSSFで上映された『少年と山羊』を髣髴とさせる、親子の間の切ない溝。アラブ系移民の苦労が偲ばれる、社会的な深読みを許す良作でした。

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