« 猫族の遺伝子 | トップページ | kuromameだべさ »

黒豆大観劇!

朝、目覚めると行きつけのバーの床の上。
記憶は全くないが、地方SNSのオフ会で昨夜飲みに出たのは確かだ。
このバーでは酔いつぶれて一人目覚めるコトは珍しくもないので、マスターが置いていってくれた鍵で戸締りし、店を出る。二日酔いでぶっ倒れそうな身体に鞭打って、必死の思いでススキノ方面から北大植物園に面した道民施設「かでる2.7」に向かう。
モタモタしてると、楽しみにしていた「小アニメーション大感激祭 Part13」午前の部が始まってしまう~! 頑張れ自分! なんとしてもこの目で、あのむっちゃ可愛い正統派クレイアニメ『kuromame』を見届けるのだッ!
…と、何と言うか予想外割的ピンチを切り抜けて観て参りました。上映会自身も3時間の長丁場で大人600円と大変に予想外割でした。内容も割引…な作品は正直言ってありましたけど…看板作品たちの素晴らしさは1800円の封切り長編映画に劣るものではなかったですよ。いや正直『kuromame』のDVDが出たら5000円でも買いますよ私ぁ(←ピングー偏愛気味な奴)。

トータルな感想としては中学生の作品が数多く上映されまして、その頑張りに目を見張りました。動画はもはや俳句やバンドや絵手紙のような、日常的な創作行為になりつつありますね。
もうひとつは、オイラがかつて『フラットワールド』レビューで指摘した「小規模フラットワールド」をやってしまった作品が二つもあったコト(一人はデジカメで、もう一人は何とWebカムで!)。両者とも制作費は5000円程度だそうで、カメラ&PCソフトと、ツールが揃ってきた事が道を拓いたようです。この「切り絵コマドリ」技法は今後、非常に重要なアニメジャンルになると見た。『フラットワールド』は早すぎたんだよなあ、やっぱ…。

さて今回は1分以内のショートアニメが多く、3時間で37作品が上映されるという、札幌国際短編映画祭以上に密度の濃い上映会となっておりました。以下、全作レビューするぞ。やってやるぜ。でも少しタンマ…まだ二日酔いの余波が…。

上映会は5分づつの休憩をはさみながら、5部に分けて上映されました。

第一部

『おしるこ』
夏に缶入りおしるこを買っちゃうという、よくある「猛暑の自動販売機一発ネタ」アニメ。この「暑さ」の表現が過剰で面白く、いい~感じでマヌケになってました。1分強の作品ですからしつこくならず、このヌルさは気持ちよかったっす。

『Silent lovers』
衝撃でした。映画嫌いのオイラともあろう者が、今年は頭がパンクするほど映画を観たので、最近は画面の語法についてどうしても意識しないわけに行かなくなってます。でも、アニメの世界ではそんなモン不要なんだよ~ん! …っていうのを改めて思い知らされた凄い作品。デジカメ撮影の手書きアニメなんですが、被写体がモーフィング(とは言わないか手書きじゃ)して様々なモノへ変化していき、主人公の少女だったのが恋人の男性へ、また主人公へ、服や周囲の小物もどんどん変化して昼・夜・平日・休日…様々なシチュエーションが、途切れるコトなく長回し的に2分少々で描かれます。言ってみればですね、演者一人で数人を演じ分ける能を観たときの感覚に近い。アニメとして、手法自身は珍しくないんですが、明確に意識してカッティングを否定した作品は初めて観たかも(何かのCMで見た気もするんですが)。実写勢力が積み上げてきた表現技法を、爽やかに、根こそぎサラッと否定する姿勢に、ちょっと(いや相当に)惚れます。

『17年度藤並祭アニメ』
まんまです。中学校の学祭アニメ。やっすい3D(笑)で、スターウォーズのトゥルーパーが藤並中学へ攻め入って来るという…その昔は伝説の東海大アニメで「おお~!」とか燃え上がったオイラですが、今は中学生がこういうのやれちゃうんだなあ。ま「レゴ版スターウォーズの方がまだ精細だゾ」ってなくらいに、極めて低いポリゴン数のゴツゴツしたアニメでして、特に語るべき内容はないんです。ないんですが、中学生が勢いで作ったからこその妙な魅力を感じます。アニメというのは観客の「観る」能力に支えられて成立している側面が強いメディア。つまり、観客の能力を信頼するならば、どこまでも情報を抜いて構わない(ヤン・シュワンクマイエルが意図的にやってますな)。球形の頭部を持つ人間や、箱を積み重ねただけのロボットには、作り手の「観客への全幅の信頼」を感じ取ってしまうんですね。この態度を「甘え」という人もいるでしょうが、オイラには心地よかった。苦笑しながらも、一種連帯感に似た感情が生まれます。アングルなんかはちゃんとエンタメ映画してるので、全体としても悪くはない。逆に、商用3Dアニメの無駄な金のかけ方に疑問さえ感じちゃいました。ポリゴン数が多くたって少なくたって、最終的にゃ関係ないでしょ。中味で勝負だよ。8分は長かったけどな。5~6分で描き切れれば一番いい感じになったと思うっす。

