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放射能対毛

『エクステ』『みえない雲』

『エクステ』のプロモーションCDなんかもう古典的なホラービガクに支配された『エクステ』ですが、大杉蓮の無茶苦茶ぶりがその構図にピッタリと納まっていました。他方、栗山千明は全くノーマークだった第三の主役に食われた状態です。
『みえない雲』は冒頭、『十三日の金曜日』へのオマージュをかますという弾けかたに脱帽! もう一歩で韓流かも。そういや一部『グエムル』に似てるとこもあるっすよ。そしてテーマの選び方がいかにもドイツでした。
以上でファースト・インプレッションは終わり。帰ってから補足するかぁ。

はい、補足です。

『エクステ』は昨年劇場で予告を観た瞬間、我が目を疑い、呆然とし、劇場へ観に行く事を固く固く心に誓った作品でした。一作も観た事ないし興味もない園子温監督だけど、大杉漣にここまで演らせる力はすげえよ。実際、劇場では中年~老年の男性と若い女性が半々という、ちょっとありえない気もする異常な客層になってました。
公開初日の最初の上映ですのでネタバレは避けますが、DVDなら笑って済ませられるはずのトコロ、スクリーンから2列目中央という逃げ場のない席で見たため無駄に圧倒されてしまいました。「髪が人間を襲う新感覚ホラー」みたいな宣伝の仕方されてますが、これはテーマを慎重に隠蔽した戦略で、話の主軸になるのはDV。児童虐待もあるけど、他にもいろいろな姿で「暴力」の連鎖が存在しています。全編が黒い笑いでコーティングされてますが、「極限の暴力」については逃げずにキッチリ描写していて、観てる途中で劇場を出たくなった生まれて初めての作品でした。
もちろんこれは現実世界にある暴力を非難する作品ではなく、第一にそういう暴力へ無関心を決め込んでいる事への後ろめたさや、そして自身に内在するファンタジーの中の暴力性を告白する映画だと言えます。
なんたって主人公が勤めてる店、美容室「ジル・ド・レ」ですからねー。
向こうへのレビューはこれからですが(入れた)、エンディングカットが致命的にダメなのを除けば満点です(でもホント致命的だと思う)。

『みえない雲』はトライポッドの出ない『宇宙戦争』だと思えばOKかな。
放射能はカメラに写らないワケで…というのはウソで、チェルノブイリのドキュメンタリーではフィルムが放射能に感光して生々しいです…まあ、画面には怪獣らしきものが登場しない。でも、前半の緊迫感は尋常じゃありません。非難時のパニック場面は、凡百の怪獣映画が丸ごとゴミ箱行きになる怖さです。思うに、敵が画面に映らないからこそ怖いんだなあ。
これも札幌公開初日なので詳しいところは語りませんが、冒頭に入るお色気サービスシーンが13金のお約束「クリスタルレイクで全裸スイミング」(ジェイソンの代わりにナイスな坊やたちが出てきますが…)。なので怪獣映画ならぬスプラッター映画、もっと言うと「見えない猟奇殺人者から逃げ回るオツムの足りない若者たち」という展開を暗示してました。実際、そう受け取っておくと、その後の主人公たちの思慮不足も納得。客は爺さん婆さんが多かったですが、これは若者の映画なんですな。
芯が青春ラブストーリーなので、一瞬にして涙が溢れ出すような熱い展開がいろいろあります。でも、その涙を持続させず、毎度潔く物語世界の本道へ戻るドイツらしさがたまらなく素敵です。

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「エクステ」 製作:2007年、日本 107分 監督、原案、脚本:園子温 出演: [続きを読む]

受信: 2007.02.25 11:13

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