分圧5ミリバール
とうとうシアターキノの会員になってしまった…ここは、他館に比べて必ずしも観たい映画がかかるわけじゃないんですが、『プレスリー vs ミイラ男』を上映する心意気を買った(笑)。
さて、フォーリーブスの『急げ!若者』を観てきました。予想を遥かに超えて、「ゴールデンウィークスペシャル」と銘打って上映されるだけの意味があった作品。休み時間のオフショットや練習風景までもストーリー中に組み込んでしまえるメタな魔法もさりながら、「普通人から見たアイドル」「アイドルから見た普通人」「歌から見た歌手」「歌手から見た歌」…と、様々な「こちらとむこう」の断面が鏡面対象になってしまうラスト。ビックリでした。特にカメオ出演(笑)の二瓶正也(二瓶正也役!)の扱い方が絶妙。『ウルトラマン』のイデ隊員の演技そのままで、嫌味なくファンタジー世界へ引き込んでくれました。
これはいずれ向こうでレビューします。
…で本題は2回目の『秒速5センチメートル』。
初回の時は「さりげない科学ネタ」と書きましたが、そうでもなかった。主人公たちが読んでた本、おそらく『ワンダフル・ライフ』じゃない。あれを超えて、ハルキゲニアやオパビニアの存在意義を感動的に綴った定番本があるかどうかは知らないんですが…ちょっと元本探しをしたくなるかな。
ただ今回は細かいネタ探しはやめました。完全にストーリーを追うのを捨てて、人物も見ずに、「空気」ばかり見ていました。正確には「水蒸気」。
空気の透明感は、地方や気温や気候によって大きく異なるわけで、映像的にはどこまでの距離で背景がボケるかが決まってきます。雪国の深夜の光景は、街頭の明りだけでもまるで劇場のようにクリアになるし、南海の島では日中の明るい世界でも、何となく柔和。空気中の水蒸気の分圧(あと東京ではホコリもありますが)で、光の散乱の度合いが違うからですね。
ハードSFマニアとしては正直言って、理科年表持って電卓叩きながら観たくなりました。それくらいその場、その場の空気を写し取っている。実写なら簡単にできる事だし、3Dアニメでもメソッドは確立できた(『Mr.インクレディブル』を観ると、ある程度空気を考慮して光を散乱させてる気がする)ようだ。でも普通のセルアニメで、意図した構図をゴリゴリ描くのはとんでもない話です。ま、納得の行かない部分も多いけど、全体的な背景の良さで相殺されました。
種子島の曇り空の下でサーフィンする姿が、本当に素晴らしい。2話目は特に人物と空と星が共演しているので、主役は雲、いや水蒸気だとしか思えない。月と電線、雲とH4…そんな映画っぽい対比もあるけどね。噴射煙の周囲を取り巻くように三日月状の雲ができるのも、人物関係の表れだなあ。
ここまで自然を自然に演技をさせたアニメは知らんな。まだ詰める余地は大いにあるけど…予算が保たないだろうから限界いっぱいのとこでしょう。
上映期間中に、もう一度行きたくなりました。今度は桜の演技・雪の演技を観たい。
いや、もう金の続く限り何度でもスクリーンで観たいかも…。
作品としては向こうで4点つけたけどな。やっぱ写実を拒否する人形劇・アートアニメファンとの壁は大きいですワ(汗)。
●追記:
初回から気になってますが、二点だけ明らかにヘンな部分があります。
1)雨の日の自転車のカゴ。ゴミに混じってケントの箱が入っている。ここ中学校だろ…?
2)回想シーンで黒板の相合傘を消すタカキ。級友たちの声が、どう聞いても小学生じゃない。意図的なのか、それとも子役を使えなかったのか…?
なんつーか、異化効果?
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