『アニメのアニメ』
「ストップモーション・アニメを撮影してる男を描いた手書きアニメ」という、ヒネクレアニメ。だんだん創作と現実の境が失われていく展開で、ラストクレジットではこのアニメ自身を製作している現場が実写で登場し、コマドリでアニメートされるという…ナカナカでした。ちょっと暴力性が強く、それも唐突なのが難点か。5分という時間は悪くない。

『戦え!サラリーマン』
猛暑の路上、駄菓子屋の店先で一本だけ残ったアイスを巡り、黒人の巨漢と中年サラリーマンが凄惨なストリートファイトを繰り広げるという…概略を書くと面白そうですが、この作品の特徴は全編に漂うやる気のなさ(笑)。セリフはあえて棒読みだし、展開もスカスカ。このぬるま湯感覚の製作態度に乗れるかどうかが分かれ道なんですが…中学生が頑張ってる中、ああたら大学生(北大アニメ研)だろ! …と、上映の流れの関係で乗る事ができなかった不遇なアニメでした。なんかラストクレジット見てたらメイド喫茶で盛り上がって企画したっぽいコト書いてあったしなァ。まあ、社会に出てサラリーマンになったら、もう一度自分たちの作ったモノを見直してみなはれ。今度は熱く作りたくなるだろうよ…。

『COSMIC COWGIRL』
銀行強盗したギャング団を追う女警察官のカーチェイスです。本当によく動くノンストップ系手書きアニメ。たった3分半のモノクロ手書き作品ですが、3年かかったらしい。音楽がかなりノリノリで、こういう系統の作品はもっと観たいけど…なかなか登場しないのも事実ですね…。

『アニメーション ドア』
またも中学生の連作手書きアニメ。アニメの連作はカットを割らないと難しいんですが、ラクガキみたいなドアの絵から始まり、同じドアの絵で終わるという構成にしたおかげで自由度が高くなっています。樊噲排闥アイデア賞出します。特にね、ドアの向こうからドアの老夫婦がやって来た時にはぶっ飛びましたよ。よくこんなアイデアが出たなあ…。作品全体を通してテンポよく進むので(4分ですし)間延びしないで、しかもクルクルと作品の味が変わって行くので、オイラ的には傑作でした。

『できごころ』
これ、技法が凄いです。デジカメで撮った街並を背景に、手書きの人物を置いて動かす切り絵アニメ。通常の切り絵アニメは背景も絵なので、絵本みたいな感じになっちゃう(『ファンタスティック・プラネット』が代表的ですな)んですが、本作みたいにデジカメでバンバン背景を撮りまくって使うと、実写並にダイナミックな絵作りができてしまう。実際、主人公の少年はパトカーとチェイスもする(背景が流れる流れる!)し、メリー・ポピンズ風に空も飛びます(ちゃんと背景に空撮写真を使用)。この路上実写ストップモーション、例えば実写では『鉄男』なんかがやってるワケですが、アレと違って一人で、5000円の制作費で、1ヶ月で…3分27秒の作品だけど…作ってしまったのは、この手法のポテンシャルを100%引き出しているからでしょう。ここでも繰り返しちゃいますけど、アニメ製作で手を抜くのは全然OKなんです(この場合は背景描画の手を抜いたワケで)。とことんまで手を抜いて、それでも伝わって来るモノがある時、真に素晴らしい作品になる。本作にそれがあったかというと正直、微妙なんですが、この豪快な手抜きは間違いなくスタイリッシュな高みにまで昇っていました。

やっと第一部終了。
こりゃ大変だァ…まだまだ続く…。

第二部

『kuromame』
割と長めの25分という作品なので、第二部は本作だけを上映。この作品については別途記事を起こします。
札幌発の凄いアニメ会社ができましたよ~ってコトだけでも猛烈に嬉しい正統派クレイアニメ。来場者のプレゼントの kuromame ハンカチがメチャ可愛いです。もったいなくて使えない…ありがとう~。

第二部

『お月さまとたいよう』
後味最悪の不条理アニメ。作者が絵本用に描いた絵を流用してストーリーをでっちあげ、アニメを作ったらしいので、キャラクターの可愛らしさが余計に残酷さを強調します。確かに直接描写はほぼないけど、拉致監禁拷問切断孕ませ殺人ってどうよ…子供も観に来てたんですが…。

『タマとジロー』
「トムとジェリー」の実写切り紙アニメ。明らかに『フラットワールド』を意識した作品ですが、タマ(ネコ)とジロー(ネズミ)以外は全て実際の室内で撮っているというのが新機軸。実際、『フラットワールド』は背景の費用が膨大だったらしいので、この作品の方が「実写切り紙」のポテンシャルを正しく使っていると言えます。紙キャラなので、ふすまを横から映している時は隙間をスルッと抜けて行けるけど、正面から取る時はぶつかってしまう…水に濡れるとヨレヨレになっちゃう…最後はシュレッダーにかけられて…というのがムショーに可笑しい。制作期間3~4ヶ月、費用5000円。やりますなおぬし、って感じのニヤリなアニメでした。

『優しい兵隊』
道を歩き続けるブーツのアップ。花があれば飛び越え、飛び越え…でも、死に切っていない負傷者がいれば、鉛弾を撃ち込んでキッチリ止めをさす。ああ、また花がやってきた…シンプルでシニカルなショートフィルム。個人製作のアニメはどうしても遊び感覚が強くなります。日本の自主制作アニメって、どうしても欧州のアートアニメと同列に並べられない「格の壁」が感じられる。そんな中で、真っ向からマジメなテーマを扱った堂々としたアニメーションでした。手書きアニメでしっかり描写する部分と、PC上でデジタルで動かして手を抜く部分が明快に別れていて、それが作者の主張を裏書きしています。作者のふぎふぎ本舗(の前原薫)さんは、けっこうな数のアニメを作ってるようなので、手馴れた感じがあります。安心して画面に脳を委ねるコトができた掌編でした。

『富原中学校作品集』
釧路の中学生たちの作品。手書きあり、クレイあり、人形あり…みんな頑張ってるよなあ。時々カメラがずれて、背景外にある教室の風景が映り込んでしまってましたが、極めて高度な異化効果です(笑)。いやホント、手作り感にあふれてて幸せな気持ちになれます。
●「カルマの坂~The slope of karuma~」
ファンタジー少女マンガっぽい手書きアニメ。ポルノグラフティの曲にインスパイアされているそうで、この曲知らないんですが、内容的には良かった。前半、主人公の少年の心がすさんで行く過程が、モンタージュとは言え手を抜かずにしっかり描かれていたのが高評価です。あと、絵のタッチに愛情を感じますね。演出とかテクニカルな問題は当然あるにしても、どこを切っても投げやり感が一切ないのが、観客をスーッと作品にのめり込ませるオーラを発していました。
●「きつねものがたり」
ごめん、この作品上映してる間、二日酔いがぶり返して気分最悪だったんす…絵柄はすっごく可愛らしい手書き彩色作品なんですが、内容を覚えてないのら~(殴)。
●「呪いのビデオ」
イモムシの成長を描く、ワンセット物のクレイアニメ。初めてのアニメーションだそうですが、画面に戸惑いとか、手探りで表現方法を見つけようとしているのが感じられて、藤並中学作品と同様の「観客の能力を駆使して積極的に観る」楽しみが生まれる作品。「初めて」というのは、何であれ苦しくも楽しいモノのようです。ところで、どこが「呪い」だったんかいな…。
●「キャサリンの夢~私と貴方と貴方の生きる道~」
中学生でこんな作品を撮ってしまいますか。シュールなバカ映画風でありながら、こりゃしっかりと大人な愛憎劇ではないですか。いきなりストーカーですか…とはいえ、あまりにぶっ飛んでるので評価不能(笑)。
●「りんごの木の下で…」
もっと頑張れる。もっと頑張れ。人形に命を吹き込め。作品にかけてる手数からして、他の作品と同じだけの苦労をしてるんですけど、この作品を作った人たちは、人形にもっともっと生命を吹き込めるコトに気付いていない…。オイラは学生時代、生演の方の人形劇師でしたが、最初の一年目は人形に命を吹き込めなくて苦労しましたぜよ。体が理解してからはラクラクと操演できるようになったんですが…そうなると今度はだんだん手を抜いてしまったという(苦笑)。最初のハードルを越える時が、やっぱり一番楽しかったですね。だから、頑張って気付いて、そしてまた頑張れ。

『Pマン』
特撮。猛烈に特撮。それも仮面ライダーとかじゃなく、マシンマンとかグリーンマンとか(って、知ってる人いるかねえ…)、ああいう朝8時台系の志の低い特撮(あ、あと中国超人インフラマンとか)。微妙~なさじ加減の効果で、脱力しながらトホホと笑えるセンスがあるので、悪い作品とは思いません。が、その志の低さは、後に何も残さない…なので、敵の女爆弾アンドロイド「アデュー」のインパクトが、そのイケてるボディライン&コスチュームデザインと相まって妙に「本物」っぽく浮いておりました。


まだ、まだこれからが大変だ…1分アニメ参加作品が山ほど…とりあえず、寝る(苦)。

第四部

『コタツネコ』
第一部の『おしるこ』の監督、青木純氏のクレイアニメ。コタツから出ようとしないネコが、様々な困難に悠然と立ち向かう不毛のバトルシリーズ第一弾。ってか、ここは千言費やすよりもスチルを見てもらった方が早いでしょう。この絵で、コタツネコが何かを取ろうと手を伸ばすたびにハードロックがかかるんですよ。爆笑。この人の笑いのセンスは相当にキレがいいです。

『1 minute Animation Vol.5』
1分以内という条件で公募したアニメ企画に、世界中から作品が集まったんだとか。こういう企画が Vol.5 まで続けられるのも、アニメ超大国日本ならではの特権ですな。
●「夏の終わり」
最近、実写とアニメの境界がほとんど崩れてしまっておりますが、本作は実写側から崩してやろうという試み。モノクロの画面で、木立の中、一人の人物がクローズアップされて行くと…あっ、侍だ! 素早く剣を抜く! 居合斬りかッ! 南無三、相手は無残にも…ってアレ? スイカ斬ってんじゃん。斬ったスイカを美味しそうに食べながら、夏の終わりの空を見上げて、ハイ終わり。全然面白くないですよ、実写だったら。これを、デジカメの連写を駆使してモンタージュ映像っぽく仕上げたところに、人間の脳が補完する事で成り立つアニメの力を感じました。アングルは慎重に計算されていて、登場人物が侍だと早々にわかるのに、頭のてっぺんが写り込む画がない。この人、おそらくマゲをつけてない。最低限の記号さえあればいいのダ、という割り切りと、それを感じさせない勢いがありました。
●「Dot Project」
数秒の安いCGを、見せ方を変えながら延々と繰り返す事で1分を埋めちゃったアニメ。勢いはあるけどあまり評価できず…。
●「Pigi」
ブタさん貯金箱にお金を入れると、でっかいコインを産んでくれる…という手書きアニメ。そんだけ…。
●「Wasting time with God」
味のあるラクガキ風の手書きアニメーション。作者はイギリスの方で、それなりに観れたような…。
●「roboll」
いい忘れてましたがこのシリーズ企画は、全作をつなげて観れるように、黒丸マークから始まって黒丸マークで終わるという趣向になっています。で、本作はこのマルという形がどこまで変化できるかを追及した正攻法な作品。マル→野球ボール→野球ボールロボ…と変化していく、メカニカルな感じの流れは観客に先読みを許さない面白さ。
●「パレード」
変な人物群がどんどん行進していく様を描くセルアニメ。
●「SORROW B4 CHRISMAS」
オランダ作品。5年位前の3DゲームみたいなCGキャラを使って、別れた女に電話するDV男のダメダメさを一分で描ききっちゃう。ちょっとSFっぽい背景でTV電話越し、という状況設定が、CGの安さを(それなりに)カバーしています。でもまあゲームの1シーンみたいな感じだよなあ…。
●「蘇る未来」
ちょっとビデオクリップっぽく映像をコラージュして、字幕なんかも織り交ぜながら、ある少女の人生を切り取って見ました的ビデオ作品。冒険なき前衛か。
●「A game」
ドイツ作品。ボーリングのピンを描いた線画の手書きアニメ。うーん…そんだけだ…。
●「オッペケペ」
おっぺけぺ~おっぺけぺ~、とオッペケペ節に乗って魑魅魍魎が踊り狂うCG怪作。音源は日本人初のレコードと言われるオリジナル版を使ってると思います。意味は不明だがインパクトは凄い。
●「Cool Bathroom」
ブラジル作品。裸の親父がバスルームで便器に腰かけてると、何やら怪異現象が…というクレイアニメ。親父×便器ってさ…わざわざウケの悪い材料を集めなくたって…ネタ的には普通に観れるコメディなんだからぁ。
●「くろたま3」
可愛さ満点のクレイアニメ。なんか昔のカリメロみたいなキャラクターがイケてます。
●「UNUSUAL VOYAGE」
ベラルーシ作品。CGです。「珍しい旅」ってタイトルから来る期待を裏切るように、片手にジンのビンを握ったわかりやすい酔っ払いオジサンが登場。いろいろマヌケな事をやってるうちに、帽子と間違えて鳥の巣をかぶって歩き出してしまう…巣にいる雛にとっての旅だったんですな。エンドクレジット中に車の衝突音が入り、どうやら轢かれちまった模様ですが…。
●「ラクガキアニメ「タコテレビ」」
お題の通り、ラクガキなんですが…ムチャクチャっぷりが気持ちよくってもう(笑)。TV観てるネコ…のはずが、TVがグニャグニャと変形してタコになり、ネコをTVにしちゃって立場逆転…と思ったらネコ反撃。これを延々繰り返してますが、けっこう飽きない。ほとんど声のなかった会場に、クスッと笑いが漏れました。
●「The Little Beautiful things」
往復運動、回転運動、繰り返し…アニメーションの得意技ですが、この歯車が狂う時、登場人物である人形に破滅が訪れる…まあ、それだけの作品。今日、『年をとった鰐』の上映会でもっと凄い作品を見ちゃったんで、インパクト薄れたなあ(って、本作と比べるのは可哀想ってモンですが…)。
●「Ministry Messiah」
本企画で、突出してアートアニメしていた「たった一分のクセに本気」な作品です。宗教性と残酷度の高い、ラトビア作品。バルト諸国のアニメを観たのは初めてですが、やっぱりというかロシアアニメのセンスに限りなく近いです。東欧~ロシアのアニメ作品は記号性が高すぎて「読み解いた」と思い込むのは危険なんですが、現代の戦争における黙示録的な意味合いを感じました。生々しく足を斬られた救世主、腕のない天使…不具の絶対者という強烈な記号が、戦車などの戦争の記号と共に砂漠風荒野に展開。極めて衝撃的。たった一分のクセに…。

『コタツネコ2』
またまた青木純氏の登場! この人の作品おもしれー! 今回のコタツネコはネズミとの死闘(?)を繰り広げます…やっぱりコタツから出ませんが(笑)。あー、沖縄の人なんだ。朱の使い方に沖縄をちょっと感じるかなあ。でも冬って、コタツ使わないよね、あそこは(←北海道人のクセに数年間ほど住んでいたらしい)。

第五部

『約束』
上映会の大トリは33分の力作クレイアニメ。生涯をかけタイムマシンを発明した爺さんが、1980年代末に行って青年時代の自分に会い、タイムマシンの発明を志すのを諦めさせようとするっていう話。若き日の主人公が『バック・トゥ・ザ・フューチャー3』を観て感激し、明日には郷里に帰ってしまう恋人に向かって(プロポーズの練習を必死にやってたにも関わらず)「ぼくタイムマシンを研究するよ!」って熱く語っちゃうんですが…女の子も「完成したら結婚してね」って、おいおい…そして恋人はその2年後に郷里で病死。なので、爺さんは何としてもタイムマシン開発を諦めさせ、彼らに虚しい人生を送らせないようにしてやりたいワケです。もう、この時点でわかってしまう予定調和。この物語の枠組みでは絶対に過去は変えられない、それは火を見るより明らか…なのにラストはなんてキレイに終わらせるんだ。どうしてこんなに泣けるんだ。最高じゃないか。「時間旅行ネタには恋愛物がよく似合う」と言われるんですが(ってか最近多いよな、そのネタ…)、またひとつ傑作が増えました。音楽も、オリジナルですが、あの時代を彷彿とさせるのが憎いです。『kuromame』は多人数で動く「会社」というシステムを駆使して製作した作品でしたが、本作は個人がやれるギリギリいっぱいのところで勝負した、その規模なりに高目のハードル設定が素晴らしかったです。見事にハードルを越えてます。

…てゆーか、いま検索して知ったんすけど、この津山監督って上映会の主催者じゃん。おみそれ致しました。_o_
次回も観に行きますですヨロシク~。

あとは『kuromame』評か…3日越しのレビューになるとは思わなかったぜ。
そんなコトやってるうちに今日は『年をとった鰐』を観てきちゃって、また短編アニメが増えました…とほ~。

|

« 猫族の遺伝子 | トップページ | kuromameだべさ »

映画祭」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 黒豆大観劇!:

« 猫族の遺伝子 | トップページ | kuromameだべさ »